平成14年度リフレッシュ理科教室


事業の概要

北海道大学大学院工学研究科および北海道大学電子科学研究所に所属する7つの研究室の協力を得て,以下に示すテーマと内容の実験・実習を実施した.参加者23名からはあらかじめ希望をとり,各人について平成14年8月5日〜6日の2日間で1〜3個のテーマに参加できるようにした.

  1. レーザを使って固体を蒸発させてみよう:沸点が極めて高いグラファイト(4400 ℃以上)などを蒸発させる実験を行う。強力な紫外線レーザ光を集光して物質に照射すると、レーザ光エネルギーが物質に吸収され、物質の表面が沸点以上となり蒸発する。蒸発する原子は、爆発的に噴出し(噴出速度:秒速1キロメートル以上)、明るく光る。「蒸気」となった炭素原子の発光を分光器を用いて測定し、この現象の機構ならびに工業的応用について詳しく説明する。
  2. 光と球の不思議な関係:光を物質に照射して反射・屈折・散乱がおこると、光の運動量が変化し、放射圧と呼ばれる力が作用する。光学顕微鏡を用いてマイクロメートルサイズの微小球にレーザー光を集光することにより放射圧を発生させ、水中で微小球のレーザーマニピュレーションを行う。また、蛍光色素をドープした微小球を用いて、微小球レーザーの発振現象を観察し、微小球における光の共振、散乱現象について理解する。
  3. 台所からのナノサイエンス - 超薄膜の世界 -:現在、世界中の科学者は、ナノメートル(1ナノメートルは100万分の1ミリ)という原子・分子レベルの微小な世界を扱う技術(ナノテクノロジー)を盛んに研究している。この技術はIT、医療、環境など幅広い分野に応用することができる。実は、最先端のナノ加工技術の一つであるラングミュア−ブロジェット膜法は台所から生まれたもの。そこで、家庭にある台所用品を使って、最先端のナノの世界を作ってみることを試みる。
  4. 干渉計を用いた高精度測定:はじめに、レーザー干渉計を組み、干渉実験を行う。また、一方の光を周波数変調することで、ビート信号を発生させ、光のヘテロダイン検出の基礎を理解する。次に、光源を低コヒーレンス光源に変化させる。低コヒーレンス光源は、2つの光の伝播した距離が一致した場合にのみ干渉する。これを実験で確認し、レーザー光源と低コヒーレンス光源の性質の違いを理解する。さらに、この低コヒーレンス干渉計の性質を利用したガラスの厚さ測定を行う。
  5. コンピュータによるホログラムの作成:本テーマでは、ホログラムの原理の簡単な講義とコンピュータを用いてホログラムの作成を行う。はじめに、ホログラム上に記録される干渉パターンをコンピュータにより計算し、紙に出力する。次に、干渉パターンをカメラで撮影し、フィルムを現像するとホログラムが完成する。最後に、完成したホログラムの再生実験を行う。
  6. くもりガラス越しの見えない写真を元通りに復元する:望遠鏡などの画像が揺らいで見えたりするように、写真やビデオなどの画像を空気中を伝播させると品質が劣化していまう。また、くもりガラスや半透明なプラスチックの板越しに写真を見ても良く見えない。この実験では、位相共役光学を用いて、このような位相の歪を除去し、元通りの綺麗な写真を見えるようにする。実際にレーザ光を用いてチタン酸バリウム結晶中にダイナミックホログラムを形成して、画像の回復効果を確認する。
  7. ナノテクノロジー体験:ナノテクノロジーの先端技術の一つであるプローブ顕微鏡等を用いた表面加工、表面観察の実験を通じで、ナノメートルの大きさを実感するとともに、物理学が切り開く先端世界を観る。
  8. 半導体の結晶構造ならびに光学特性評価:半導体の結晶構造をX線回折測定で評価、表面構造を走査電子顕微鏡で観察、発光特性を分光測定することにより、結晶構造、半導体バンド構造への知見を深める。