Monthly Archives: 1月 2013

第18回ゲートスタック研究会

 ―材料・プロセス・評価の物理― 

日時・場所

2013 年 1 月 25 日(金)~26 日(土)  ニューウェルシティー湯河原

更新:2013/1/25

表面・ナノ科学シンポジウム2013

日時・場所

 2013年1月15日~18日
 山形県山形市蔵王温泉

更新:2013/1/15

基礎講座:薄膜の成長過程の解明と制御:薄膜のナノ構造を自由に制御するために

第42回 薄膜・表面物理 基礎講座(2013)

News Letter 開催報告

案内(PDF:98.8KB)

概要

協賛

日本物理学会,日本化学会,電子情報通信学会,電気学会,日本表面科学会,日本真空学会,日本顕微鏡学会,日本分析化学会,日本質量分析学会,日本金属学会,触媒学会,電気化学会,表面技術協会,高分子学会,精密工学会,日本結晶学会,日本結晶成長学会,日本磁気学会,日本セラミックス協会(依頼中)

概要

薄膜プロセスは,LSIからパワーエレクトロニクスまで,ナノ構造を制御して高性能・高機能デバイスを作製する際の要であり,電子物性やデバイス応用にあわせてさまざまな手法が用いられております.しかしながら,昨今開発スピードが重視され,創製やその評価にかかわる研究に重点がおかれ,薄膜プロセスのメカニズムの解明やその知見を元にした制御手法の研究についてはやや手薄になっている感があります.そこで,薄膜の成長過程の解明を切り口に成膜プロセスの制御について,横断的かつ系統的に議論を深めることで,基礎から応用まで,また,無機材料から半導体まで,成膜メカニズム解明における種々の知見から見い出される新たな制御手法やアイディアの創出をはかり,ひいては,薄膜開発のスピ−ドアップや新規薄膜の開発に資するべく,今回企画しました.
本基礎講座では,薄膜成長の研究において第一線でご活躍されております先生方に,まず,膜成長の基礎に関して2件,さらに,応用に関して4件(ITO膜、量子ドット,ナノカーボン,SiC膜等)展望していただきます.皆様の多数のご参加をお待ちしております.

日時

2013年11月25日(月) 10:00-17:20(受付開始 9:30)

場所

東工大蔵前会館ロイアルブルーホール
東京都目黒区大岡山2-12-1
TEL:03-5734-3737
東急大井町線・目黒線大岡山駅下車徒歩1分
http://www.somuka.titech.ac.jp/ttf/access/ (アクセスマップ)

 

プログラム

時間 講演題目 講師
10:00-11:00 薄膜作製展望:成膜過程における核生成過程の解明と制御の展開/総論 矢口 裕之(埼玉大学)
11:00-12:00 3次元ナノ構造の作成とその物性解析 田中 秀和(大阪大学)
12:00-13:00 昼休憩
13:00-14:00 ITO膜の成長メカニズムの解明やその制御 重里 有三
(青山学院大学)
14:00-15:00 量子ドットの創製プロセスの解明とその制御 荒川 泰彦(東京大学)
15:00-15:20 休憩
15:20-16:20 ナノカーボン(グラフェン、カーボンナノチューブ)の成長機構とその制御 吾郷 浩樹(九州大学)
16:20-17:20 SiCのエピタキシャル成長機構と欠陥低減化技術 土田 秀一(電力中研)

 

参加費

テキスト代、消費税含む

薄膜・表面物理分科会会員 * 応用物理学会会員 **
協賛学協会会員
学生*** その他
10,000円 15,000円 3,000円 20,000円

*薄膜・表面物理分科会賛助会社の方は,分科会会員扱いと致します.

**応用物理学会賛助会社の方は,応用物理学会会員扱いと致します.

***現在非会員の方でも,参加登録時に薄膜・表面物理分科会(年会費A会員:3,000円,B会員:2,200円)にご入会いただければ,本基礎講座より会員扱いとさせて頂きます.
http://www.jsap.or.jp/join/kojin.html より入会登録を行い,仮会員番号を取得後,本基礎講座にお申込み下さい.
入会決定後,年会費請求書をお送りいたします.(年会費を基礎講座参加費と同時にお振込なさらないで下さい)

定員

80名
受講費支払い順に受付け,満員になり次第締め切ります

参加申込締切

2013年11月18日(月)

参加申込方法

下記分科会ホームページ内の登録フォームにて参加登録してください.
https://annex.jsap.or.jp/phpESP/public/survey.php?name=HakuhyouKisokouza42

参加登録完了後,ご連絡いただいた期日までに,下記銀行口座に参加費をお振込みください.
原則として参加費の払い戻し,請求書の発行は致しません.
領収書は当日会場にてお渡し致します.

