Monthly Archives: 1月 2014

第19回ゲートスタック研究会

日時・場所

2014年1月23日(木)~25日(土)
ニューウェルシティー湯河原

詳細

第19回ゲートスタック研究会

更新:2014/1/23

表面・ナノ科学シンポジウム2014

日時・場所

2014年1月15日(水)~18日(土)
新富良野プリンスホテル

詳細

表面・ナノ科学シンポジウム2014

更新:2014/1/15

応用物理学会春季学術講演会2014 シンポジウム

第61回春季学術講演会ウェブサイト

News Letter 開催報告(149号)

日時:2014年3月18日

場所:青山学院大学

  • Developments and Challenges for Resistance Change Memories Technology
    抵抗変化メ モリ技術の発展及び課題
  • フェロエレクトリック・イノベーション -材料からデバイスまで
    Innovation of Ferroelectrics for Materials and Devices
  • 真空の制約を超える:電子やイオンを用いた分析法の実環境測定への挑戦
    Beyond vacuum condition: challenges in electron/ion-based analysis in real environments
  • Flexible Electronics

更新:2014/1/1

セミナー:構造物性解明へ向けたミクロ~マクロ計測の最前線

第42回 薄膜・表面物理セミナー (2014)

案内(PDF:395KB)

News Letter 関連記事(開催報告)

概要

主旨

X線,電子,中性子は物質の微視的構造やマクロ状態の評価には欠かせないプローブです.近年,これらをベースとする計測法は飛躍的な進展を遂げ,大型放射光施設(SPring-8),収差補正型電子顕微鏡や大型中性子施設(J-PARC)などに代表されるように,従来とは桁違いの精度・分解能での物質解析が可能となりました.
本セミナーでは,これらあらゆる最先端の計測技術を駆使して,最近注目を浴びている超高強度マグネシウム合金の構造・物性を,ミクロ~マクロに渡って系統的・包括的に評価する試みについて紹介します.この超高強度マグネシウム合金は,従来のマグネシウムと全く異なる特異な結晶構造(シンクロ型LPSO)を有しており.新学術領域研究「シンクロ型LPSO構造の材料科学」にて現在精力的に研究が進められています.そこではX線,電子,中性子にとどまらず,3次元アトムプローブ法なども併用されるとともに,やはり近年進展の著しい第一原理計算が効果的に取り入れられるなど,同一の試料に対して極めて多角的に最先端計測・評価法が適用されています.
それぞれの計測法の第一線の研究者を講師として招聘し,原子レベル~マクロ領域の評価技術を相互に対比しながら,各々の手法の利点,適用限界等を忌憚なく議論していただけるようなセミナーになればと考えています.多くの方々のご参加をお待ちしております.

日時

2014年7月25日(金) 10:00-17:30 (受付開始 9:30)

場所

東京大学本郷キャンパス 山上会館
東京都文京区本郷7-3-1
TEL: 03-3812-2111
地下鉄丸の内線・本郷三丁目駅下車 徒歩12分
アクセスマップ: http://www.u-tokyo.ac.jp/campusmap/cam01_00_02_j.html

 

プログラム(題目をクリックすると要旨がご覧になれます)

時間 講演題目 講師
10:00-10:30 シンクロ型LPSO構造の材料科学
– 先端計測に期待すること –
河村 能人(熊本大学)
10:30-11:15 最先端電子顕微鏡法
– 原子直接観察によるLPSO構造解析 –
阿部 英司(東京大学)
11:15-12:00 3DAPと陽電子消滅
– LPSO構造の局所組成・空隙分析 –
井上 耕治(東北大金研)
12:00-13:30 昼休憩
13:30-14:15 放射光による精密構造解析
– LPSO微小結晶からの回折データ –
木村 滋(JASRI)
14:15-15:00 放射光小中角散乱法
– LPSO構造の中~長距離ゆらぎ –
奥田 浩司(京都大学)
15:00-15:15 休憩
15:15-16:00 第一原理計算による構造予測
– LPSO相の安定性と規則度 –
君塚 肇(大阪大学)
16:00-16:45 最先端中性子回折法
– LPSO結晶変形その場観察 –
相澤 一也(JAEA)
16:45-17:30 総合討論 講師全員

 

参加費

薄膜・表面物理分科会会員 * 応用物理学会会員 **
協賛学協会会員
学生 *** その他
10,000円 15,000円 3,000円 20,000円

* 薄膜・表面物理分科会賛助会社の方は分科会会員扱いと致します.
** 応用物理学会賛助会社の方は,応用物理学会会員扱いと致します.
*** 学生の場合は,会員・非会員の別を問いません.

