平成16年度リフレッシュ理科教室


事業の概要

最新の科学技術を知る機会を提供し、理科の面白さを実感してもらうことを目的に、小学校・中学校で理科を担当する教諭を対象とした「リフレッシュ理科教室」を、9月7日と10月12日の2日にわたり室蘭工業大学において実施した。参加した教諭が教え子である児童に理科の面白さを伝えるという直接的な効果に加えて、この活動に携わった大学教官が小・中学校の教諭と交流を深め、地域の教育活動の活性化につなげたいとの狙いもあった。「リフレッシュ理科教室」開催にあたって、応用物理学会と文部科学省「サイエンス・パートナーシップ・プログラム」事業から資金援助を、さらに室蘭市・登別市・伊達市の各教育委員会からも協力を得た。計画段階から、室蘭地区の小・中学校教諭で組織する「理科部会」と連携し、相互協力の元で本事業を進めた。9月7日では、少人数に分かれ大学内各研究室で物理・化学・生物に関する体験型実習を行い、最新の理化学機器に触れたり、身近なものを題材とした実験を実施した。10月12日では、講演会と室蘭工業大学機器分析センター所属の大型分析装置の見学会を実施した。以下に、それぞれの内容を示す。

体験実験(9月7日開催)
 1. モアレ縞で物体の凸凹を観察しよう
    二つの格子をずらして重ねることにより現れるモアレ縞を紹介し、このモアレ縞を利用して、サッカーボールの凸凹を観察する。
 2. やさしい色彩工学 −色の仕組み・性質と色の図り方−
    人間が色をどうやって認識するかという色知覚と、基本の色からさまざまな色を作ることができる混色について簡単に紹介し、分光測色法で色を数値で表す手段を体験する。
 3. 光の偏光と液晶表示素子の原理
    光の偏光の性質を紹介し、通過する光の偏光状態を変化させる素子である位相板の作用および液晶セルの動作を確かめることにより、液晶表示素子の原理を理解する。
 4. レーザー光を使った分析体験
    光が物質中に照射された時にどのような現象が起こっており、さらに物質から放出される光にどのような情報が含まれているかを、分光スペクトルを測定し確かめる。
 5. DNAを取ってみよう
    遺伝情報を担っている2重らせん分子であるDNAについて紹介し、実際に植物と動物からDNAを取って比べてみる。
 6. 生物の動きを作り出す分子達
    筋肉細胞内の分子モーターが燃料を消費しながらたんぱく質の線路を走ったり、止まったりするには何が必要かを実験的に確かめてみる。
 7. ナノメータからミクロンメータの微粒子を造って、そのサイズを測ってみよう
    パソコンにつなげて画像を見るデジタル顕微鏡を用いて、身近な粒子(グラニュー糖、クリーミングパウダー)を観察し、粒子サイズデータのまとめ方を体験する。
 8. ナノ構造の観察
    タングステン金属を用い、電界研磨法により先端半径がナノメートル程度までの針状構造を作成した後、走査型電子顕微鏡で観察する。
 9. 極低温の世界“超伝導”の体験
    高温超電導体の電気抵抗測定を行い「電気抵抗0」になる様子を確かめる。さらに、浮き磁石の観測からマイスナー効果について学ぶ。

講演会と施設見学会(10月12日開催)
 1. 講演会「スポーツと武道の力学」
    スポーツ及び武道に関係する科学的な取り組みを紹介した後、空手道の場合を取り上げ、空手道の威力あるいは攻撃力とは何を意味するのか、物理的・力学的にはどのように評価できるのかについて、コンクリートの試割り及びその材料力学的解析を通した講演を行った。
 2. 施設見学会 機器分析センター
    機器分析センターの概略について紹介した後、大型分析装置である「X線マイクロアナライザー」と「化学分析用光電子分光装置」を見学し、専門のオペレータによる装置やその分析法の説明を行った。