結晶工学分科会について

1)本会の目的

本会は結晶工学に関する知識および技術の向上・発展に寄与し、会員相互の連絡をはかることを目的としています。

2)本会の主な事業

① 年間行事

結晶工学分科会では、結晶工学の最新の話題を広く討論する「結晶工学分科会研究会」、 初心者に結晶工学の基礎知識をやさしく提供する「結晶工学スクール」 、ややアドバンスな内容をじっくりと学ぶ「結晶工学セミナー」 、若手啓発的な講演会と分科会会員によるポスター発表会とを組み合わせた「結晶工学講演会」 などのイベントを開催し会員の要望に応えています。毎回、充実し、かつ、タイムリーな企画であると大好評で、テキストも重宝されています。

② 刊行物「クリスタルレターズ」

分科会からのお知らせの他、結晶工学に関する学術論文の投稿、話題の解説、実験上のちょっとしたアイデア、書評、国際会議報告など盛りだくさんの内容を読みやすく提供する本会の定期学術刊行物(年3回発行)です。もとは、「結晶工学ニュース」と称していましたが、1994年にクリスタルレターズと改題しました。

結晶工学分科会 幹事長

産業技術総合研究所
省エネルギー技術研究部門
反保 衆志

過去を継ぎ、現在を支え、未来を拓く結晶工学

このたび、応用物理学会結晶工学分科会の幹事長を務めさせていただくこととなりました。歴史ある本分科会の運営をお預かりすることに、大きな責任を感じております。会員の皆様、幹事の皆様、そしてこれまで本分科会を支えてこられた歴代幹事長ならびに関係各位に、まず心より御礼申し上げます。今後2年間、分科会のさらなる発展に向けて力を尽くしてまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

幹事長を務めるにあたり分科会のホームページにて、改めて歴代幹事長のお名前を拝見しました。1970年に筒井先生が初代幹事長を務められ、私が第30代目を引き継ぐこととなり、身が引き締まる思いです。私の大学院時代の恩師である朝日先生が第16代幹事長であることも不思議なめぐりあわせを感じております。

私が分科会の幹事として活動を開始したのは、第20代の和田先生を引き継いだ、第21代の小野先生の時代からです。気がつけば、分科会の活動に携わってから18年が経っていました。小野先生は幹事会などでも、若い幹事の意見にもしっかりと耳を傾け、雰囲気づくりにとても気を配られていました。これは、結晶工学分科会の良い伝統であり、幹事や幹事長の皆さまが作り上げてこられた、まさに「よきソサイエティ」でもあります。

私の研究生活は大学院での研究がベースになっており、「結晶工学」に関係した研究を現在も続けております。大学院時代には日本における分子線エピタキシーの第一人者である權田先生、そして朝日先生のもとで III-V 族半導体や窒化物半導体の結晶成長を始めたのがその入り口でした。大学院時代から、分科会の開催する研究会、そして結晶工学スクールにも参加しており、結晶工学分科会というゆりかごで研究者として育ったのだと今になって改めて実感しています。

分科会会員の皆さまはよくご存じのことと思いますが、現在の分科会活動は、「結晶工学分科会研究会」、「結晶工学スクール」、「結晶工学セミナー」、「結晶工学講演会」という4種類の行事と、刊行物である「クリスタルレターズ」を中心に展開されています。近年はこの形を基本として活動を行っていますが、それぞれの活動では、絶えず様々な試行錯誤を重ねてきました。少し長く幹事を務めた身として、現在も続いているその試行錯誤の一端を、ここで紹介させていただきます。

分科会は年2回の研究会(通称、「4月研究会」、「6月研究会」)を開催しております。6月研究会では、研究者人口も多い窒化物半導体の話題を取り上げており、多くの方にご参加いただいております。その一方で、4月研究会では新物質・新材料、ワイドギャップ半導体、光・量子デバイス、放射光実験、放射線計測、カーボンニュートラル、量子技術、宇宙応用など様々なテーマを取り上げております。これは、結晶工学が関わる領域の広がりをよく表しているとともに、担当幹事の皆さまの多彩さを示すものでもあります。

分科会の看板行事の結晶工学スクールでは、結晶成長、構造解析、電子・光物性の基礎を丁寧に学ぶ機会が継続的に提供されており、大学院生や企業の若手研究者だけでなく、関連分野から新たに結晶工学に関わる方々にとっても重要な入口となっています。私自身も、大学院時代にスクールに参加した経験を通じて、専門分野だけでは得にくい結晶工学全体の見取り図を学ぶことができました。このスクールも22代の幹事長の三宅先生の代で、2日制から3日制となり一層充実した内容になりました。
それと同時に、参加者、講師、幹事が交流する懇親の場も設けられるようになりました。現在も、会員の皆様のご意見をもとに、より良い内容とするため、2年おきにカリキュラムの改定を行っています。

結晶工学セミナーは私が幹事になりたての頃は、1年おきに「物理分析・化学分析」と「電気評価・光学評価」を交互に開催していました。それが現在では、インフォマティクスやAI、Pythonを用いた解析・計算など、新しい研究手法を積極的に取り入れた企画も行われています。この3月にはPythonやAI実習を取り入れたセミナーも開催しました。このセミナーは、結晶工学スクールの内容をベースにしているところに大きな意義があると考えています。

