温室効果ガス削減の有望な手段である太陽光発電に対する期待は年々高まっている。その中で、これまで以上の変換効率向上が望まれており、超高効率を謳う第三世代太陽電池に関する研究も広がりを見せている。それでは、第三世代太陽電池とはどういったものなのか。
第一世代のバルクシリコン太陽電池に対して、薄膜シリコンやCIGSなどの薄膜太陽電池を第二世代太陽電池と呼ぶことに抵抗を感じる者は少ないと思われる。一方、その先を行く第三世代については、大きく意見の分かれるところであるが、ここでは最初に第三世代という用語を用いたM. Green(New South Wales大学、Australia)の提案した新構造を第三世代太陽電池と呼ぶことにする。M. Greenのいう第三世代の太陽電池とは、従来の太陽電池の基本原理を破るため新概念を導入し、効率40%を超えるような超高効率の変換効率を示す太陽電池を100$/m2という低コストで実現しようというものである。このような新概念を用いた太陽電池として、①ホットキャリアセル、②中間バンドセル、③オールシリコン・タンデムセル、④マルチエキシトンセルがある。ホットキャリアセルの基本的な考え方は、従来の太陽電池では、どうしても避けられなかった(フォトンのエネルギー)-(バンドギャップ)のエネルギーを、何とか外部に取り出したいと言うものである。これにはキャリアの熱緩和時間が通常より長くなる構造が必要であり、それが可能な材料や構造の探索が行われている。オールシリコンタンデム型は量子ナノ構造で形成されるミニバンドを利用して光電流を取り出そうとするもので、量子サイズ効果によるバンドギャップ制御が可能なことから、積層型シリコン量子ナノ構造太陽電池を作製し高効率化が実現可能である。また、量子ドットを用いると、一つの短波長フォトンから2組以上の電子―正孔対を発生させることがバルクより容易に起こるとの報告があり、これを太陽電池に応用するのがマルチエキシトン型である。中間バンド型太陽電池はバンドギャップ内に適切なエネルギー幅のバンドを意図的に形成し、中間バンドを介して長波長の2光子を吸収することで電流として取り出すものである。
こうしてみると、いくつかの新概念太陽電池に量子構造が利用されている。量子構造の代表としては、量子ドットや量子ワイヤがある。本講演では、第三世代太陽電池研究の現状について触れた後、シリコン系ナノ構造を利用した太陽電池である、シリコン量子ドット・ワイヤ太陽電池の基本原理、作製方法、研究の進捗状況などについて説明する。
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