Monthly Archives: 1月 2008

表面・ナノ科学シンポジウム2008

2008年1月22~25日、ホテル安比グランド

更新:2008/1/22

特別研究会(第13回)

「ゲートスタック研究会 ― 材料・プロセス・評価の物理」(シリコンテクノロジー研究会と共催)
2008年1月14~15日、東レ総合研修センター

更新:2008/1/14

第13回 LSI配線における原子輸送および応力問題研究会

2008年7月17~18日、東京工業大学 大岡山キャンパス

更新:2008/1/1

基礎講座:計算機ナノマテリアルデザイン入門 ~新物質ナノ超構造・新機能材料薄膜合成の指針を求めて~

第37回 薄膜・表面物理 基礎講座(2008)概要

共催

応用物理学会薄膜・表面物理分科会、CMD(R)&大阪大学物性グローバルCOE

協賛

日本物理学会、日本化学会、日本金属学会、日本表面科学会、電子情報通信学会、電気学会、触媒学会、日本真空協会、電気化学会、表面技術協会、日本顕微鏡学会、高分子学会、精密工学会、日本結晶学会、日本結晶成長学会、日本磁気学会、日本セラミックス協会、日本放射光学会(依頼中)

概要

量子力学に基づいた計算機によるマテリアルデザイン(CMD(R))が注目され、このCMD(R)を用いた新しい材料の設計・創成が期待されています。ここでは、第一原理計算の基礎、第一原理計算に基づいた各種ソフトウェアとその使用法について解説します。またそのソフトウェアを用いた新物質や新デバイス、新プロセス、知的財産の創出への事例を紹介し、そのパワフルな効用について示します。聴講者は会場で用意された計算機に実際にプログラムをインストールして、簡単な計算を行うことにより、計算機によるマテリアルデザインを体験することができます。本講座は本格的なCMDワークショップ(http://www.dyn.ap.eng.osaka-u.ac.jp/cmd/)への序論となります。

日時

平成20年11月21日(金) 9:40-18:30
平成20年11月22日(土) 9:30-17:00

場所

早稲田大学理工学術院(大久保キャンパス/理工メディアセンター63号館3階C教室)
〒169-8555東京都新宿区大久保3-4-1
http://www.mse.waseda.ac.jp/

地下鉄副都心線 西早稲田駅下車 出口3がキャンパスに直結
JR高田馬場駅 戸山口下車 徒歩10分
JR新大久保駅 下車 徒歩10分
地下鉄東西線-高田馬場駅 下車 徒歩12分
西武新宿線-高田馬場駅 下車 徒歩12分

 

プログラム(題目をクリックすると要旨がご覧になれます)

11月21日(金)
日時 講演題目 講師
9:40-10:00 計算機実習のための説明とトレーニング 渡邉孝信(早大)
10:00-11:00 計算機ナノマテリアルデザインの基礎と応用物理へ成功事例:デザイン・実証から権利化まで 吉田 博(阪大)
11:00-13:00 HiLAPWの使い方と応用事例(実習付き) 小口多美夫(広大)
13:00-14:00 昼食
14:00-16:00 グリーン関数法による量子シミュレーション・デザイン手法: machikaneyamaによる量子シミュレーションの実際(実習付き) 赤井久純(阪大)
16:00-16:30 休憩
16:30-18:30 STATE-senriの使い方と応用事例:触媒、燃料電池、有機分子エレクトロニクスへの応用(実習付き) 森川良忠(阪大)

 

11月22日(土)
日時 講演題目 講師
9:30-11:30 Osakaの使い方と応用事例: 不純物制御への応用(実習付き) 白井光雲(阪大)
11:30-12:30 昼食
12:30-14:30 量子ダイナミクスシミュレーションNANIWAとその燃料電池開発への応用事例 笠井秀明(阪大)
14:30-15:00 休憩
15:00-17:00 ABCAPを用いた熱起電力の計算(実習付き) 浜田典昭(東京理科大)