参加費振込期限

2013年11月22日(木)

参加費振込先

三井住友銀行 本店営業部(本店も可)
普通預金 9474715
(社)応用物理学会 薄膜・表面物理分科会
(シャ)オウヨウブツリガッカイハクマク・ヒョウメンブツリブンカカイ

企画に関する問合せ先

物質・材料研究機構 土佐 正弘
Tel: 029-851-3354 ex.6532
Fax: 029-859-2501
E-mail: tosa.masahiro@nims.go.jp

金沢大学 徳田 規夫
Tel: 076-234-4875
Fax: 076-234-4870
E-mail: tokuda@ec.t.kanazawa-u.ac.jp

参加登録に関する問い合わせ先

応用物理学会事務局 分科会担当
上村 さつき
Tel: 03-5802-0863
Fax: 03-5802-6250
E-mail: kamimura@jsap.or.jp

講演詳細

講演題目

薄膜作製展望:成膜過程における核生成過程の解明と制御の展開/総論

講師

矢口 裕之(埼玉大学)

薄膜形成過程の基礎に対する理解を踏まえて,薄膜作製をナノスケールで自由に制御する手法について検討する場を設けることを趣旨として総論的な観点から講演を行なう。したがって,講演題目中にある「核生成」については成膜における重要な過程の一つとしてとりあげるが,それだけに限定されることなく,薄膜作製に関する話題を展開していくことにしたい。本講演では,最初,表面への原子あるいは分子の吸着,表面からの脱離,表面拡散,核生成などの薄膜形成過程の基礎について概観する。次に,ナノスケールの薄膜作製を行う上で重要となる,表面の平坦性,界面の急峻性,結晶性,組成制御,歪みの影響などの事項について検討を行なう。さらに,我々がこれまでに行ってきた,IV族混晶半導体SiGe,希釈窒化物半導体GaPN,GaAsN,窒化物半導体GaN,InNなどのエピタキシャル成長を中心として,歪み系ヘテロ構造のコヒーレント成長,サーファクタントを用いた成長,成長中断にともなう組成制御への影響,基板の選択や作製条件の制御による準安定結晶構造薄膜の作製など,主に結晶系薄膜の作製を制御する手法の具体的な例について,薄膜形成過程の基礎を踏まえながら紹介する。

講演題目

3次元ナノ構造の作成とその物性解析

講師

田中 秀和(大阪大学 産業科学研究所)

金属酸化物は強磁性、強/高誘電性、超伝導、半導体機能など多彩な物性・機能を持つ興味深い物質群であり、不揮発性メモリやセンサーなど様々な用途への応用が期待されている。例えばFe3O4などは、スピン偏極率が大きく室温における高いトンネル磁気抵抗効果が期待され、NiO、TiOxなどでは抵抗性メモリ(ReRAM) デバイス応用が期待されている。酸化物ナノ構造の形成は、これらデバイスの将来の極微細・超高集積化デバイスへの展開に加え、ナノスケールのドメインを利 用した新規巨大物性探索・新規デバイス開発への期待も大きい。近年の酸化物薄膜・ヘテロ界面作製技術は、物質群を原子・分子層レベルで組み合わせ、多彩な 物性を制御し新機能材料を創出できるようになってきた。この薄膜成長方向への制御に加え、ナノリソグラフィーにより作成されたナノテンプレートと、パルズ レーザ蒸着法、スパッタ蒸着法を用いたサイドウオール薄膜結晶成長、自己組織化相分離現象等を融合することにより、位置・形状が任意に規定された3次元ナノ構造体(ナノウオール/ワイヤ、ヘテロナノウオール、ナノリング、ナノドット、ナノボックス、コア・シェルナノドット)が創製可能である。機能性酸化物3次元ナノ構造体の作製プロセスとそのナノ機能物性を紹介し、将来の展望について解説する。

講演題目

ITO膜の成長メカニズムの解明とその制御

講師

重里 有三(青山学院大学大学院 理工学研究科 機能物質創成コース)

