2019年度 薄表研究会のお知らせ

応用物理学会 薄膜・表面物理分科会 2019年度 薄膜・表面物理研究会のご案内

日時

2020年2月8日(土)〜9日(日)

場所

高知工科大学(永国寺キャンパス、香美キャンパス)

参加費

無料(応用物理学会会員)、2000円(その他)

問合せ

中村 芳明(阪大) nakamura@ee.es.osaka-u.ac.jp

講演プログラム

2月8日(土)@高知工科大学永国寺キャンパス(教育研究棟 A213室)

14:30〜14:50
研究紹介1 「スピネルフェライト薄膜のエピタキシャル歪による誘導磁気異方性」
(筑波大学 柳原英人)
磁気異方性は保磁力の上限を決める因子であり、磁化と並んで磁性材料を特徴づける重要な物性値である。本研究では大きな磁気異方性を実現するための手法として、結晶に応力を与えて磁気異方性を誘導する磁気弾性効果に着目した。磁気弾性結合定数の大きなコバルトフェライトについて、薄膜化する際にエピタキシャル歪を導入することで、希土類系磁石材料のそれにも匹敵する巨大な磁気異方性を誘導可能であることをご紹介したい。

14:50〜15:10
研究紹介2 「グラフェン系材料の合成と応用探索」
(産業技術総合研究所 山田貴壽)
グラフェン系材料の実用化を目指して、高速・連続成膜技術や材料特性を最大限に引き出す高機能化技術を開発している。さらに、グラフェン系材料の応用探索に取り組んでいる。
これまでに、Roll-to-Roll・プラズマCVD装置を開発し連続成膜を実現している。Roll-to-Roll方式による転写技術も開発し、グラフェンロールフィルムを作製した。作製したグラフェン透明導電フィルムによるヒーターや有機EL素子について紹介する。さらに、カリウム添加n型グラフェンの特性について報告する。また、垂直配向グラフェンの低反射材や電子放出源への応用例も紹介する。

15:10〜15:55
招待講演1 「ミスト流を利用した機能膜形成手法―ミストCVD法」
(高知工科大 川原村 敏幸)
環境負荷低減や設備・運転・整備などにかかる費用を削減するため、最近大気圧かつ溶液系の機能薄膜形成手法が注目されている。スプレー法やAACVDといわれる技術がその代表格である。ミストCVDはそれらの手法と同等の技術で有るが、ミスト(気液混相)流の特徴に着目して原料流れを上手に操作することで薄膜の特性を高度に制御する事が可能となり、他の技術とは一線を画した技術に進化しつつある。本発表ではZnOなどの金属酸化物を対象に、ミストCVD技術と機能薄膜形成メカニズムについて詳しく報告する。

16:10〜16:30
研究紹介3 「IoT 活用を目指した低温熱電発電用ナノ材料の創製」
(大阪大学 中村芳明)
IoT センサに活用できる電源が必要とされている。その中で、身の周りのどこにでもある低温の未利用熱を使った熱電発電が有望視されているが、一般にエネルギー変換効率が低いといった問題がある。そこで、高性能熱電材料の開発が精力的に行われ、その取り組みの中で、ナノ構造を用いたアプローチ法が注目を浴びている。本講演では、高性能の環境調和型熱電材料を創成するためのナノ構造設計指針を提案し、実際に高性能化に成功したナノ構造含有薄膜(ナノ材料)の例について紹介する。

16:30〜17:15
招待講演2 「低融点金属を主とする金属酸化物半導体薄膜におけるOエンジニアリング」
(高知工科大 山本哲也)
融点が低い金属 Zn, In, Ga, 及び Sn などを用いる酸化物半導体 (MO) 薄膜における O エンジニアリングを議論する。ガラス基板やフレキシブルポリマーフィルム基板などの上へ MO 薄膜を成膜する場合の課題は下記の通りである。界面密着性、多結晶薄膜内配向性、結晶子内酸素空孔及び粒界表面上吸着酸素及び残留アルゴン制御。上記課題を解決すべく 100 eV 以下なるエネルギーを特徴とする正イオンフラックスや独自開発の酸素負イオン生成・照射技術など設計的 O エンジニアリングによる成果(高ホール移動度 (In2O3:Ce, H) や酸素空孔消滅 (ZnO) など)を紹介する。

2月9日(日)@高知工科大学香美キャンパス

10:00〜12:00
山本哲也研等ラボ見学

アクセス

1日目:高知工科大学永国寺キャンパス
アクセス https://www.kochi-tech.ac.jp/about/campus/eikokuji.html
2日目:高知工科大学香美キャンパス
アクセス https://www.kochi-tech.ac.jp/about/campus/kami.html

集合写真など

更新:2020/3/20