 

 

参加費

テキスト代、消費税含む

薄膜・表面物理分科会会員 * 応用物理学会会員 **
協賛学協会会員
学生 その他
15,000円 20,000円 10,000円 25,000円

*薄膜・表面物理分科会賛助会社の方は、分科会会員扱いといたします。現在非会員の方でも参加申込時に薄・表分科会(年会費 A:3,000円,B:2,200円)にご入会いただければ、本講座より会員扱いとさせて頂きます。下記応物ホームページより入会登録を行い、仮会員番号取得後、本講座に参加お申し込み下さい。入会決定後、年会費請求書をお送りいたします。本講座参加費と同時に振込しないで下さい。
http://www.jsap.or.jp/
**応用物理学会賛助会社の方は、応用物理学会会員扱いといたします。
***学生の場合、会員・非会員とも参加費は同額です。

受講者に望まれる計算機スキル

UNIXベースのラインコマンドでファイル操作等ができ、viあるいはemacsを用いてファイルの編集ができること。

定員

50名

参加申込方法

ここから参加登録して下さい。
参加登録完了後、下記銀行口座に参加費をご連絡いただいた期日までにお振込ください。原則として参加費の払い戻し,請求書の発行は致しません。
*領収書は当日受付にてお渡しいたします。

参加費振込先

三井住友銀行 本店営業部(本店も可)
普通預金 9474715
(社)応用物理学会 薄膜・表面物理分科会
(シャ) オウヨウブツリガッカイハクマク・ヒョウメンブツリブンカカイ

参加申込締切

2008年11月18日(火)

内容問合せ先

森本章治(金沢大学)
TEL:076-234-4876
FAX:076-234-4870
E-mail:amorimot@ec.t.kanazawa-u.ac.jp

坂間 弘(上智大学)
TEL: 03-3238-3435
FAX: 03-3238-3341
E-mail:h-sakama@sophia.ac.jp

渡邉孝信(早稲田大学)
TEL&FAX: 03-5286-1621
E-mail:watanabe-t@waseda.jp

参加問合せ先

〒102-0073 東京都千代田区九段北 1-12-3
井門九段北ビル5F
応用物理学会 分科会担当  伊丹
TEL:03-3238-1043
FAX:03-3221-6245
E-mail:divisions@jsap.or.jp

講演詳細

講演題目

計算機実習のための説明とトレーニング

講師

渡邉孝信(早稲田大学理工学術院)

要旨

本基礎講座で使用する計算機環境ならびにUNIX端末の基本的な操作方法を説明する。

実習

計算機実習

講演題目

計算機ナノマテリアルデザインの基礎と応用物理へ成功事例:
デザイン・実証から権利化まで

講師

吉田博(大阪大学基礎工学研究科)

要旨

産業構造の変化とともに、次世代ナノエレクトロニクス材料、創エネルギー材料、環境調和材料、生体調和材料、安心安全保障材料、などの応用物理分野で不可欠となってくると計算機ナノマテリアルデザインと実証、および、それらを用いたマテリアルやデバイスの応用開発への成功事例をもとに、計算機ナノマテリアルデザインの基礎、応用、権利化に関する講義を実証例を基に行う。

実習

なし

講演題目

HiLAPWの使い方と応用事例

講師

小口多美夫(広島大学大学院先端物質科学研究科)

要旨

全電子フルポテンシャル線形補強平面波(FLAPW)法とこれに基づく第一原理計算コードHiLAPWに関して概説する。強誘電体材料や薄膜・表面系等への適用例を紹介し、応用分野での有用性を示す。実習では簡単な系に対する電子状態計算の基本を体験する。

実習

計算機実習

講演題目

グリーン関数法による量子シミュレーション・デザイン手法:
machikaneyamaによる量子シミュレーションの実際

講師

赤井久純(大阪大学大学院理学研究科)