現在非会員の方でも,参加登録時に薄膜・表面物理分科会(年会費A会員:3,000円,B会員:2,200円)にご入会いただければ,本セミナーより会員扱いとさせていただきます.
http://www.jsap.or.jp/join/kojin.html より入会登録を行い,仮会員番号を取得後,本セミナーにお申込み下さい.入会決定後,年会費請求書をお送りいたします.
(年会費をセミナー参加費と同時にお振込なさらないで下さい.)

定員

100名 (定員になり次第締め切ります.)

参加申込期間

2014年4月1日(火)~7月11日(金)

参加申込方法

薄膜・表面物理分科会ホームページ内にある第42回薄膜・表面物理セミナーの登録フォームから参加登録をお願い致します.https://annex.jsap.or.jp/limesurvey/index.php/591239/lang-ja
参加登録完了後,ご連絡いただいた期日までに,下記銀行口座に参加費をお振込みください.
原則として参加費の払い戻し,請求書の発行は致しません.
領収書は当日会場にてお渡しいたします.

参加費振込期間

2014年4月1日(火)~7月18日(金)

参加費振込先

三井住友銀行 本店営業部(本店も可)
普通預金 口座番号: 9474715
(社) 応用物理学会 薄膜・表面物理分科会
(シャ) オウヨウブツリガッカイハクマク・ヒョウメンブツリブンカカイ

セミナー内容問合せ先

NTT 住友 弘二
TEL: 046-240-3457
FAX: 046-270-2364
E-mail:sumitomo.koji@lab.ntt.co.jp

コベルコ科研 笹川 薫
TEL: 078-992-6043
FAX: 078-990-3062
E-mail:sasakawa.kaoru@kki.kobelco.com

参加登録問合せ先

応用物理学会事務局分科会担当 小田康代
TEL: 03-5802-0863
FAX: 03-5802-6250
E-mail:oda@jsap.or.jp

講演詳細

講演題目

シンクロ型LPSO構造の材料科学
-先端計測に期待すること-

講師

河村能人
熊本大学 先進マグネシウム国際研究センター

常識を覆すような機械的強度を示すマグネシウム合金が我が国で開発され,マグネシウム新時代が到来するものと期待されている。この合金の強化相は、濃度変調と構造変調が同期した新奇な長周期積層型規則構造(シンクロ型LPSO構造)を有しており、LPSO型マグネシウム合金と呼ばれている。
シンクロ型LPSO構造は、その独特の原子配列ゆえに強度をはじめとする多くの新たな物性の発現が期待されているが、その形成メカニズムや力学特性・強化原理といった根本的なことが未解明のままである。そこで、シンクロ型LPSO構造が有する①ユニークな構造、②形成メカニズム、③常識を覆す力学特性と新しい材料強化原理(キンクバンド強化)を、最先端の研究手法や世界トップクラスの大型量子線施設を駆使してオールジャパンの体制で世界に先駆けて明らかにすることを目的に、科学研究補助事業の新学術領域研究「シンクロ型LPSO構造の材料科学 -次世代軽量構造材料への革新的展開-」をH23年度から実施している。物理・化学・材料・機械を専門とするナノ計測分野、理論計算分野、材料プロセス分野等の57名の研究者が全国の23研究機関から結集しており、最先端の実験手法と計算科学を用いた組織的な異分野融合研究を推進している。
シンクロ型LPSO構造の本質に迫るためには、最新鋭のTEM等を駆使した原子レベル構造解析による基本構造情報を出発点として、J-PARCやSPring-8等の大型量子線施設装置群を用いた世界最高精度での結晶・組織解析により精密構造情報を決定し、それらを基にした理論計算による構造予測を行うという研究サイクルが重要である。特に、大型量子線施設を利用した「その場実験」をコアにした連携研究が重要である。これらの最先端計測技術を用いたシンクロ型LPSO構造の本質的解明は、産業につながる工学分野の発展をもたらすのみならず、周辺の基礎学問分野にも大きな影響を与え、多岐かつ長期にわたって我が国の科学技術や学術水準の向上・強化に資するものである。

