「応用物理学会」は文字通り,物理の応用に関する観点から社会の発展に貢献したいと思う個人が形成するコミュニティーですから,話題の対象分野は広く,また,社会ニーズに対応して変化するダイナミズムに富みます.例えば,九州地域経済を支える産業である半導体,自動車,太陽電池などは言うまでもなく,電力などの社会インフラ,地域の新興産業として期待されている食品や医療・バイオなど,実に様々な分野をカバーしています.しかも,新しい現象の発見から実用化開発に関するものまで,様々なフェーズの情報がやりとりされます.応用物理学会が2万余名の会員を擁する国内有数の規模をもち,しかも大学等の学術機関と民間企業の会員数がほぼ半分ずつであるというように,多方面・多数の方々から支持をいただいているという事実は,応用物理学会の魅力を素直に表していると思っています.”物理”と名が付いているから自分とはあまり関係がないと思っておられる方々も,例えば,九州支部のシンポジウムや講演会を一度覗いてみてください.
さて,応用物理学会会員で九州支部に属しておられる方々には,会員の皆様それぞれの研究・開発・教育業務の発展に資する環境作り,ならびに,九州・沖縄地区における学術と産業のさらなる発展のために,支部全体として以下の2点に力を入れていきたいと思っていますので,これまで以上に積極的なご意見をお寄せ頂きたくお願いします.
一つめは,国際化に関する取り組みです.これは以前より提唱され,支部会員の皆様には既にご尽力をいただいているところではありますが,持続性があり,組織としての取り組みが明確な国際活動の策定に向けて様々な試行を進めたいと思っております.
もう一つは,産学連携の一層の推進です.九州地区は”一割経済”と言われます.すなわち,人口も産業規模も全国のほぼ一割を占めるというものです.一方,本支部に目を向けて見ますと,支部会員数は約千名ですので,”一割”までは少し遠いのが実情です.これは,九州地区では企業会員の比率が少ない,というのが要因であると思っています.本支部の社会貢献のアクティビティーをさらに拡大するために,様々な産学連携の取り組みを試行しいきたいと思っています.
九州支部長 浅野種正
