単層カーボンナノチューブの電子構造は、理想的な1次元量子細線としての特徴を有し、それらがチューブの直径とカイラリティによって敏感に変化することが知られている。将来のナノデバイス構築には、この構造敏感な特性の把握・利用が必須となってくる。最近になって、炭素原子数個レベルでの構造の差が、予想よりも大きなエネルギーレベルの差異となってくることがわかってきた。孤立分散させた単一ナノチューブのラマン散乱強度をチューブの電子密度を制御しながら測定し、そのカイラリティ依存性を検討した結果、直径の逆数に比例してチューブの仕事関数が大きく減少することが示された。この物性の差を利用することにより、チューブを高い精度をもって分離することが可能となる。さらに金属ナノ構造と単一チューブを組み合わせることにより興味深い光物性が発現することもわかってきた。