ナノスケールの磁性体開発を目指し、さまざまな化学的手法が検討されている。ボトムアップのアプローチとして、単分子磁石とよばれる高スピンクラスター錯体が盛んに合成された。サイズは数ナノメートルで、全てのクラスター分子は同一の化学組成と構造をもつことから、これらの単結晶をつくることもできる。超常磁性を示し、そのブロッキング温度は今のところ極低温に限られるが、すべての分子が同一の緩和時間をもつ。一方、トップダウンとアプローチとして、逆ミセル法やテンプレート法などのウェットな化学合成により、既存の無機磁性体をサブミクロン以下に形状加工する研究が盛んである。そのサイズは年々小さくなり、均一性も改善されつつある。また、中空形状など、特異な3次元構造の構築も可能である。本講演では、このような研究を概観した後、単分子磁石の物理化学から分子クラスター電池への展開、コア-シェル型無機磁性体の合成とその応用、について議論する。 |