多結晶ITO (Sn doped In2O3)およびアモルファスIZO (In2O3-ZnO)薄膜に関して、分光エリプソメトリ、X線光電子分光(XPS)、透過型電子顕微鏡(TEM)等による薄膜成長メカニズムの解析例を解説する。近年、透明導電膜を含む多層膜の光学特性に対して、極めて高レベルのものが要求されている。このために薄膜の成長方向に対する光学定数の分布も含めて、精密に光学特性を解析することは、様々な光エレクトロニクスデバイスの光学設計を行う上で必要不可欠である。今回は、分光エリプソメトリの測定データをベースとし、透明導電膜へ適用する場合にベストだと考えられる複数の関数を組みわせた光学モデルを用いたシミュレーションにより、薄膜成長過程における光学定数の変化に関する解析例を解説する。ターゲットにはそれぞれITO焼結体ターゲット(10wt.% : SnO2)、IZO焼結体ターゲット(10.7wt.% : ZnO)を用い、DCマグネトロンスパッタ法によって様々な膜厚で合成石英ガラス基板上に成膜した。作製したITO薄膜およびIZO薄膜に関して、光学モデル構造として単層モデル(IZO薄膜)とGradientモデル(ITO薄膜)を用いて光学特性の精密解析を行った。Gradientモデルは基板の膜厚成長方向に対して屈折率および消衰係数が指数関数的な変化があると仮定し、薄膜の上層と下層をそれぞれTop層とBottom層とし、異なる分散式を用いて定義した。またそれぞれ表面粗さを考慮して表面近傍ではTop層とVoid層を50%ずつ設定した。ITO薄膜ではTop層とBottom層に差異が出たのに対し、IZO薄膜では単層での解析ができたことからIZO薄膜の膜厚方向の均一性はITO薄膜よりもきわめて大きいということが判明した。さらに断面のTEM像との対応、不純物の表面偏析が薄膜成長によってどのように生じるのかに関するXPSの解析例も紹介し、表面の仕事関数と電気特性並びに光吸収スペクトルの相関に関しても議論する。これらを通して、多結晶とアモルファスの透明導電膜の成長メカニズムを考察する。

講演題目

ナノカーボン(グラフェン、カーボンナノチューブ)の成長機構とその制御

講師

吾郷 浩樹(九州大学先導物質化学研究所)

グラフェンやカーボンナノチューブに代表されるナノカーボンは、特徴的な低次元構造とそれを反映したユニークな物性から、大きな注目を集めている。グラフェンは、シリコンの100倍以上も高いキャリア移動度を示し、光透過性や機械的柔軟性を有するため、フレキシブルエレクトロニクスなどへの応用が期待されている。グラフェンの優れた特性を引き出し、応用へと発展させるためには、高結晶性で大面積のグラフェン膜が必要である。いくつかあるグラフェン合成法の中でも、高温下での触媒反応を用いる化学気相成長(CVD)法が、コスト、均一性、大面積化などの利点から最近の主流となりつつある。CVD成長では炭素固溶度の低い銅(Cu)が単層グラフェンの成長に適した触媒として広く用いられている。しかし、一般的な銅薄膜や銅ホイルは多結晶であるため、その上に成長するグラフェンも多結晶となってしまう。実際、暗視野TEM観察において1 mm程度の小さなドメインが多数集まってグラフェンシートを形成していることが明らかにされている。グラフェンのドメインバンダリーは、キャリア移動度を低下させるとともに、機械的強度の低下につながることが報告されており、バンダリーのない単結晶グラフェンのCVD成長法の実現が強く望まれている。我々は、サファイアや酸化マグネシウム基板上にエピタキシャル成長させた銅を触媒として、大気圧の熱CVDを行い、六員環の方位が揃った高品質の単層グラフェンの成長に成功した。触媒である銅の結晶面に依存して、グラフェンのドメイン構造が変化することも明らかにした。さらに、高温下における銅触媒上でのグラフェン成長のダイナミックスについても議論する。また、カーボンナノチューブに関しては、電子構造に大きな影響を与えるカイラリティや直径の制御を目指したナノチューブのCVD成長法について概説する。特に、我々が行ってきたサファイア上での単層カーボンナノチューブの水平配向成長とその展開について紹介する。

講演題目

SiCのエピタキシャル成長機構と欠陥低減化技術

講師

土田 秀一(電力中央研究所)

