平成13年5月30日(水)に機械振興会館6階67号室において,「次世代高周波パワーGaN・SiC電子デバイス」に関する応用電子物性分科会定例研究会が開催された.最近注目されつつある高周波・高出力電子デバイスへのGaNおよびSiCワイドバンドギャップ半導体の応用に焦点が当てられた研究会であった.内容としては,全体的なこの分野の開発動向とGaNおよびSiCの特徴・期待に関するまとめ,個々のGaNおよびSiCの電子デバイス特性と課題,に続いてそれぞれのエピタキシャル成長用の基板結晶の到達レベル,更にウェハーとしての量産見通しにまで踏み込んだ内容であった.参加者は,会員35名(内講演者3名),非会員55名(内講演者3名,当日の応電入会申し込み者4名),そして学生9名の合計99名にも達し,最近の研究会としてはかなりの盛況であった.反面座席数が足りず,参加者にはご迷惑をおかけしたことをここにお詫び致します.
具体的な個々の発表内容は,前号研究会特集号会誌をご覧頂くとして,ここでは簡単にポイントをまとめておく.まず立命館大理工学部の名西やすし先生と産業技術総合研究所の奥村元氏が,それぞれGaNやSiCの特徴や高周波パワーデバイスに対する期待と課題についてまとめられた.GaNはGaN/AlGaNヘテロ接合系デバイス,一方SiCはMESFETで高出力・高周波デバイス開発が進められていることを,この分野で先端を行く米国の動向も含めて発表された.続いて,徳島大学工学部大野泰夫先生が,GaN系高周波パワーFETの現状と開発状況についてまとめられ,新日本無線マイクロ波事業部の新井学氏が,SiC高周波デバイスの現状と課題について自社での開発状況を含めて発表された.高周波特性としては,GaNの方が性能が若干上回るようであった.
この後,GaNおよびSiCエピタキシャル成長用のウェハーについての発表がなされた.まず,新日本製鐵先端研の大谷昇氏,およびベンチャー企業であるシクスオンの塩見弘氏が,SiC単結晶ウエハの高品質化と導電性制御について発表し,2インチウェハーを供給可能であることを述べた.一方,GaN用サファイアウェハーの現状について京セラファインセラミック事業本部の渡辺健一氏が発表され,4インチのサファイヤウェハーが量産ベースで安定供給可能であることを述べた.最後に,東京農工大工学部の纐纈明伯先生が住友電工との共同研究として,GaN基板の開発状況を発表され,GaAs基板上の厚膜GaN成長について述べた.
GaNおよびSiCワイドギャップ半導体材料は,現在第2期発展期に入ったものと考えられ,先行するGaAs系高周波デバイスの性能に打ち勝ち,マーケットに参入するための厳しい戦いが始まったとも言える.デバイス性能のみならず,信頼性や量産技術をも含めその発展を期待すべきであると感じられた.