クリスタルレターズは、分科会行事の活動紹介や記録だけではなく、「ほっと一息」つける記事も掲載される、会員の皆さまを結びつける貴重な刊行物です。また、「結晶工学講演会」は、かつて「結晶工学未来塾」と銘打って開催されていた流れを受け継ぎ、若手研究者にとって貴重な発表の場となっています。最近では、若手研究者が研究の魅力や将来像を具体的に描けるよう、博士課程への進学や研究者としてのキャリアを意識した活動も続けています。

以上のような活動を振り返ると、分科会の行事は、決して自然に続いてきたものではなく、多くの幹事の皆様の議論、準備、工夫によって支えられてきたことを改めて実感します。研究会のテーマ設定、講師の選定、スクールやセミナーの内容更新、若手研究者への発表機会の提供など、その起点には常にリラックスした幹事会での率直な意見交換がありました。

結晶工学分科会は、単に個別材料や個別技術を紹介する場にとどまらず、今後も「結晶」をキーワードとして学問を構築する場でありたいと考えています。結晶を育てる技術、結晶を測る技術、結晶の中で起こる現象を理解する理論、得られた知見をデバイスや社会実装へつなげる工学、そしてそれらを次世代へ伝える教育を、有機的に結びつける場です。研究会のテーマにも取り上げている半導体、量子、エネルギー、環境、宇宙応用など、多くの技術の基盤には「結晶」があり、その役割は今後ますます大きくなるものと考えています。

歴代の幹事長、幹事、会員の皆さまが築いてこられた分科会の歩みを大切にしながら、現在の幹事の皆さまとともに、結晶工学分科会を、結晶を軸とした学問構築と人材交流の場としてさらに発展させてまいりたいと思います。会員の皆さまには、今後とも本分科会の活動にご参加いただき、率直なご意見とご支援を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。

2026年5月

2024年10月1日現在

応用物理学会結晶工学分科会幹事名簿(2026年5月1日現在)

事務局

TEL:03-3828-7723(分科会直通) 
e-mail:divisions@jsap.or.jp

  • 幹事長

    反保 衆志

    産業技術総合研究所

  • 副幹事長

    澤野 憲太郎

    東京都市大学

  • 副幹事長

    沓掛 健太朗

    名古屋大学未来材料・システム研究所

  • 会計・広告(代議員)

    出浦 桃子

    早稲田大学

  • 庶務・広報

    横田 有為

    東北大学 金属材料研究所

  • 庶務・広報

    太田 優一

    富山県立大学 情報工学部 知能ロボット工学科

  • 編集長・企画

    今西 正幸

    大阪大学 大学院工学研究科

  • 編集・企画

    佐藤 隆

    住友化学株式会社

  • 編集・企画

    塚田 佳紀

    STR Japan 株式会社

  • 編集・企画

    佐々木 拓生

    量子科学技術研究開発機構

  • 企画・インターネット

    内山 裕士

    高輝度光科学研究センター

  • 企画・インターネット(プログラム編集)

    谷川 智之

    名城大学 理工学部 化学・物質学科

  • 企画

    川村 史朗

    物質・材料研究機構

  • 企画

    星 拓也

    NTT株式会社

  • 企画

    杉山 正和

    東京大学先端科学技術研究センター

  • 企画

    須田 淳

    名古屋大学大学院工学研究科

  • 企画(プログラム編集)

    鳥越 和尚

    ㈱SUMCO

  • 企画(代議員)

    西尾 譲司

    ㈱ニューフレアテクノロジー

  • 企画

    船戸 充

    京都大学工学研究科

  • 企画

    安藤 敬

    ㈱Reseablic

  • 企画

    荒木 努

    立命館大学理工学部電気電子工学科

  • 企画(代議員)

    富樫 理恵

    上智大学 理工学部 機能創造理工学科

  • 企画

    屋山 巴

    工学院大学 先進工学部 応用物理学科

  • 企画

    前田 拓也

    東京大学 大学院工学系研究科

  • 顧問

    熊谷 義直

    東京農工大学大学院工学研究院

  • 事務局

    応用物理学会

    白石 陽子

歴代幹事長

初代
筒井 俊正
(1970)
2代
高木 豊
(70.?-73.3)
3代
新関 暢一
(73.4-75.3)
4代
小川 智哉
(75.4-76.3)
5代
千川 純一
(76.4-78.3)
6代
飯塚 隆 
(78.4-80.3)
7代
高須 新一郎
(80.4-81.12)
8代
芦田 佐吉
(82.1-84.3)
9代
宮沢 靖人
(84.4-86.3)
10代
松井 純爾
(86.4-88.3)
11代
春日 正伸
(88.4-90.3)
12代
宮澤 信太郎
(90.4-92.3)
13代
藤本 勲
(92.4-94.3)
14代
佐藤 勝昭
(94.4-96.3)
15代
久保寺 憲一
(96.4-98.3)
16代
朝日 一
(98.4-00.3)
17代
松本 俊
(00.4-02.3)
18代
竹田 美和
(02.4-04.3)
19代
藤崎 芳久
(04.4-06.3)
20代
和田 隆博
(06.4-08.3)
21代
小野 春彦
(08.4-10.3)
22代
三宅 秀人
(10.4-12.3)
23代
酒井 朗
(12.4-14.3)
24代
土屋 朋信
(14.4-16.3)
25代
鍋谷 暢一
(16.4-18.3)
26代
大島 祐一
(18.4-20.3)
27代
田渕 雅夫
(20.4-22.3)
28代
尾沼 猛儀
(22.4-24.3)
29代
熊谷 義直
(24.3-26.3)
30代
反保 衆志
(26.4-)