4H-SiC パワー半導体素子の開発において、素子活性層を形成するために、SiC基板に対してエピタキシャル成長を行うことが要求される。エピタキシャル膜の高品質化やドーピング密度制御のためにCVDが実質的に唯一の方法となっているが、SiCパワー半導体技術の広範囲での実用化に向けてSiCエピタキシャルウェハの低コスト化や高品質化が大きな技術課題として残されており、大口径基板に対してエピタキシャル膜を高い均一度で、高速かつ低欠陥密度で形成するための技術開発が望まれている。本講演では、4H-SiCエピタキシャル成長の基礎と現状として、一般的なSiCエピタキシャル成長方法を解説するとともに、高い成長速度を得るための原料ガス種や結晶成長条件、ならびに大口径基板に対する膜厚やドーピング密度の高均一化技術を議論する。また、結晶欠陥評価の基礎と欠陥低減技術の現状として、放射光X線トポグラフィ、フォトルミネッセンスイメージング、DLTSによる結晶欠陥評価、ならびに4H-SiCエピタキシャル膜に含まれる結晶欠陥の構造、分類、起源を解説するとともに、エピタキシャル成長や後プロセスにおける各種結晶欠陥の低減手法を議論する。合わせて、結晶欠陥評価技術の最近の進展を紹介する。

更新:2013/1/1

セミナー:放射光を用いた構造・電子状態解析の最前線

第41回 薄膜・表面物理セミナー (2013)

硬 X 線光電子分光(HAXPES)と X 線吸収微細構造(XAFS) − 最先端解析手法により電子状態・反応挙動をみる —

案内(PDF:395KB)

概要

主旨

放射光を用いた構造・電子状態解析の発展は目ざましく,中でも硬 X 線光電子分光法(Hard X-ray Photoelectron Spectroscopy: HAXPE S)では,高分解能・バルク敏感という特徴を活かし表面汚染の影響を低減させて物質の電子状態を精密に解析でき,さらに, 埋もれた界面への適用や in situ 解析へも応用が広がっています.また、X 線吸収微細構造(X-ray Absorption Fine Structure: XAFS) では,実用的な条件下での in situ 解析が飛躍的に進み,各種電池デバイスや環境触媒などの動作下・反応下における詳細な構造変 化が解析できるようになってきました.本セミナーでは,HAXPES と XAFS に焦点を当て,第一線でご活躍されている講師の方々に最新の成果をご紹介頂きます.多くの方々のご参加をお待ちしております.

日時

2013年8月6日(火) 13:00-17:00 (受付開始 12:30)
8月7日(水)10:00-17:00 (受付開始 9:30)

場所

東工大田町キャンパス キャンパスイノベーションセンター 国際会議室
東京都港区芝浦3-3-6
TEL: 03-3726-1111
JR線・田町駅下車 徒歩2分
http://www.cictokyo.jp/access.html (アクセスマップ)

 

プログラム(題目をクリックすると要旨がご覧になれます)

8月6日(火)

日時 講演題目(仮) 講師
13:00-14:00 HAXPES による燃料電池材料、半導体材料、酸化物薄膜の電子状態解析 尾嶋 正治(東京大学)
14:00-14:55 HAXPES 手法と応用ー現状 BL47XU/SPring-8 光学、装置性能および深さ分析- 池永 英司(Spring-8)
14:55-15:10 休憩
15:10-16:05 HAXPES の実用表面分析への応用ー「より内部」や「埋もれた界面」の非破壊分析- 小川 慎吾
(東レリサーチセンター)
16:05-17:00 HAXPES の現状と今後の展望 小林 啓介(広島大学)

 

8月7日(水)

日時 講演題目(仮) 講師
10:00-11:00 XAFS の現状と今後の進展 野村 昌治(高エネ研)
11:00-11:55 触媒などの固体試料における適切な XAFS 分析評価の実際 国須 正洋
(東レリサーチセンター)
11:55-13:00 昼休憩
13:00-13:55 XAFS によるリチウムイオン二次電池動作解析 内本 喜晴(京都大学)
13:55-14:50 時空間分解 XAFS の排ガス触媒・電池材料解析への応用 稲田 康宏(立命館大学)
14:50-15:10 休憩
15:10-16:05 XAFS を用いた固体酸化物形燃料電池材料・反応の in situ 解析 雨澤 浩史(東北大学)
16:05-17:00 軟 X 線波長分散 XAFS 法による表面化学反応リアルタイム追跡 雨宮 健太(高エネ研)

 

参加費

薄膜・表面物理分科会会員 * 応用物理学会会員 **
協賛学協会会員
学生 *** その他
2日間 15,000円 20,000円 7,000円 25,000円
1日目のみ 8,000円 10,000円 3,000円 13,000円
2日目のみ 12,000円 15,000円 5,000円 18,000円

*薄膜・表面物理分科会賛助会社の方は分科会会員扱いと致します.