講演題目

最先端電子顕微鏡法
– 原子直接観察によるLPSO 構造解析 –

講師

阿部 英司
東京大学工学系研究科

LPSO相は、MgにTM (Al及び一部の遷移金属元素)及びRE(Y及び一部の希土類元素)を添加したMg-TM-RE合金において形成される多元化合物である。その構造は、原子最密面の積層多型(e.g., SiC系の多型構造群)を基本とするため、結晶成長の際に多型のintergrowthや、低対称結晶系における双晶・バリアント等が生成し易く、良質な単相試料・単結晶を得ることが困難である。それゆえ、X線回折法・中性子回折法による精密解析が直ちに行えない状況にある。
近年、電子顕微鏡性能を決定する磁場レンズの収差補正技術の開発による点分解能の向上(<~50pm)が実現されるとともに、装置安定性も飛躍的に改善されたため、顕微鏡像の情報量は従来を遙かに凌ぐものとなった。本講演では、LPSO結晶の構造を、原子識別能力に優れた走査型透過電子顕微鏡(STEM)直接観察により決定した例を紹介する。最先端STEM法では、実験像の統計処理により原子位置がおよそ10pm以下の精度で決定できるまでに至り、いわゆるX線精密解析と遜色ないレベルにまで達しつつある。我々はさらに、第一原理計算を併用した構造最適化を行うことで、局所的な緩和挙動に伴う格子間サイトの生成という興味深い現象を見いだした。この事実によって、LPSO相の熱力学的安定性に関する理解が格段に深まるに至っており、構造−特性の関連性を直接示す好例となっている。

講演題目

3DAPと陽電子消滅
– LPSO構造の局所組成・空隙分析 –

講師

井上耕治
東北大金研

軽量で高強度と高延性が両立したMg-TM-RE系合金(TM:遷移金属元素、RE:希土類金属元素)における濃度変調と構造変調が同期した長周期積層秩序(シンクロ型LPSO)構造は、これまで高角散乱環状暗視野走査透過顕微鏡法(HAADF-STEM)を中心とした電子顕微鏡法によって、その詳細が明らかにされつつある。しかしながら、HAADF-STEMでは、試料深さ方向の情報や複数種の元素情報に関しては限界があり、計算シミュレーションとの比較によって議論する必要がある。
3次元アトムプローブ(3DAP)は、位置分解能は電子顕微鏡に劣るが、原子スケールに近い位置分解能で本質的に3次元の位置情報を持った元素分布を得ることができる。3DAP法により、シンクロ型LPSO構造における濃度変調情報、特に濃化層の組成などの情報が得られる。また陽電子消滅法は、陽電子が正電荷を持つために材料中では正電荷(正イオン)から遠ざかる性質があり、電子顕微鏡法では観察困難な原子サイズの空隙を敏感に検出できる。Mg-Zn-Y系のLPSO構造では格子緩和歪みによってZnとYの濃化層に単空孔サイズ程度の空隙が存在することが予想されており、陽電子消滅法からその空隙に関する情報が得られることが期待される。本講演では、すでにSTEMによる研究が進んでいるMg-Zn-Y系に対して、3DAPと陽電子消滅法を用いてLPSO構造の観察を行い、LPSO構造の濃化層におけるZnとY濃度や、時効によって18R型から14H型に構造転移する時のZnとYの濃度変調の様子、濃化層における空隙分析などについて報告する。

