講演題目

XAFS の現状と今後の進展

講師

高エネルギー加速器研究機構
野村 昌治

要旨

 XAFS(X-ray Absorption Fine Structure)は放射光利用の普及と共に、各種の物理化学的分 析手法と並んで、基盤的な構造解析、電子状態解析の手法となってきている。特に硬X線を用い るXAFS 実験の場合、雰囲気、温度等種々の環境下で、試料の状態変化を追跡することが比較 的容易に行えるため、触媒反応、電池等の研究において多用されている。

 多くの放射光施設では試料の温度制御や反応ガスの導入を制御する系を備えており、多くの 利用者が比較的手軽に利用出来る環境が出来ている。また、多くの研究者が、研究課題に対応 した反応セルや反応系を製作して実験に利用している。一方で、非常に基礎的なことでありながら、未解決で残されていることも少なくない。例えば、良質のスペクトルを得るために必要な試料調製法や評価法、試料温度の測定法等には必ずしも確立したと言えない状態にある。

 我が国では偏向電磁石光源を利用したXAFS 実験が主流であるが、高輝度第三世代光源の 普及と共に、世界的には挿入光源を利用した実験環境が増えてきている。偏向電磁石光源と比 較した挿入光源利用のメリット・デメリット、挿入光源を利用して拓かれる研究について議論する。