次世代科学技術分野として「量子科学技術」は世界的に注目を浴び,各国において大規模な研究プログラムが始まっている. 特に「固体量子センサ」は比較的早期に社会実装が実現できる技術として,世界各国の大学,国研などの公的研究機関, 及び民間企業で研究開発が進められている.日本においても,文部科学省によるQ-LEAP(光・量子飛躍フラッグシップ)プログラムのもと, 「量子計測・センシング技術領域」が設定され,ダイヤモンドNV中心によるセンサ開発が産学官の体制でフラグシップとして進められ, 多くの大学,国研などの公的研究機関,民間企業の研究者が本領域の研究開発に大きな関心を寄せている. 医療などの幅広い分野での応用も期待され,産業界の期待も大きく,次の世代の応用物理学会における新分野となると考えられる. 加えて,このほど政府の「統合イノベーション戦略」に基づいて策定された「量子技術イノベーション戦略」(令和2年1月21日)においては, 主要技術領域の一つに量子計測・センシングが位置づけられ,固体量子センサ(ダイヤモンドNV中心等)が同領域の重点技術課題の筆頭に掲げられた. 同戦略では,固体量子センサは,「わが国が作製技術に強みを持ち,将来的に医療・健康分野をはじめ幅広い分野での応用が期待されることから, 基礎から応用・実用化に至るまでの幅広い研究開発等を重点的に推進すること,一方でデバイス開発等での早期活用・応用が期待されることから, 企業等の積極的な参画を促進し,短中期での実用化・事業化等に向けた取組を展開すること」が掲げられている.
以上のような背景に基づいて,本研究会では,ダイヤモンドNV中心をはじめとする固体量子センサに関わる技術の産官学の交流の場を設け, 学術的な成果の加速を目指することを目的とする.そのための具体的な事業として,セミナーなどの会合,市場動向調査(ワーキンググループ), 関連研究者間の交流会を通し,応用物理学およびその周辺研究分野の研究者間の連絡をはかり,固体量子センサに関する発展に寄与する活動を行う. (2020年4月)
2020年4月
約200名(2023年12月)