Si半導体全盛の時代は50年も続いているが、GaAsなどの化合物半導体が徐々にSiを脅かす時代に入ってきた。エネルギー枯渇、二酸化炭素など環境問題が叫ばれる中、あらゆる分野で電動化が進みパワーエレクトロニクスの果たす役割は非常に大きい。そのような中で、物性的に限界に近づきつつあるシリコンに代わりシリコンカーバイド(SiC)が世界的に注目され、今まさに、本格的な応用期を迎えようとしている。
SiCパワーデバイスは自動車、鉄道、送電などのインバータ・コンバータの損失低減、小型化、軽量化等に大きな期待がされているが、基板となるSiCウエハの品質、価格、またトランジスタ界面準位の課題が実用化の大きな壁となっていた。わが国では98年から国家プロジェクトでSiCウエハ、デバイスの地道な研究開発がなされてきた。現在、φ6インチウエハが実現され、100A級のMOSトランジスタ、3KV級のダイオードも試作に成功し、各研究機関においては現実的な開発が進められ出した。
「なぜ今SiC技術か」という言葉はこれまでもたびたび使われてきた。本報告では、SiC研究開発を振り返り、SiCの魅力を紹介すると共に、なぜ今SiC技術が必要かを考える。またウエハおよびデバイスの最新の開発動向、トピックスを踏まえ、様々なSiC応用範囲と信頼性/コストなど実用化のための課題を示す。また、TPECなどTIAの活用、大学との連携などもまとめる。
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