要旨

Machikaneyamaはグリーン関数法を用いた量子シミュレータである。この量子シミュレータを用いることによって、普通の電子状態計算では取り扱いが難しい、不規則系や混晶、不純物系の電子状態をシミュレートしたり、電気伝導等の散乱問題を直接解いたりすることができる。

実習

計算機実習

講演題目

STATE-senriの使い方と応用事例: 触媒、燃料電池、有機分子エレクトロニクスへの応用

講師

森川良忠(大阪大学産業科学研究所)

要旨

STATE-senriの特徴と使い方について簡単に説明し、これらを用いた応用事例として排気ガス分解のナノ触媒機構とデザイン、燃料電池における水の電気分解ナノダイナミックス、および、有機分子エレクトロニクスへの応用について講義し、ソフトウェアの簡単な使い方の実習もおこなう。

実習

計算機実習

講演題目

Osakaの使い方と応用事例: 不純物制御への応用

講師

白井光雲(大阪大学産業科学研究所)

要旨

擬ポテンシャル法の基本的な使い方を説明する。同時に、物質合成プロセスに応用を意識して、有限温度、有限圧力への拡張を強調する。具体例として近年超伝導として話題となっている半導体への高ドーピング法を取り上げ、第一原理計算がいかに物質合成プロセスへ適用できるかを示す。

実習

計算機実習

講演題目

量子ダイナミクスシミュレーションNANIWAとその燃料電池開発への応用事例

講師

笠井秀明(大阪大学大学院 工学研究科 精密科学・応用物理学専攻)

要旨

水素等の軽元素では量子効果が著しく、それらが関与する反応においては、イオンコアの運動に対しても量子力学を適用する必要がある。NANIWAシリーズは、その量子反応シミュレーションを実行するコードである。ここでは、NANIWAの概要とこれを用いた固体高分子形燃料電池実用化戦略的技術開発に関する講義を行う。原子スケールで進行する反応素過程の解析から、反応阻害要因の特定、反応活性を改善するデザインまでの一連の研究過程を紹介する。

実習

無し

講演題目

ABCAPを用いた熱起電力の計算

講師

浜田典昭(東京理科大学 理工学部 物理学科)

要旨

全電子FLAPW法バンド計算パッケージ(ABCAP)を用いて半導体のバンド構造を計算し、さらにボルツマン方程式に基づき熱起電力を評価する。熱起電力を高温で大きく保つためにはある程度のバンドギャップと大きなキャリア密度が必要となる。実習を通して、このことを実感する。

実習

計算機実習

更新:2008/1/1

2008 International Workshop on DIELECTRIC THIN FILMS FOR FUTURE ULSI DEVICES: SCIENCE AND TECHNOLOGY

詳細

2008年11月5~7日、東京工業大学

更新:2008/1/1

セミナー:クラスタービームによる加工・解析技術の基礎から最先端 -半導体・有機薄膜の次世代技術-

第36回 薄膜・表面物理セミナー (2008)

概要

協賛

日本物理学会、日本化学会、日本金属学会、日本表面科学会、電子情報通信学会、電気学会、日本真空協会、日本顕微鏡学会、日本分析化学会、日本質量分析学会(依頼中)

主旨

原子・分子クラスターイオンビーム技術は、数100個から数1000個の原子の塊(クラスター)からなるイオンを高速で固体表面に衝撃し、表面加工や表面分析に展開する新しい技術で、“日本の独創技術”として注目されてきています。クラスタービームは、従来の単原子・分子イオンビームとは異なり、固体表面に照射すると多体衝突による非線形相互作用が起こり、表面の超平滑加工、表面処理、極薄膜成膜、Layer-by-Layerエッチング、エッチングによる試料損傷の低減といった従来技術を凌駕する特性を有しています。このため最近、半導体平坦加工・光学薄膜作成への応用、さらにはクラスターイオンを励起源とした二次イオン質量分析法、有機薄膜に対する表面分析の深さ方向分析への展開も進んできています。本セミナーでは、原子・分子クラスターイオンの今までの研究の歩み、クラスターイオンと表面との相互作用の特性の解説、また、この技術の応用としての半導体などのナノ加工技術・成膜技術の紹介、さらにはクラスターイオンと表面相互作用の特性を利用した有機薄膜表面分析への展開を紹介します。

