本講演では、走査電子顕微鏡による酸化物中に埋もれた導電性ナノ構造の観察方法を解説する。従来法の断面TEMを代表例とする破壊検査法から、非破壊検査法である最新の透視SEMまでの解説を行う。観察対象は、Si系のナノデバイスを想定して主に酸化膜中に埋もれたSiナノ構造である。 電子デバイスの動作部分は、通常、埋もれた構造体である。デバイスのサイズが大きい場合にはリソグラフィで規定された形状と、実際のデバイス構造は大きくかけ離れてはいないため、最終的な埋め込まれたデバイス構造を観察する必要性はあまりない。しかし、デバイスの微細化が進み、さらに構造が三次元になると、予測通りの構造が出来る保証は無く、直接埋め込まれた構造体を観察しその形状を把握しなければいけなくなる。 埋もれた構造については、エッチングにより構造を表面に出しての観察、構造を含む部分を薄層化しての透過観察、断面加工を後の断面観察等がこれまで一般的に行われてきた。いずれの方法も破壊検査ある上に、微細化が進むほど観察箇所の特定が困難になる。そのため、非破壊で埋もれた構造を観察する手法が必要とされている。 観察対象のデバイスサイズは100nm以下であるため、高分解能である必要がある。また、埋もれた構造の直接観察のためには透過性も必要である。この条件を満たすプローブは比較的加速電圧の高い電子線以外には無い。二次電子に埋もれた構造の情報が含まれていれば像を得ることが出来る。 試料内部からの反射電子による埋もれた構造体が可視化できるのは古くから知られている。しかし、反射電子像のコントラストは一般に低く、例えば、Si酸化膜中に埋もれたSiナノ構造体を可視化することは出来ない。しかし、酸化膜の中に埋もれた導電性構造がある場合、酸化膜表面の帯電状態が埋もれた構造により変調されるため二次電子像を得ることが出来る。これが透視SEMの原理である。 講演では、透視SEM像の分解能は高く定量性にも優れることをSi単電子デバイス構造の観察例を用いて詳述する。 |