講演題目

磁性材料の無損傷加工

講師 角田 茂(日立製作所)

要旨

磁性材料は、情報を記憶するための磁気記録媒体・装置に用いられ、非常に重要な役割を担っている。これらは複合材料で構成され、加工損傷に非常に敏感である。したがって、次世代磁気記録デバイスの製造には磁性材料の無損傷加工技術が必須となる。ガスクラスターイオンビーム(GCIB)は、ラテラルスパッタ効果や低エネルギー照射効果により低損傷で平坦加工を可能にする有力な候補技術の一つである。
本講演では、磁性材料の超平坦・無損傷加工(平均面粗さ(Ra)1nm以下、加工ダメージ深さ1nm以下)を実現するGCIBプロセスについて紹介する。加工ダメージは二次イオン質量分析法(SIMS)及びX線反射率法(XRR)、表面粗さは原子間力顕微鏡(AFM) を用いて測定した。GCIBを試料表面と平行に近い角度から斜め照射することにより、平均表面粗さ0.7nm、加工ダメージ深さが0.7nmの磁性膜表面を得た。また、このとき、膜歪みや磁気特性に影響を与えることなく加工できることを微小角入射X線回折法(GI-XRD)、及び試料振動型磁力計(VSM)により示した。上記無損傷加工は、従来法であるモノマーイオンビームでは実現不可能である。
本講演に関する研究の一部は独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)による委託事業「次世代量子ビーム利用ナノ加工プロセス技術の開発」の元で行われたものである。また、GI-XRD測定は財団法人高輝度光科学研究センター承認の元、Spring-8にて実施した。