日時

平成20年7月17日(木) 10:00-16:50
18日(金) 9:30-15:20

場所

東京大学理学部1号館 小柴ホール
(東京都文京区本郷7-3-1、03-5841-8346)
http://www.u-tokyo.ac.jp/campusmap/map01_01_j.html(キャンパスアクセスマップ)
http://www.s.u-tokyo.ac.jp/koudou/koshiba.html(小柴ホールマップ)

 

プログラム(題目をクリックすると要旨がご覧になれます)

7月17日(木)

日時 講演題目 講師
10:00-10:50 原子・分子クラスターイオン技術の進展 山田 公
(京都大)
10:50-12:00 クラスターイオンと固体表面との相互作用-表面衝突現象、照射効果- 豊田紀章
(兵庫県立大)
12:00-13:10 昼休憩
13:10-14:00 クラスターイオンの挙動に対する計算機シミュレーション 青木学聡
(京都大)
14:00-14:40 クラスターイオンビーム照射による光学デバイスの高精度加工 鈴木晃子
(日本航空電子)
14:40-14:50 休憩
14:50-15:30 GCIB援用による硬質カーボン膜の形成と応用 北川晃幸
(野村鍍金)
15:30-16:10 磁性材料の無損傷加工 角田 茂
(日立)
16:10-16:50 クラスターボロンビームのSiデバイスへの適用 川崎洋司
(ルネサステクノロジ)

 

7月18日(金)

日時 講演題目 講師
9:30-10:20 半導体イオン注入技術-クラスターイオンビーム装置と応用技術- 丹上正安
(日新イオン機器)
10:20-11:10 C60クラスタービームの発生とその特性 井上雅彦
(摂南大)
11:10-11:30 休憩
11:30-12:20 金属錯体クラスターイオンビームの特性と表面分析への応用 藤原幸雄
(産総研)
12:20-13:40 昼休憩
13:40-14:30 新しいクラスターイオンとしての帯電液滴クラスターイオンビーム-その原理と有機薄膜材料への応用- 平岡賢三
(山梨大)
14:30-15:20 光電子分光法(XPS)における有機薄膜深さ方向分析へのクラスターイオンビームの展開 飯島善時
(日本電子)

 

参加費

薄膜・表面物理分科会会員 * 応用物理学会会員 **
協賛学協会会員
学生 その他
15,000円 20,000円 3,000円 25,000円

*薄膜・表面物理分科会賛助会社の方は分科会会員扱いといたします.
** 応用物理学会賛助会社の方は,応用物理学会会員扱いといたします.

現在非会員の方でも,参加登録時に薄膜・表面物理分科会(年会費A会員:3,000円,B会員:2,200円)にご入会いただければ,本セミナーより会員扱いとさせていただきます.
http://www.jsap.or.jp/ より入会登録を行い,仮会員番号を取得後,本セミナーにお申込み下さい.入会決定後,年会費請求書をお送りいたします.
(年会費をセミナー参加費と同時にお振込なさらないで下さい)

定員

100名(満員になり次第締め切ります)

参加申込締切

2008年7月3日(木)

参加申込方法

下記分科会ホームページ内の登録フォームにて参加登録してください
https://annex.jsap.or.jp/phpESP/public/survey.php?%20name=HakuhyouSeminar36
参加登録完了後,下記銀行口座に参加費をご連絡いただいた期日までにお振込ください.原則として参加費の払い戻し,請求書の発行は致しません.領収書は当日会場にてお渡しいたします.