**応用物理学会賛助会社の方は,応用物理学会会員扱いと致します.

現在非会員の方でも,参加登録時に薄膜・表面物理分科会 (年会費A会員:3,000円,B会員:2,200円)にご入会いただければ,本セミナーより会員扱いとさせていただきます.
http://www.jsap.or.jp/ より入会登録を行い,仮会員番号を取得後,本セミナーにお申込み下さい. 入会決定後,年会費請求書をお送りいたします.
(年会費をセミナー参加費と同時にお振込なさらないで下さい.)

***学生の場合は,会員・非会員の別を問いません.

定員

80名 (満員になり次第締め切ります.)

参加申込締切(延長)

2013年7月31日(水)

参加申込方法

下記分科会ホームページ内の登録フォームにて参加登録してください.
https://annex.jsap.or.jp/phpESP/public/survey.php?name=HakuhyouSeminar41
参加登録完了後,下記銀行口座に参加費をご連絡いただいた期日までにお振込ください.
原則として参加費の払い戻し, 請求書の発行は致しません.
領収書は当日会場にてお渡しいたします.

参加費振込期限(延長)

2013年8月5日(月)

参加費振込先

三井住友銀行 本店営業部(本店も可)
普通預金 口座番号: 9474715
(社) 応用物理学会 薄膜・表面物理分科会
(シャ) オウヨウブツリガッカイハクマク・ヒョウメンブツリブンカカイ

セミナー内容問合せ先

東北大学 高桑 雄二
TEL: 022-217-5365
FAX: 022-217-5405
E-mail:takakuwa@tagen.tohoku.ac.jp

東レリサーチセンター 山元 隆志
TEL: 077-533-8615
FAX: 077-533-8628
E-mail:Takashi_Yamamoto@trc.toray.co.jp

参加登録問合せ先

応用物理学会事務局分科会担当
上村 さつき
TEL: 03-5802-0863
FAX: 03-5802-6250
E-mail:kamimura@jsap.or.jp

講演詳細

講演題目

HAXPESによる燃料電池材料、半導体材料、酸化物薄膜の電子状態解析

講師

東京大学放射光連携研究機構 尾嶋正治

グリーンナノデバイス(創エネ、省エネ、畜エネ)の開発には高輝度放射光を用いた解析が不可欠である。デバイスの機能は構造と電子状態によって大きく支配されるが、硬X 線光電子分光は実用材料・デバイスの電子状態解析にとって極めて有効な手段であり、軟X 線光電子分光、XAS/XAFS、発光分光と組み合わせることでさらに威力が増大する。本講演では、グリーンナノデバイスのうち、創エネデバイスとして燃料電池正極材料(低白金触媒、非白金触媒)を採り上げる。低白金触媒ではHAXPES やXAS で測定したPtCo 合金触媒のPt 電子状態(化学状態と5d 軌道空孔数)と触媒活性(電気化学的表面積、比活性)との相関を紹介する。さらに非白金触媒については、カーボンアロイ触媒中窒素およびFe 不純物についてHAXPES や発光分光で化学状態を明らかにし、触媒活性との相関を明らかにした結果を述べる。省エネデバイスとして半導体材料(低消費電力LSI 材料、LED 用GaN)を採り上げる。LSI 材料ではその心臓部であるゲート絶縁膜(特にhigh-k 酸化膜)に着目し、MOS 構造にバイアス印加した状態のHAXPES によって欠陥密度分布を解析した結果について述べ、さらに金属/p-GaN 界面については、界面のバンドオフセットとオーミック特性との相関を紹介する。次に、低消費電力不揮発メモリーとして大きな注目を集めているReRAM 用 Pt/TaOx 界面をHAXPES で解析し、抵抗スイッチングのメカニズムを解明した例を示す。最後に新しいデバイスの可能性を持つ強相関酸化物(La1-xSrxMnO3 薄膜など)を採り上げ、 HAXPES で解析した電子状態、La1-xSrxMnO3 /SrTiO3 界面ポテンシャル変化などを紹介する。

