幹事長就任にあたって

 

大阪大学 節原 裕一

 

 このたび、20202021年度の2年間、プラズマエレクトロニクス分科会の幹事長を拝命いたしました。本分科会は、2020年で30周年を迎える伝統を有し、500名近い多数の会員(20203月で484名)を擁する組織であり、その幹事長としての重責を肝に銘じております。

 微力ながら、本分科会と会員の皆様のため、精一杯尽力して参りたく存じますので、何卒宜しくお願い申し上げます。

 

 冒頭ではございますが、2019年の年末に中国武漢での集団感染が初めに報じられた新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)による感染症(COVID-19)は、アジアに留まらず、年明けの数ヶ月という短期間の内に、甚大な被害の欧州各国そして米国、さらには南半球の国々を含め、現下、世界的大流行に至っており、被害に遭われた方々に心からのお悔やみとお見舞いを申し上げたく存じます。

 想い起こしますと、人から人への感染の可能性の有無について報じられていた2020年の年始早々から世界的な大流行までは文字通り瞬く間でありました。現代のように、高速・大容量の情報処理デバイスによる技術革新が進展し、5Gへと移行しつつある高速情報通信網の恩恵に浴するハイテク社会であっても、サイズが高々数10〜数100nmと言われるウイルスに脆くも脅かされる存在であることを強く思い知らされました。さらに、講演会、国際会議、懇親会、会食、講義、商談、交通機関での移動といった、かつては当たり前であった「人と人との交流」ひいては従来の社会的な活動そのものが感染拡大防止の観点から忌避される新たな時代に、全世界があっという間にそして否応なく飲み込まれてしまいました。

 

 さて、本分科会の活動と運営におきましては、これまでの誇り高き伝統を受け継ぎつつ、この新たな時代においても更なる進展を期すべく、プラズマの基礎学理から技術的応用にわたって、会員の皆様の研究が世界をリードする存在であり続けられるよう努めて参りたく存じます。一方、分科会行事については、当該感染症の影響で困難に直面しておりますが、田中副幹事長、古閑副幹事長、栗原副幹事長、幹事の皆様、学会事務局のご協力のもと、一丸となって乗り越えて参りたく存じます。さらに、本分科会は2020年で発足30周年を迎えます。これを機に、これまでの時代を俯瞰しつつ、新たな時代への方向性に繋げて行ければと念願しております。

 

 感染症の終息まで、そして終息後も、これまでの平穏な時代とは異なる新たな活動様式が求められますが、会員の皆様の優れた研究と学会講演・論文を通じた活発な議論が当分科会の活力の源泉であることは、今後も揺るぎなく、変わることはございません。また、感染症克服に向けて、プラズマ−生物相互作用の基礎学理を活用した技術開発が渇望されます。会員の皆様のお知恵とご協力を拝借しながら、当分科会の発展に向けて尽力して参りますので、何卒宜しくお願い申し上げます。さらに、コロナ後の新たな時代に向け、会員の皆様のためになる活動を模索し提供すべく努力して参りますので、分科会の発展に資する御提案や御意見等ございましたら、私または幹事各位に、お知らせを戴けましたら幸いです。

 末筆ながら、当該感染症に対する有効な治療薬そしてワクチン開発の進展による早期の終息を心から願うと共に、皆様そしてご関係の方々お一人お一人のご健康を心よりお祈り申し上げます。