参加費振込期限

2008年7月10(木)
参加費の入金確認後、参加証をお送りします。

参加費振込先

三井住友銀行 本店営業部(本店も可)
普通預金 口座番号: 9474715
(社) 応用物理学会 薄膜・表面物理分科会
(シャ) オウヨウブツリガッカイハクマク・ヒョウメンブツリブンカカイ

セミナー内容問合せ先

日本電子(株) 電子光学機器営業本部
飯島 善時
TEL: 042-528-3353  FAX: 042-528-3385
E-mail:iijima@jeol.co.jp

東京大学 理学系研究科物理学専攻
長谷川 修司
TEL: 03-5841-4167  FAX:03-5841-4167
E-mail:shuji@surface.phys.s.u-tokyo.ac.jp

参加登録問合せ先

応用物理学会事務局分科会担当
伊丹 文子
TEL: 03-3238-1043  FAX: 03-3221-6245
E-mail:divisions@jsap.or.jp

講演詳細

講演題目

原子・分子クラスターイオン技術の進展

講師

山田 公(京都大学)

クラスターイオンビーム技術は、100余年続いたイオンビームの分野に、新たに参入した日本の独創技術です。クラスタービームの発生を問う研究からはじまり、すでに20余年が経過しました。種々照射効果に関わる基礎技術の確立を経て、次世代電子、磁気、光学デバイスの製造に用いられ始めています。クラスターイオンビームの超低エネルギー照射効果、ラテラルスパッタ効果、高反応効果などの原理的特徴は、ナノ精度で量産を可能にする製造技術として注目を浴びています。本技術の背景、開発経過などを述べながら、従来技術には見られないプロセスの特長を概説し、実用化が進んでいる産業分野の動向を紹介します。

講演題目

クラスターイオンと固体表面との相互作用-表面衝突現象、照射効果

講師

豊田 紀章(兵庫県立大学)

ガスクラスターイオンビームは、一原子あたりのエネルギーが数eV/atomであるにもかかわらず、表面層のみへの高密度エネルギー付与が可能なため、低損傷で表面をナノメートルオーダーで加工することが出来る新しい技術として注目されている。特に固体との衝突現象においては、従来使われてきた単原子イオンビームが線形衝突を起こすのに対して、ガスクラスターイオンビームの固体表面衝突時には表面原子との多体衝突を引き起こし、高温・高圧状態の形成、ラテラルスパッタリングなど特有の衝突現象・照射効果を示すことが明らかとなっている。ここでは、このようなガスクラスターイオン特有の表面衝突現象や照射効果についての基本的な特長を解説し、それらがどのような応用に期待できるかを説明する。

講演題目

クラスターイオンの挙動に対する計算機シミュレーション

講師

青木 学聡(京都大学)

巨大な原子集団であるクラスターを用いるクラスターイオンビーム技術では、従来の単原子イオンビームで制御されてきた照射エネルギー、照射量、照射原子種に加え、クラスターを構成する個数(クラスターサイズ)が新たなパラメータとして加わる。これらのパラメータの違いによるクラスターイオン衝突に特徴的な多体衝突効果の特性を明らかにすることは、基礎科学および応用の両面からみて重要な課題である。分子動力学法による計算機シミュレーションは、多数の原子同士の衝突過程を直接的に示すものであり、種々の高精度計測技術と連携することでクラスター衝突素過程の解明に大きな役割を果たしている。今回の講演では、様々なクラスターイオン衝突シミュレーションを通じて、クラスターと単原子イオン衝突との類似点・相違点を示すと共に、実際の表面ナノ加工プロセスへの応用上重要である表面平坦効果やスパッタリング効果のモデル化の事例を紹介する。

講演題目

クラスターイオンビーム照射による光学デバイスの高精度加工

講師

鈴木 晃子(日本航空電子(株))