講演題目

放射光による精密構造解析
- LPSO微小結晶からの回折データ -

講師

木村 滋
公益財団法人高輝度光科学研究センター

X線や中性子回折による構造解析は信頼性が高い結晶構造決定手法として広く認識されている.しかし,X線や中性子による構造解析は,良質な単結晶や粉末結晶を必要とするため,母結晶中の析出物等の構造を決定することはほとんど不可能であった.そのため,このような物質の構造研究は透過電子顕微鏡(TEM)観察によって行われることが多い.最近のTEM技術は急激に進歩しており,かなり詳細な構造まで議論できるようになってきているが,依然として詳細な原子配列や個々の原子サイトを占める元素比率を精密に決定するのは困難である.
一方,シンクロトロン放射光の高輝度・低エミッタンスという特色を活かせば,ミクロン程度の析出相単相を用いて単結晶構造解析が可能となり,これらの問題が解消される.我々は,高輝度放射光を集光したマイクロビームを利用することにより,サブミクロンサイズの粉末試料一粒を単結晶試料として用いて回折データを計測し,構造解析に成功している[1,2].
本セミナーでは,放射光集光マイクロビームを利用した極微小単結晶回折計の概要とその性能を紹介するとともに,本装置により,Mg-Al-Gd合金中のミクロンオーダーのシンクロ型長周期積層型規則構造(Synchronized Long- Period Stacking Ordered Structure; LPSO)相の構造解析を実施した結果について解説する.

参考文献
[1] N. Yasuda et al., J. Synchrotron Rad. 16, 352 (2009).
[2] N. Yasuda et al., AIP Conf. Proc. 1234, 147 (2010).

講演題目

放射光小中角散乱法によるLPSO構造の評価
– LPSO構造の中〜長距離ゆらぎ –

講師

奥田浩司
京都大学工学研究科

シンクロ型LPSO構造を長時間熱処理した安定構造の定量評価については電子顕微鏡法やX線回折法によって精密な構造解析が着々と進められている。 一方で熱処理や加工熱処理といった実際のプロセスによって形成される組織においてLPSO構造がどのような過程で発達するのかという観点では未解明な部分が多い。 小角散乱法は合金中での析出やスピノーダル分解といったナノスケールでの不均一構造を評価するのに適した手法であり、放射光や中性子を利用する利点として加熱あるいは加工中のナノ組織の変化を実時間でその場解析することができることが挙げられる。 本報告では組織としてのMg合金の中の相転移過程という観点で小中角散乱法を利用してどのような情報が得られるのかについて解説する。
小角散乱は相分離あるいは規則化を伴う析出などによってナノ組織が形成される過程を調べる手法である。 測定では組成の異なるドメインの形状や量を評価する。 一方中角領域としては、例えば規則反射を小角散乱と同一角度分解能で測定することにより、規則化している領域、多くの場合、規則相析出物の形状やサイズ、規則度など、複雑な例では組成の変化なしに形成される中距離規則構造などの情報を得ることができる。
一方、MgYZn合金のように長周期の元素偏析と積層欠陥が同期した構造(LPSO)を形成する合金では、元素偏析自体が析出物類似の散乱体であると同時に、その周期配列は中角領域の回折を与える。さらによく発達したLPSO組織の顕微鏡観察から、偏析層の実態は2次元超構造を形成するL12クラスタの配置であることが明らかになった。 この超構造に対応して中角領域に回折スポットが形成される。 Mg基のLPSO合金、典型的にはMgYZn合金の小角・中角領域の放射光による散乱測定により、このような階層的な規則構造が形成あるいは破壊される過程をその場測定することが可能である。本講演では平衡状態としては18R単相組成であるMg86Y9Zn6組成の事例を中心に、Spring8、PFでの放射光その場小中角散乱法によって得られるシンクロ型LPSO構造の安定性や階層的な構造形成の過程についての知見を解説する。