講演題目

HAXPESの実用表面分析への応用
– 「より内部」や「埋もれた界面」の非破壊分析 –

講師

株式会社東レリサーチセンター 小川 慎吾

固体物質表面の組成および化学状態を調べることができるX 線光電子分光法(X-ray photoelectron spectroscopy: XPS)は、実験室系の分析装置が開発されて以来50年以上の長い歴史の中で技術が確立され、いまや実用表面分析の中で欠くことのできない分析手法になった。しかしながら実験室系で最も一般的なXPS 装置であるAl-Kα線源(hν= 1486.6 eV)のXPS は検出深さが数nm と浅いため、表面汚染や変質層の影響を強く反映し目的の情報を得ることができない場合がある。一方、近年急速に実用化が進んだSPring-8 などの放射光光源を利用した硬X 線光電子分光法(Hard x-ray photoelectron spectroscopy: HAXPES)では、例えば放射光光源(hν= 7940.0 eV)を利用した場合の検出深さは材料により異なるがおよそ30 nm 程度であり、検出深さ数nm の実験室系Al-Kα線源のXPS より深く、バルク分析より表面敏感であるため、これまでに見ることができなかった情報を引き出すことができる分析手法として注目されている。本講演では、半導体材料や有機EL 素子などの積層薄膜にHAXPES を適用し「埋もれた界面」を評価した事例を紹介する。 HAXPES を適用することで表面に電極として金属薄膜などを数nm~20 nm 程度形成した試料においても、電極とその下の膜との界面の反応状態などを電極越しに非破壊で評価することができる。また、より実用的な材料への適用事例拡大を目指した弊社の取り組みとして、酸化物粉末にHAXPES を適用した事例や絶縁材料に対する帯電中和測定の試みを、 実験室系のXPS 測定結果と対比させながら紹介する。

講演題目

HAXPESの現状と今後の展望

講師

広島大学放射光科学研究センター
(独)日本原子力研究開発機構
高知工科大学
小林啓介

光電子分光法は、物質科学や分析科学にとって電子の占有状態を見るための重要な手法であるが、きわめて表面敏感性が高く、実際には制限の大きな手法であった。アンジュレーター放射光を使った硬X 線光電子分光法(HXPES または HAXPES)は2003年に実用的な強度と分解能を持つことが実験的に示されて以来、多用な応用がなされるようになってきた。今では、放射光利用の避けがたい不便さが、これ以上のユ-ザ-利用の増加に対する強い制限になっている。JST 先端分析技術・機器開発プロジェクトによって開発された単色化CrKα(5.4keV) 線を励起源とする実験室HXPES 装置(HEARP Lab)はビームラインにおけるHXPES に比べて分解能やスループットなどの性能はおとるものの、十分に実用的で、利便性において勝ることが示された。そのバルク敏感性を生かした多用な応用例が報告されている。ここでは硬X 線光電子分光法の物質/材料科学、デバイス 開発研究、分析科学などへの応用の現状を紹介し、さらにその将来を展望する。

講演題目

XAFS の現状と今後の進展

講師

高エネルギー加速器研究機構  野村 昌治

XAFS(X-ray Absorption Fine Structure)は放射光利用の普及と共に、各種の物理化学的分析手法と並んで、基盤的な構造解析、電子状態解析の手法となってきている。特に硬X線を用いるXAFS 実験の場合、雰囲気、温度等種々の環境下で、試料の状態変化を追跡することが比較的容易に行えるため、触媒反応、電池等の研究において多用されている。

多くの放射光施設では試料の温度制御や反応ガスの導入を制御する系を備えており、多くの利用者が比較的手軽に利用出来る環境が出来ている。また、多くの研究者が、研究課題に対応した反応セルや反応系を製作して実験に利用している。一方で、非常に基礎的なことでありながら、未解決で残されていることも少なくない。例えば、良質のスペクトルを得るために必要な試料調製法や評価法、試料温度の測定法等には必ずしも確立したと言えない状態にある。

我が国では偏向電磁石光源を利用したXAFS 実験が主流であるが、高輝度第三世代光源の普及と共に、世界的には挿入光源を利用した実験環境が増えてきている。偏向電磁石光源と比較した挿入光源利用のメリット・デメリット、挿入光源を利用して拓かれる研究について議論する。

