「GaN系青色レーザの新展開」

三重大学 工学部

平松 和政

 去る平成10年5月28日(木)午後1時より午後5時まで、平成10年度応用電子物性分科会研究会5月例会「GaN系青色レーザの新展開」が化学会館ホール(千代田区神田駿河台1−5)にて開催されました。当日は定員120名を大幅に超える140名以上の聴講者の方々にご参加いただき、GaN系半導体レーザへの関心の高さをあらためて再認識させられました。

 GaN系半導体レーザの現在の到達段階を明らかにするとともに、どこに問題がありいかに解決していけばよいのか、またどういう方向に発展させていけばよいのかを明確にするために、すでにGaN系でレーザ発振に成功しているグループの中で国内の5グループにお集まりいただき、ご講演いただきました。プログラムは以下の通りです。

  1. 長寿命紫色InGaN/GaN/AlGaN系半導体レーザ (中村修二 等:日亜化学工業)
  2. GaN系青色レーザの特性解析 (小野村正明 等:東芝)
  3. GaN系半導体レーザの現状 (小林俊雅 等:ソニー)
  4. 減圧MOVPE法によるSiC基板上のGaN系レーザ (倉又朗人 等:富士通研)
  5. GaN系レーザーダイオードの端面検討 (加藤久喜 等:名城大、HP研) 

最も注目されたのは、日亜化学がAlGaN/GaN超格子とELOG基板を使用することにより、波長400nm前後 CW 2mW (20℃)のレーザで、寿命5000時間以上を達成したことであり、残された問題は安定したモード制御と高温下での長寿命安定動作としており、商品化に近い印象を受けました。一方、他グループのGaN系半導体レーザではパルス発振に留まっており、室温発振を実現するために種々の問題が提起されました。すなわち、低欠陥エピタキシャル膜作製技術、p型クラッド層キャリア密度のキャリアオバーフローの問題、p型作製技術、p-GaN低抵抗オーミックコンタクト、基板の問題、共振器面作製技術、等の多くの問題が指摘され、日亜化学との技術格差を印象づけました。しかし、それぞれの問題に対する積極的な取組により解決方法や新技術が次々と提案されており、室温連続発振も間近に感じられました。

 なお、本研究会11月例会「ナイトライド半導体の物性制御・欠陥制御−真の物性を引出す策・ポイントは−」では、上記問題等について物性・欠陥の面からアプローチし、活発な討論を行う予定です。講演を公募してますので、ふるってご投稿ください。案内は、http://wwwsoc.nacsis.ac.jp/jsap/bunkakai/bunkakai.htmlまたは1998年第4巻第2号の最後ページに掲載していあります。

 最後に、お忙しい中大変なご協力をいただいた講師の方々、及び熱心に聴講・討論をいただいた参加者の皆様に紙面をお借りしてお礼申し上げます。