米国オバマ大統領の2013年の「3Dプリンターによるモノづくり大国復権宣言」、またニール・カーシェンフェルド氏の「Fab」(ものづくり革命)やクリス・アンダーソン氏の「Makers」が出版されたことが、3Dプリンターの知名度を上げることになった。更に、マスコミも当該技術を3Dプリンターとして報道したことで、Additive Manufacturing (AM、3Dプリンター、付加製造)技術は3Dプリンターとして広く認識されることになったが、3DプリンターはAM技術の単なる愛称である。
さて、1980年の小玉秀男氏による特許出願から始まったAM技術は、人類の加工技術としての第三番目の加工法として発明された。第一の加工法である除去加工がマイナス加工、第二の加工法である成形加工を変形加工というのであれば、AM技術はプラス加工と言い換えることができるだろう。
AM技術は、日本国内では光造形法や積層造形法と呼ばれていたが、欧米ではもっぱらRapid Prototypingと呼ばれていた。しかし、2009年1月にフィラデルフィアで開催されたASTM国際会議に於いて、当該技術の呼称はAdditive Manufacturing (AM)技術に統一された。そして、AM技術の定義もプラス加工法を用いてコンピュータ上のモデルから立体を作るプロセスであることが規定された。また、その後に開催された会議で、AM技術は以下の7つの分類に分けられることも規定された。
◆ 液槽光重合: Vat Photo-polymerization
槽の中の光硬化性樹脂をUVレーザー等で選択的に硬化することで付加する方法
◆ シート積層造形法: Sheet Lamination
紙などのシート材料を積層して切削する方法
◆ 結合剤噴射: Binder Jetting
槽の中の粉末材料に糊を選択的にインクジェットで塗布することで付加積層する方法
◆ 材料押出: Material Extrusion
溶融させた材料を押出ノズルから選択的に付加堆積させる方法
◆ 材料噴射: Material Jetting
液化させた材料をインクジェットで選択的に付加堆積させる方法
◆ 粉末床溶融結合: Powder Bed Fusion
槽の中の粉末材料をレーザーや電子ビームで選択的に溶融させ付加積層する方法
◆ 指向性エネルギー堆積: Directed Energy Deposition
粉末材料をレーザーで溶融させながら選択的に付加堆積させる方法
本講座では、上述の各AM(3Dプリンター)技術とその最新動向に関して以下の項目に関して解説する。
- 3Dプリンターって何?
- AM技術の応用と用途
- AM技術と装置の動向
- AM技術の市場動向
- AM技術を整理してみると
- 日本のAM技術
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