講演題目

触媒などの固体試料における適切なXAFS分析評価の実際

講師

株式会社東レリサーチセンター 国須正洋

XAFS分析は、特定元素の化学状態や配位環境を評価できる手法で、触媒分野に限らず、半導体,セラミックス,蓄電,工業材料などあらゆる分野に適用可能であり、放射光を用いた分光分析手法の中でも、最もよく利用されている手法の一つである。ただし、分析試料の構成や目的により、適切な吸収端や検出法,試料調製,試料セッティング法の選択が非常に重要となり、これらを誤ると、正しい情報を得られない可能性がある。本講演では、改めてXAFS分析について概説し、いくつかの分野から見た適切な評価法について改めて説明する。また、硬X線領域のXAFS分析は、入射X線のエネルギーが高く、大気などの試料周辺物質との相互作用が小さいため、試料周辺の取り回しの自由度が高い。そのため、封入状態,加熱下,ガス流通下,加圧下,充放電状態など、多様な環境のもとでの評価(in situ 評価)が可能である。排ガス触媒,改質触媒やリチウムイオン電池のin situ XAFS評価について、環境変化や時間のパラメータなど、in situ 評価に特有の注意点を述べるこれらの注意点を踏まえた上で、最近の分析例についていくつか紹介する。まず、自動車排ガス触媒における酸素濃度調整用の助触媒として利用されているCeO2について、試料周囲の流通ガス切替による酸化還元挙動、および透過法,電子収量法を用いたCeO2の内外構造差について紹介する。また、天然ガス(メタン)を水素,一酸化炭素へ改質する触媒(GTX触媒)として用いられるCoNi系触媒について、in situ 実験による活性前処理時の挙動、触媒活性を左右する微量添加元素の影響についてXAFSなどから得られた知見を紹介する。

講演題目

時空間分解XAFSの排ガス触媒・電池材料解析への応用

講師

立命館大学生命科学部応用化学科 稲田康宏

試料の相を問わず、元素選択的かつ非破壊で局所構造と電子状態の解析が可能な XAFS 法は、特に固相での化学反応の解析に極めて有効であり、排ガス浄化触媒などの不均一系触媒やリチウムイオン二次電池などの電極材料に広く利用されている。XAFS スペクトルを時間分解して測定する手法の一つに分散型XAFS(DXAFS)法があり、担持触媒における活性金属化学種の状態変化をミリ秒程度までの時間スケールで動的に捉えることが可能である。CO-NO 反応過程の担持銅触媒では、CO による酸化銅(II) の還元過程で生じる断片化されたCu(I)化学種のNO 還元活性が示された。また、排ガス浄化や改質反応などに高い活性を示す担持Pd 触媒に関しては、反応ガスの雰囲気に応じて担体上でPdO とPd 間の可逆的変化が観測され、酸化還元の両過程についての速度論的解析から固相反応メカニズムの解明に成功した。特に、PdO からPd への還元過程では、PdO 粒子内部の酸素原子移動速度が粒子表面の還元反応速度を上回ることが示された。改質反応などに活性を有する担持Ni 触媒についての同様の解析と比較した結果、PdO での比較的速い粒子内酸素原子移動は、その層状構造に起因していることを明らかにした。一方、空間分解してXAFS 測定する手法としては、X 線を照射する試料位置を掃引しつつ微小に絞ったX 線を用いて蛍光XAFS 測定を行うのが一般的であるが、空間分解能を有する検出器を用いて試料を透過したX 線を観測することで、試料全体を一度に空間分解したXAFS 測定が可能となる。二次元検出器を用いることで、電池電極などの平板試料を空間分解しながら、XAFS スペクトルを基にした化学状態識別を行うin situ での二次元マッピングを可能にした。リン酸鉄リチウムを活物質とするリチウムイオン二次電池正極についてin situ での二次元空間分解解析を行った結果、充放電の両過程で特定の部位から電極反応が開始し、そこを起点として放射状に反応が進行することを明らかにした。時間分解および空間分解でのXAFS 測定から得られたこれらの結果は、各種機能性材料の活性の起源を理解するために極めて重要な知見であり、より高機能な材料の開発へ向けての設計指針を与えるものである。