光デバイスなどの微細な構造体の高精度加工技術として、ガスクラスターイオンビーム(GCIB)斜め照射技術が注目されている。GCIB斜め照射技術は、従来難しかった3次元構造体の側面、例えばフォトニック結晶の誘電体ピラーの側面など、を研磨することができる。表面の突起先端を選択的に取り除き、低損傷で加工できる特徴がある。MEMS(Micro-Electro-Mechanical Systems)光スイッチの垂直ミラーの研磨に適用した結果、表面粗さ低減によりミラーの光散乱が減少し、クロストークなどのデバイス特性が向上することがわかった。

講演題目

GCIB援用による硬質カーボン膜の形成と応用

講師

北川 晃幸(野村鍍金(株))

当社ではガスクラスターイオンビーム(GCIB)を用いた新しい硬質カーボン膜(DLC : Diamond Like Carbon)の形成方法を開発している。GCIBの低エネルギーかつ高密度エネルギー照射効果を利用することにより、得られるDLC膜はビッカース硬度5000kg/mm2、耐熱温度500℃であり、成膜温度は100℃以下に抑えられる。従来のDLC膜と比較すると、硬度は2~3倍、耐熱性2倍、成膜温度1/2以下である。基板が超硬基材の場合のスクラッチ強度は100Nと高い密着強度も有し、DLC膜の特徴である潤滑性(摩擦係数0.1)および表面平坦性(Ra0.5nm以下)も兼ね備える。
工具チップ応用した場合15倍以上、刃物に用いた場合3倍以上の耐久性が改善できている。いずれも膜厚は0.5μm以下であり、被覆部品の寸法精度を変えることなく耐久性を改善することが可能である。

講演題目

磁性材料の無損傷加工

講師

角田 茂(日立製作所)

磁性材料は、情報を記憶するための磁気記録媒体・装置に用いられ、非常に重要な役割を担っている。これらは複合材料で構成され、加工損傷に非常に敏感である。したがって、次世代磁気記録デバイスの製造には磁性材料の無損傷加工技術が必須となる。ガスクラスターイオンビーム(GCIB)は、ラテラルスパッタ効果や低エネルギー照射効果により低損傷で平坦加工を可能にする有力な候補技術の一つである。
本講演では、磁性材料の超平坦・無損傷加工(平均面粗さ(Ra)1nm以下、加工ダメージ深さ1nm以下)を実現するGCIBプロセスについて紹介する。加工ダメージは二次イオン質量分析法(SIMS)及びX線反射率法(XRR)、表面粗さは原子間力顕微鏡(AFM) を用いて測定した。GCIBを試料表面と平行に近い角度から斜め照射することにより、平均表面粗さ0.7nm、加工ダメージ深さが0.7nmの磁性膜表面を得た。また、このとき、膜歪みや磁気特性に影響を与えることなく加工できることを微小角入射X線回折法(GI-XRD)、及び試料振動型磁力計(VSM)により示した。上記無損傷加工は、従来法であるモノマーイオンビームでは実現不可能である。
本講演に関する研究の一部は独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)による委託事業「次世代量子ビーム利用ナノ加工プロセス技術の開発」の元で行われたものである。また、GI-XRD測定は財団法人高輝度光科学研究センター承認の元、Spring-8にて実施した。

講演題目

クラスターボロンビームのSiデバイスへの適用

講師

川崎 洋司(ルネサステクノロジ)

「クラスタボロンビームのSiデバイスへの適用」

浅接合を目的としてイオン注入の低エネルギー化が行われる一方で、ビームの質・量を維持することが難しくなっている。このビーム特性劣化は、注入装置の生産性低下と同時に注入分布のばらつきをも引き起こす。45nmノード以降のデバイスでは、このようなプロセスばらつきが製品歩留まりの低下につながると懸念されている。
我々は、このイオン注入での課題を克服するため高ドーズレート、重イオンの特徴を備えたクラスタドーピングを新規技術として検討している。本講演では、B18H22を用いたイオン注入、B2H6を用いたGas Cluster Ion Beamによって形成された各々のボロン注入層の特性と、これらをソースドレインExtensionに適用した場合のPMOSFETについて述べる。

