ダイヤモンドNV量子センサと量子計測の基礎と展開
日時
3月23日(水)9時00分〜11時30分(講義1: 70分、休憩10分、講義2: 70分)
プログラム
講義1:「ダイヤモンドNV量子センサの基礎と応用(仮題)」岩ア孝之准教授(東工大)
講義2:「量子計測の基礎と量子もつれ利用による高感度化への展開(仮題)」松崎雄一郎(産総研)
概要
固体量子センサは,量子科学技術の中でも比較的早期に社会実装が期待できる技術として,世界各国の大学,国研,及び民間企業で研究開発が進められています.我国においても,国プロ(文科省 Q-LEAP 2018〜)や研究会(応用物理学会 固体量子センサ研究会 2020〜)の発足もあり,新たな実験的知見や理論的進展の報告が活発化しています.本チュートリアルでは,同日(午後)開催のシンポジウムに先立って,ダイヤモンドNVセンタによる量子計測・センシングに関する材料・デバイス・応用面と量子計測理論面について,それぞれ若手の第一人者に講義いただきます.
前半では,東工大・岩ア孝之准教授より,NVセンタの基礎とセンサ応用の基礎となる光励起磁気共鳴の原理等について,初学者にもわかりやすく解説いただきます.併せて,実際のセンサデバイス・システムの開発事例や,期待される応用例,将来像などについても概観いただきます.同氏は,ダイヤモンドNVセンタを用いたQ-LEAP固体量子センサFlagshipプロジェクト(研究代表者 東工大 波多野睦子教授)の中核となるセンシングシステムGrのリーダとして,NVダイヤ材料からセンサデバイス・計測システムまでの研究開発を幅広く推進されており,2020年4月には応用物理誌に,解説「光検出磁気共鳴顕微鏡」を執筆されています.
後半では,産総研・松崎雄一郎主任研究員より,NVセンタを含む量子計測の基礎的なところから,もつれ利用による新たな高感度センシングの可能性まで,理論面から講義いただきます.同氏は,量子計測・量子情報理論の専門家であり,2021年3月には量子センシングハンドブック(エヌ・ティー・エス)第5章量子センシング理論に,「第4節量子もつれを用いた磁場センサの理論」を執筆されています.本講義では、量子ビットを用いた磁場センサの原理等についてわかりやすくお話しいただくとともに、量子ビット間の重ね合わせや量子もつれを用いた高感度化可能性について最新の研究成果に基づいて講義いただきます.