講演題目

第一原理計算による構造予測
– LPSO相の安定性と規則度 –

講師

君塚 肇
大阪大学大学院基礎工学研究科

第一原理計算は,原子間結合や電子状態に直接起因する各種物性を非経験的に導出することが可能であることから,本セミナーの主題である長周期積層(LPSO)構造相のみならず,多元系結晶一般の微視的構造物性を評価する上で欠かせない手法として注目されている.これには,近年の計測技術の高度化と実験観察の精緻化に伴い,材料全体の平均的な挙動から原子レベルでの素過程に着眼点が移り,その機構解明のための道具として第一原理計算に期待が集まっている側面がある.一方,系のサイズに対する計算量のオーダの問題から,LPSO構造の特徴をそのまま反映できるような比較的大きなサイズ(数~数十nm)に対して第一原理計算を陽に適用することは容易ではない.材料の分野で第一原理計算と言えば,狭義には電子状態計算を直接的に実施して,その知見に基づいて材料の種々の物性を評価する計算のことを意味するが,広義には経験的要素を用いずに材料の特性を記述する計算体系一般のことを指す.よって,使用される各種材料パラメータに電子状態計算などから非経験的に求めたものを用い,既知でない性質を予測するためのモデル解析を志向する場合は,広い意味で第一原理計算の範疇に含まれ得る.
本講演では,Mg基LPSO相における溶質原子の凝集・クラスタ化(短範囲規則化)ならびに溶質クラスタの面内規則配列化(中範囲規則化)の支配因子を明らかにすることを目的とした,第一原理計算を活用した構造予測モデリングの事例を紹介する.短範囲規則化の評価に関しては,密度汎関数法に基づく電子状態計算によりMg中の種々の溶質原子に対する相互作用を評価し,その情報を取り入れて有効多体原子間相互作用モデルを構築した上で,当該系における溶質濃化・クラスタ化の様態を原子論的モンテカルロ法により解析するアプローチについて概説する.また,中範囲規則化の評価に当っては,LPSO構造において結晶構造の一部として内在する積層欠陥領域を,組成および温度に依存してその内部のクラスタ配列が変化する2次元界面相(stacking-fault complexion)として捉える見方を提示する.その上で,積層欠陥内の種々の溶質クラスタ間相互作用を電子状態計算により定量評価し,粗視化粒子モデルに基づいて溶質クラスタの面内ドメイン化ならびに不規則-規則転移挙動を予測的に記述する試みについて述べる.

講演題目

最先端中性子回折法
LPSO結晶変形その場観察

講師

相澤一也
日本原子力研究開発機構 J-PARCセンター

中性子は、電荷を持たないため電子線、放射光等の他の量子ビームプローブに比べて、物質への透過能が高いという特徴を有する。従って、種々の試料環境下でのバルク材の平均構造の評価に威力を発揮する。J-PARC物質・生命科学実験施設(MLF)では、国内唯一の大強度パルス中性子源が稼働している。MLFのBL19に設置された工学材料回折装置「匠」は、物質の内部ひずみ、変形応答等の評価に最適化されたパルス中性子回折装置であり、同種の装置と比較して大強度・高分解能を達成しており、2009年からユーザー実験を開始している。
本報告では、物体内部の動的変化に敏感なAE(アコースティックエミッション)測定を応力下その場中性子回折実験と組合せた測定法を紹介する。
応用例として、hcp Mgを母物質とするMg基シンクロ型LPSO相に関して、その強化機構として提案されているキンク変形に着目したAE同時測定応力下その場中性子回折法を18R LPSO単相一方向凝固Mg85Y6Zn9合金に適用した結果を報告する。また応力下で変形双晶が観察されるMg合金(商用AZ31合金)についての測定及びキンク変形が観察されるhcp Znについての結果も紹介し、キンク変形、双晶変形に関して議論する。

更新:2014/1/1

基礎講座:3Dプリンター技術の基礎と今後の発展 -薄膜・表面物理技術で拡がる可能性-

第43回 薄膜・表面物理 基礎講座(2014)

案内(PDF:446KB)

News Letter 関連記事(開催報告)

概要

共賛

国立大学法人 筑波大学

協賛

日本物理学会、日本化学会、日本金属学会、日本表面科学会、電子情報通信学会、電気学会、日本真空学会、日本顕微鏡学会、 ナノテクノロジービジネス推進協議会、日本材料学会、日本セラミックス協会、粉体粉末冶金協会

概要

3D造形技術は半導体造形から金型作製まで、多くの産業のさまざまな分野での活用が広がり始めています。現在は積層造形技術を支える熱源として電子ビームやレーザーの技術に注目が集まっています。しかし、今後必要となる材料の範囲が大きく拡がることから、造形物の組成や力学的特性評価技術に加えて、界面制御技術・流体物理学など表面科学に基礎をおく幅広い要素技術の研究開発が不可欠になります。そこで本基礎講座では3D造形技術の基礎をなす積層技術の進展を紹介したのち、これら技術の今後の発展において解決すべき課題、さらに期待される薄膜・表面物理分野の貢献について解説します。またナノ構造を有する電子材料構築技術として注目を集めているナノ構造作製技術に関しても解説します。