講演題目

半導体イオン注入技術-クラスタービーム装置と応用技術-

講師

丹上 正安(日新イオン機器)

45nm以降の次世代半導体ICトランジスターは、従来のサイズ縮小のみによる微細化がいよいよ限界に達してきたので、新しい材料(High-k絶縁膜とMetalゲート電極)と構造(FinFETに代表される3次元トランジスター)によって実現されると予想されています。それらのトランジスターを作るにはイオン注入にも、従来以上のあるいは従来と異なった技術・装置性能が要求されています。それは、1)低エネルギービーム量アップ、2)ビーム角度の低減と再現性、3)低温高活性化対応、4)歪形成技術、等々です。
クラスターイオン注入は多数の原子をまとめて1個の電荷を載せて注入するため、従来のイオン注入に比べて低エネルギーで大電流ビーム注入ができ、ビームの広がり角度を下げて注入することができます。また、シリコン基板に注入した場合シリコン結晶との相互作用が大きく注入層が容易に非晶質化し、きれいな結晶-非晶質界面が形成されます。これによって、アニールした時に低温で活性化率の高い再結晶化が可能です。さらに、現在開発中ですがn-MOSへのカーボン注入によるSi:C形成技術でも、クラスターカーボンを用いるとSi:C形成率の高い歪形成が可能になります。これらのことから次世代半導体ICの製造にクラスターイオン注入は不可欠の技術であると思われます。
講演では、上記プロセス技術について紹介し、半導体生産用クラスターイオン注入装置の開発状況を報告します。

講演題目

C60クラスタービームの発生とその特性

講師

井上 雅彦(摂南大学)

イオンビームスパッタエッチングを用いた高分解能3次元表面分析においてイオンビームの微細化とソフトスパッタリングの両立を可能にするという点でクラスタイオンビームの利用が有望視されている。本研究では,表面分析の現場で利用可能な小型のC60クラスタイオン銃を開発することを目的とし,電子衝撃型のクラスタイオン源,回転電場型の質量フィルタ(Rotating Field Mass Filter:RFMF),およびそれらを動作させる制御コントローラを新たに設計・製作し,特性評価を行った。

講演題目

金属錯体クラスターイオンビームの特性と表面分析への応用

講師

藤原 幸雄(産業総合研究所)

近年、クラスターイオンを二次イオン質量分析(Secondary Ion Mass Spectrometry, SIMS)における一次イオンビームとして用いることで高精度かつ高感度なSIMS分析が可能となることがわかり、Au3+ やC60+ などを用いた“ Cluster SIMS ”が注目を集めている。産総研では、それらのイオンよりも分子量が大きい「金属クラスター錯体」という巨大分子を用いたクラスター・イオンビーム源を開発し、シリコンや有機薄膜のSIMS分析に応用し、その有用性を実証したので報告する。また、より一層巨大で多種多様なクラスターイオンのビーム化を可能とするため、現在、研究を進めている新しいタイプの“溶液型クラスターイオン源”に関しても、併せて報告する。

講演題目

新しいクラスターイオンとしての帯電液滴クラスターイオンビーム
-その原理と有機薄膜材料への応用

講師

平岡 賢三(山梨大学)

大気圧下で水をエレクトロスプレーし、生成した帯電水滴を真空中に導入する。この帯電水滴([(H2O)100,000 + 100H]100+)を10kVで加速して試料を衝撃する。帯電水滴は~12km/sで表面と衝突するので、衝突界面に衝撃波が発生する。これにより、試料(バイオ試料、有機材料、半導体、金属など)の表面が、分子レベルでエッチングされ、同時に二次イオンが効率よく発生する。生成するイオンは分子イオンが主である。また、長時間照射において、試料の損傷は認められない。これは、衝突過程が断熱的であることを示す。本方法は、SIMS/XPS/Auger等の複合装置のイオン源として期待される。

講演題目

光電子分光法(XPS)における有機薄膜深さ方向分析へのクラスターイオンビームの展開

講師

飯島 善時(日本電子(株))