講演題目

XAFS を用いた固体酸化物形燃料電池材料・反応のin situ 解析

講師

東北大学多元物質科学研究所  雨澤 浩史

水素に代表される燃料の燃焼反応による化学エネルギー変化を電気エネルギーに直接変 換する燃料電池は,次世代の環境調和型発電デバイスとして期待されている。なかでもイオン導電性のセラミックスを電解質として使用する固体酸化物形燃料電池(Solid Oxide Fuel Cell, SOFC)は,700~1000℃という高い動作温度を活かし,エネルギー変換効率が高い, 燃料適応性に優れる,高品位の排熱を利用したコンバインドサイクルやコジェネレーションシステムの構築が可能である,といった多くの長所を有している。このような背景から,現在,SOFC の研究・開発は世界中で活発に行われており,わが国でも2011年秋より0.7 kW 家庭用SOFC コジェネレーションシステム(新型エネファーム)の市販が開始された。今後SOFC を本格的に普及させていくには,SOFC スタック・セル・部材のさらなる高性能化,高耐久性化,長寿命化が要求されている。これには,構成部材である電解質,電極などの,作動下における化学・物理状態を正確に把握することが必要不可欠である。しかしながら,高温,特殊雰囲気(酸素,水素雰囲気),通電というSOFC の作動条件は,汎用の分析手法にとっては苛酷な条件である。そのため,これまで,SOFC 作動時の各構成材料の化学・物理状態を精密に評価できる手法は非常に限定されていた。これに対し,我々の研究グループは,測定に真空や極低温といった特殊環境を要しない硬X 線吸収分光法に着目し,京都大学,高輝度光科学研究センター(JASRI)との共同研究を通し,高温,制御雰囲気,通電状態における測定が可能な,その場XAFS 測定法の可能性について検討してきた。その結果,高温,制御雰囲気,通電状態において,nm~μm の位置分解能あるいはmsec の時間分解能を有するその場XAFS 測定法の開発に成功し,SOFC 各種材料の物理・化学状態やSOFC 電極反応の直接評価にこれらを適用してきた。さらに最近では,高温,制御雰囲気における軟X 線吸収分光測定による,SOFC 材料の電子状態評価も可能となっている。本講演では,これらその場XAFS 測定法と得られた成果のいくつかを紹介する。

講演題目

軟X線波長分散XAFS法による表面化学反応リアルタイム追跡

講師

高エネルギー加速器研究機構  雨宮健太

X 線吸収分光(XAFS)法は、内殻からの空状態への電子遷移に伴う吸収を利用しているため、元素選択性があり、しかもそれぞれの化学種に特有のスペクトルを得ることができる。したがって、化学種の種類と量を定量的に見積もることが可能である。しかしながら、通常のXAFS 測定では、分光器で一点一点X 線のエネルギーを変えながら測定するため、1つのスペクトルを得るのに数分程度の時間を要し、化学反応をリアルタイム追跡することは困難である。そこで最近では、分光器を連続的に掃引しながらスペクトルを測定するquick XAFS 法や、異なるエネルギー(波長)のX 線を同時に照射してスペクトルを一度に得る波長分散型XAFS 法が用いられるようになってきた。本講演では特に、化学反応において極めて重要な炭素、酸素といった元素を観察するのに適した、軟X 線領域における波長分散XAFS 法を紹介する。

軟X 線波長分散XAFS 法は、回折格子と集光光学系を用いることによって、位置によって波長の異なる(波長分散した)軟X 線を試料に照射し、それぞれの位置において軟X 線の吸収強度に比例して放出されるAuger 電子を、位置分解型の電子エネルギー分析器で取り込むものである。現在、表面における化学反応を33 ms ごとに連続測定することが可能になっており、CO の酸化反応をリアルタイム追跡した結果が報告されている[1]。さらに、XAFS 法を表面吸着分子に対して適用すると、s 偏光とp 偏光の違いを利用して分子の配向を決定することができる。したがって、波長分散XAFS と偏光スイッチングを組み合わせることによって、分子の配向変化をリアルタイムに追跡することが可能となり、実際、NO およびN2O の吸着過程の配向変化の観察が報告されている[2]。

当日は、軟X 線波長分散XAFS 法の原理を解説するとともに、化学反応のリアルタイム追跡への応用例と最近の進展を紹介する。

[1] K. Amemiya et al., Appl. Phys. Lett. 99 (2011) 074104.
[2] K. Amemiya et al., Appl. Phys. Lett. 101 (2012) 161601.

更新:2013/1/1