本基礎講座は、積層造形技術の研究において第一線で活躍されている先生方に、ご講演を頂くとともに、参加皆様と総合討論を実施し、薄膜・表面物理技術の貢献分野を探索したいと思います。皆様の多くのご参加をお待ちしております。

日時

2014年11月17日(月) 10:00-17:00

場所

筑波大学 東京キャンパス文京校舎
(東京都文京区大塚3-29-1、TEL:03-3942-6805)
https://www.tsukuba.ac.jp/access/bunkyo_access.html(キャンパスアクセスマップ)
(地下鉄丸ノ内線茗荷谷(みょうがだに)駅下車「出口1」徒歩2分程度)
https://www.tsukuba.ac.jp/access/bunkyo_campus.html(キャンパスマップ)

 

プログラム

時間 講演題目 講師
10:00-11:00 3Dプリンターってなあに? 早野 誠治((株)アスペクト)
11:00-12:00 積層造形で何を作るか? 量産技術としての検討 中野 禅(産総研)
12:00-13:00 昼休憩
13:00-14:00 電子ビーム積層造形技術による金属系構造部材の創製 千葉 晶彦(東北大)
14:00-15:00 三次元光造形法と微粒子焼成法を用いた機能性セラミックス構造体の創製 桐原 聡秀(大阪大)
15:00-15:20 休憩
15:20-16:20 電子ビーム描画によるナノ金型の作製と極微細形状転写技術 海野 徳幸(東京理科大)
16:20-17:00 総合討論 講演講師

 

参加費

テキスト代、消費税含む

薄膜・表面物理分科会会員 * 応用物理学会会員 **
協賛学協会会員
学生*** その他
10,000円 15,000円 3,000円 20,000円

*薄膜・表面物理分科会賛助会社の方は分科会会員扱いといたします.

**応用物理学会賛助会社の方は,応用物理学会会員扱いといたします.
現在非会員の方でも,参加登録時に薄膜・表面物理分科会(年会費A会員:3,000円,B会員:2,200円)にご入会いただければ,本セミナーより会員扱いとさせていただきます.

http://www.jsap.or.jp/ より入会登録を行い,仮会員番号を取得後,本セミナーにお申込み下さい.

入会決定後,年会費請求書をお送りいたします. (年会費を基礎講座参加費と同時にお振込なさらないで下さい)

定員

120名(満員になり次第締め切ります)

参加申込締切

2014年11月10日(月)

参加申込方法

下記分科会ホームページ内の登録フォームにて参加登録してください.
https://annex.jsap.or.jp/limesurvey/index.php/557698/lang-ja
参加登録完了後,下記銀行口座に参加費をご連絡いただいた期日までにお振込ください.
原則として参加費の払い戻し,請求書の発行は致しません.
領収書は当日会場にてお渡しいたします.

参加費振込期限

2014年11月11日(火)

参加費振込先

三井住友銀行 本店営業部(本店も可)
普通預金 9474715
(社)応用物理学会 薄膜・表面物理分科会
(シャ)オウヨウブツリガッカイハクマク・ヒョウメンブツリブンカカイ

企画に関する問合せ先

筑波大学 数理物質系 佐々木 正洋
TEL: 029-853-5331
FAX: 029-853-5305
E-mail: sasaki@bk.tsukuba.ac.jp

日本電子㈱ 経営戦略室 飯島 善時
TEL: 042‐542‐2105
FAX: 042‐546-9732
E-mail: iijima@jeol.co.jp

参加登録問合せ先

応用物理学会事務局 分科会担当
小田 康代
Tel: 03-5802-0863
Fax: 03-5802-6250
E-mail: oda@jsap.or.jp

講演詳細

講演題目

3Dプリンターってなあに?

