去る平成11年5月26日(水)、午前10時から午後5時まで、応用電子物性分科会5月例会「ナノ加工技術とデバイス応用」が、機械振興会館研修1号室にて開催されました。各分野の第一人者を講演者としてお願いしましたが、当日の参加者数は50名とあまり伸びず、企画を担当したものとしては若干拍子抜けの感がありました。しかしながら、厳しい社会情勢の中にもかかわらずご参加をいただいた熱心な聴講者の方々から、各講演者に対して数多くの質問やコメントをいただき、活溌な討論がなされた、非常に実り多い研究会であったと自画自賛しています。
過去に、応用電子物性分科会では、ナノ構造の形成に関して、量子デバイスや結晶成長をテーマとした研究会(1998年7月)の中で、「ついでに」自己形成プロセスが採り上げられたことはありましたが、今回のように総合的・体系的にレビューしたのは初めてかと思います。すなわち、 (a) X線や電子線を用いた従来リソグラフフィの高度化、(b) プローブ顕微鏡などを用いた新しいリソグラフィ、(c) 自己組織化・自己集積化現象を利用した非リソグラフィに分けて、代表的な技術の到達点と今後の展望について議論したい、というのが企画者の意図でした。
プログラムは、講演として以下の11件をお願いました。題目と講演者は以下の通りです。
まず、大泊先生から、日本のエレクトロニクスが21世紀に再び甦るか否かは、具体的な応用に繋がるウェハスケールでのナノ加工技術の開発にかかっているとの檄がありました。以下、要点をまとめます。SR露光は70nmの解像度までは見通せたが、CoO(cost of ownership)の観点からの優位性を示すことが課題である。既存MOSデバイスも、intrinsic-channel-SOI構造にすることで、0.01〜0.02mmまで微細化が可能である(東北大)。EBリソグラフィに関連して、レジストの乾燥に二酸化炭素の超臨界流体を用いる方法が注目を集めていた。また、JRCATおよび阪大・理研からの話は、表面反応素過程の詳細が原子レベルで着実に解明されてきていることを実感させるものであり、今後、新規デバイスにつながる新しい現象の発見が大いに期待される。一方、自己形成現象を利用する方法では、形態や発生場所の制御に人為性を付加することにより、デバイスに一歩近づける試みが進んでいる(北大、富士通研)。また、サファイア基板を原子レベルで平坦化することが、室温動作する単一電子デバイスの室温動作につながった(電総研)。
最後に、お忙しい中、多くの時間と労力をさいてご協力いただきました講師の方々と、熱心に聴講・討論をいただいた参加者の皆様に紙面を借りてお礼申し上げます。