講演題目 |
チタン酸リチウム負極を用いた高出力二次電池「SCiBTM」の開発 |
講師 | 高見 則雄(東芝) |
要旨 |
近年、二酸化炭素(CO2)削減やエネルギー問題への対策として低燃費、低排気ガスのハイブリッド自動車(HEV)、プラグインハイブリッド自動車(PHEV)、電気自動車(EV)の普及に期待が高まっている。そのため車載用をターゲットにしたリチウムイオン電池の開発、製品化が世界的に進められている。これまで電池性能として高エネルギー密度化が強く求められてきたが、さらに高出入力性、長寿命、安全性が重要となる。筆者らは、負極材料に微粒子化した独自のチタン酸リチウム(LTO)を開発することにより、高い安全性と急速充電性能を兼ね備えた新型二次電池SCiBTMを開発・製品化した。ここでは、新たにHEV向けにマンガン酸リチウム(LMO)正極を用いた高出力タイプの“SCiBTM”を開発した。開発したSCiBTMは10秒パルスの出入力性能評価において10~80%の広い充電状態(SOC)範囲で2600W/kg以上の高出力密度を得た。また60℃高温貯蔵試験や-30℃の低温充放電サイクル試験において黒鉛負極を用いたリチウムイオン電池に比べ優れた耐久寿命性能を示した。内部短絡試験ではLTO負極を用いることで短絡部は岩塩構造LTO相からスピネル構造LTO相に変化し急激に高抵抗化した。このようなLTOの電子伝導抵抗上昇は短絡電流を大幅に緩和し、内部短絡時の安全性に大きく寄与することが分かった。 |