講師

早野 誠治((株)アスペクト)

米国オバマ大統領の2013年の「3Dプリンターによるモノづくり大国復権宣言」、またニール・カーシェンフェルド氏の「Fab」(ものづくり革命)やクリス・アンダーソン氏の「Makers」が出版されたことが、3Dプリンターの知名度を上げることになった。更に、マスコミも当該技術を3Dプリンターとして報道したことで、Additive Manufacturing (AM、3Dプリンター、付加製造)技術は3Dプリンターとして広く認識されることになったが、3DプリンターはAM技術の単なる愛称である。

さて、1980年の小玉秀男氏による特許出願から始まったAM技術は、人類の加工技術としての第三番目の加工法として発明された。第一の加工法である除去加工がマイナス加工、第二の加工法である成形加工を変形加工というのであれば、AM技術はプラス加工と言い換えることができるだろう。

AM技術は、日本国内では光造形法や積層造形法と呼ばれていたが、欧米ではもっぱらRapid Prototypingと呼ばれていた。しかし、2009年1月にフィラデルフィアで開催されたASTM国際会議に於いて、当該技術の呼称はAdditive Manufacturing (AM)技術に統一された。そして、AM技術の定義もプラス加工法を用いてコンピュータ上のモデルから立体を作るプロセスであることが規定された。また、その後に開催された会議で、AM技術は以下の7つの分類に分けられることも規定された。

◆ 液槽光重合: Vat Photo-polymerization
槽の中の光硬化性樹脂をUVレーザー等で選択的に硬化することで付加する方法
◆ シート積層造形法: Sheet Lamination
紙などのシート材料を積層して切削する方法
◆ 結合剤噴射: Binder Jetting
槽の中の粉末材料に糊を選択的にインクジェットで塗布することで付加積層する方法
◆ 材料押出: Material Extrusion
溶融させた材料を押出ノズルから選択的に付加堆積させる方法
◆ 材料噴射: Material Jetting
液化させた材料をインクジェットで選択的に付加堆積させる方法
◆ 粉末床溶融結合: Powder Bed Fusion
槽の中の粉末材料をレーザーや電子ビームで選択的に溶融させ付加積層する方法
◆ 指向性エネルギー堆積: Directed Energy Deposition
粉末材料をレーザーで溶融させながら選択的に付加堆積させる方法

本講座では、上述の各AM(3Dプリンター)技術とその最新動向に関して以下の項目に関して解説する。
•3Dプリンターって何?
•AM技術の応用と用途
•AM技術と装置の動向
•AM技術の市場動向
•AM技術を整理してみると
•日本のAM技術

講演題目

積層造形で何を作るか? 量産技術としての検討

講師

中野 禅(産総研)

1.本講演の目的

3Dプリンタ・Additive Manufacturing(AM)として知られている3次元の形状作製技術は、時に簡単に「なんでもつくれる」様な意味合いを持たれている。しかしながら特徴を理解し利用のための開発を進めなければ産業への貢献は得られない。この技術の特徴の一つである積層型・積み上げ型の形状作製を理解し、量産技術へと展開を目指す。現状で何を作るのが良さそうか、検討してみる。

2.概要

3Dプリンタは特に個人向けに廉価の装置も生み出され、個人ベースでの生産活動の方策や、新しいビジネス、またRapid prototype (RP), Rapid manufacturing (RM)として、迅速な生産提供のツールとして、そして新規の製品を生み出すような技術として考えられる。このように自在性が高い加工方法ではあるが、本当の意味で一つの技術ですべてをまかなえる手法と言えるのか?という議論は置き去りにされている。Additive Manufacturing (AM)装置は現状で7種に分類され、素材の状態も液体、線材、紛体、薄膜、と別れ、使える材料も、作れる形状も異なっている。技術の分化が既に始まっている。先述の多様な使い方をカバーするのは一つの技術ではなく、これからそれぞれに特化し開発される必要がある。
我々は、この技術を生産、とくに量産現場で利用することを考えている。今まで作れなかった製品を生み出す事に展開する技術として加工の仕組みが違い、新しい加工技術の拡がり、選択肢の増加として捉える。この時には、「積み上げる」という最大の特徴を活かすことが重要である。過去の切削は大きな塊から材料を減らし削り新しい表面形状を生み出していた減の加工法であり、成型系の加工法は型の隙間に材料を充填もしくは挟み込み、型の表面形状を転写していく体積変化の少ない零の加工法である。AMは積み上げる。何もなかったところに一つづつ積み上げて最後の一部分までを付け加えて形状を作る加の加工である。既存の加工は形状と共に表面を加工していたが、AMでは積み上げる素材の大きさの影響を受けながら表面が作られる。積み上げることにより、全体をとにかく積まないと形にならない。加工性を向上するには加工単位の削減、すなわち積み上げる体積を削減することが重要である。(実際の造形体積)/(見かけの製品体積)を小さくするのが良い。すなわち、バルクの塊より、シェル状や、内部に空間を持った構造、しかしながら強度等機能を生み出すラティス構造やポーラス構造を作ることがより有効と考えられる。既存加工法が3次元の表面を作っていたのと比較し、空間を作る技術として認知するとわかりやすい。空間・表面を高い付加価値のある新しい機能として利用するためには、表面の利用技術を含め、材料や加工法等の開発が求められている。

