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水の窓/ウォーターウィンドウ water window

 水の窓(ウォーターウィンドウ)とは,酸素と炭素の吸収端の間,2.34.4nmの波長領域のことをいう.この領域では,生体を構成するタンパク質の線吸収係数のほうが水の線吸収係数よりも1桁程度大きい.このため,水の層を通してタンパク質等の細胞組織をコントラストよく観察することができる.軟X線顕微鏡開発は,ウォーターウィンドウ領域での生物試料の高分解能観察をおもな目的として開発が進められた.

現在軟X線顕微鏡の空間分解能は30nm程度まで向上している.試料の厚みが110mm程度の場合,試料に与える放射線損傷は同じ分解能で比較したとき電子顕微鏡よりも低いと計算されている.それでも放射線軟X線で生きている細胞の動きを観察できるかという問いには悲観的な見方が強い.損傷に対して構造を保つために,最近は瞬間凍結した試料を観察する方法が取り入れられている.凍結すると非常に安定するので,角度を変えながら撮影したデータからの三次元CTも行われている.(渡辺紀生・青木貞雄)

 図 タンパク質と水の窓(ウォーターウィンドウ)領域の線吸収係数.

◆関連キーワード
生物試料 biological specimen 吸収端 absorption edge
軟X線 soft X-ray