光電子分光法(XPS)は半導体材料、高分子材料など広く材料表面の化学結合状態分析に使用されている。しかし深さ方向分析ではAr単原子イオン照射(エッチング)による高分子材料の分解などが発生する。これらエッチング時の損傷を無くし、高分子材料の深さ方向分析を行う手法として各種クラスターイオンによるエッチング方法が近年提唱されている。このクラスターイオンエッチングでは今まで問題となっている副生成物の生成・付着がなく、組成比・化学結合状態変化なく深さ方向分析ができることが期待される。本報告はクラスターイオン(特に帯電液滴照射)を用いたXPS深さ方向分析の現状と課題について報告する。

更新:2008/1/1

第55回 応用物理学関係連合講演会

クラスター、ナノ粒子の作製・制御と応用

概要

日時

2008年3月27日 13:00-17:30

場所

日本大学 理工学部 船橋キャンパス


グラフェンは“面白い”、“役に立つ”-基礎物理から応用まで-

日時

2008年3月28日 13:10-17:45

場所

日本大学 理工学部 船橋キャンパス


 

プログラム(敬称略)

2008年3月27日「クラスター、ナノ粒子の作製・制御と応用」
時間 講演題目 講演者
13:00-13:10 イントロダクトリートーク:
クラスター、ナノ粒子の作製・制御と応用
松並 由木(富士フィルム)
13:10-13:45 半導体ナノ粒子の光触媒作用 大谷 文章(北大 触媒セ)
13:45-14:20 半導体ナノ構造の表面界面による物性制御 神谷 格(豊田工大 先端工学)
14:20-14:55 様々な無機ナノ粒子の液相精密構造制御と物性 寺西 利治(筑波大院 数理物質科学)
14:55-15:30 自己組織化による銀ナノ粒子の異方集積と近赤外バイオセンシングへの応用 是津 信行(阪大院工 超精密セ)
15:30-15:45 休憩
15:45-16:20 魔法組成配位子保護金クラスターの合成と構造・物性 佃 達哉(北大 触媒セ)
16:20-16:55 有機金属クラスターの気相合成とソフトランディングによる光磁気材料の構築 中嶋 敦(慶応大 理工)
16:20-17:30 金属ナノ粒子の形状・サイズによる光学応答の制御 中村 新男(名大院工)

 

2008年3月28日「グラフェンは“面白い”、“役に立つ”-基礎物理から応用まで-」
時間 講演題目 講演者
13:00-13:15 イントロダクトリートーク:
シンポジウムのねらい
徳本洋志(北大)
13:15-14:00 (基調講演)
グラフェン研究の現状と物理
安藤恒也(東工大)
14:00-14:15 (グラフェン創製と評価)
ラジカル制御によるグラフェンの構造制御と電気特性
堀 勝(名大工)
14:15-14:30 (グラフェン創製と評価)
ナノグラフェン端の構造と電子状態
斉木幸一朗(東大)
14:30-14:45 (グラフェン創製と評価)
SiC上のグラフェン成長と電気特性
永瀬雅夫(NTT基礎研)
14:45-15:00 (グラフェン創製と評価)
グラフェンの低温成長と構造解析
徳本洋志(北大)
15:00-15:15 休憩
15:15-15:30 (グラフェンの応用物性)
グラフェンのスピンデバイス
白石誠司(阪大)
15:30-15:45 (グラフェンの応用物性)
伝導とゲート電圧効果
塚越一仁(理研)
15:45-16:00 (グラフェンの応用物性)
シリコン上のグラフェンによる高周波デバイス
尾辻泰一(東北大通研)
16:00-16:15 (グラフェンの応用物性)
グラフェンの酸化とコンポジット材料
中村 淳(電通大)
16:15-17:30 (パネルディスカッション)
グラフェンの応用展開
橋詰富博(日立)
17:30-17:40 おわりに 吉村雅満(豊田工大)

更新:2008/1/1