支部長挨拶

 約2年前に起きてしまった新型コロナウイルスの感染拡大は、今なお終息の見通しが立たず、東北支部の活動においても多大な影響をもたらし続けています。しかしながら、ワクチンはもとより、様々な感染拡大対策技術の開発・浸透によって、我々は着実に前進していると思います。応用物理学会の関わる学理や技術が果たしている貢献は、陰に陽に極めて重要なものであると考えます。

 東北支部では、特に若手研究者や学生が学術交流を行なえる場として支部学術講演会を毎年開催し、また、お子さんや学校で理科を教える先生方への物理啓蒙を目指すリフレッシュ理科教室に力を入れてきています。数年前より東北の全県で開催するように拡大したリフレッシュ理科教室は好評を得ています。残念ながら、オンライン開催やハイブリッド開催の形態をとらざるを得ない状況が続いていますが、支部を支える若手研究者の尽力により、大変有意義な活動が行われています。コロナ禍で強いられた対応が新たな進展をもたらした事例もあります。皆様のご協力を得ながら、引き続き魅力ある活動を続ける所存です。

 長く指摘されている「理科離れ」は本学会にとっても悩ましい課題ですが、特に若手を意識した支部活動にはこの課題を何とかしたいという強い問題意識があります。応用物理学会会員の年齢分布推移を見ても、全体的な減少に加えて若手層の割合低下が顕著です。学会本部では重要な懸案事項として議論されているところですが、東北支部においても支部活動を通じ、学術界に限らず東北地域の産業界において、未来の応用物理学を担う人材が育つよう努力します。加えて、資源の乏しい日本における科学リテラシー向上に少しでも貢献できればと念願します。

 コロナ禍でバトンを引き継いだ私の2年間の任期は、ポストコロナの東北支部のあり方を考え、且つ、その方向へ動きだす重要な期間であると考えます。東北地域では震災復興への努力も続きます。支部の運営にとって、諸先輩方の大所高所からのご助言も欠かせません。引き続き、支部会員の皆様から、広くご指導・ご鞭撻をいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。


令和4年4月 応用物理学会東北支部 支部長 百生敦