講演題目

電子ビーム積層造形技術による金属系構造部材の創製

講師

千葉 晶彦(東北大)

はじめに

電子ビーム積層(EBM)造形法は、三次元CADデータに基づく電子ビーム(EB)走査により、金属粉末を選択的に溶融・凝固させた層を繰り返し積層させて三次元構造体を製作する新たなネットシェイプ加工技術として期待されている。高出力のEBを高速で走査するため高速な造形が可能である。また敷き詰めた粉末床を深さ方向に効率良く溶融させることができ、2,000℃を超える高融点材料でも高密度に造形が可能である。さらに、高真空中で造形するため、酸化および窒化の影響がなく、高品質な金属製品の造形に適している。
本講演では、電子ビーム積層造形技術の概要について説明し、実際の応用例として、生体用Co-Cr-Mo合金、IN-718合金、汎用チタン合金のEBM造形についての話題を取り上げる。これらの合金のEBM造形後の力学特性、EBM造形で得られる特徴的な金属組織とその力学特性について解説する。

微細析出物形成と一方向結晶成長

EBM積層造形法がネットシェイプ加工技術にとどまらない可能性を有していると考える根拠として、造形後に形成される特徴的な微細組織がその一つに挙げられる。生体用Co-Cr-Mo(CCM)合金のEBM造形ままの組織(SEM像でおよびEBSD観察(講演にて示す)の結果を合わせると、組織は方向に成長した径1μm以下に形成するセル組織から構成されており、セル界面には微細なM23C6系炭化物(1μm以下の間隔でM23C6系炭化物が均一に分散析出)が形成している。通常の鋳造法で形成されるCCM合金の組織は、粗大なデンドライト組織であり、不均一に晶析出した粗大な炭化物からなっている。

EBM造形物の力学特性

CCM合金、純チタン、およびTi-6Al-4V合金のEBM造形まま材の力学特性を、引張り試験、疲労試験により評価を行った。その結果、いずれの合金においても、それぞれの合金の鋳造材および鍛造材としての応用に必要な規格値を超えた力学特性を示す。EBM造形後にそれぞれの合金に現れる固相変態を利用した組織微細化熱処理を施すことにより、結晶異方性が改善され、等方的で、高強度・高延性な力学特性に改善される。以上のように、EBM造形物の力学特性は、これまでの鋳造材を超え、鍛造材に匹敵すると言える。

講演題目

三次元光造形法と微粒子焼成法を用いた機能性セラミックス構造体の創製

講師

桐原 聡秀(大阪大)

現在までに自動制御の加工機械を用いた金属やセラミックス材料の3次元成型法が数多く考案されてきた。特に近年におけるコンピューター制御技術の発展に伴い、CAD/CAM/CAE(Computer Aided Design /Manufacturing/Evaluation)プロセスの高精度化が図られ、様々なナノ・マイクロレベルでの加工装置が実現するに至っている。その一つである光造形法は高分子製の3次元構造を高速作製する手法である。従来は工業製品の試作モデルの成型に用いられてきたが、著者らの研究グループでは高分子媒質にセラミック微粒子を分散させることで、誘電体の3次元構造を自在に造形する技術として確立した。本講演では誘電体の3次元構造により電磁波を空間的に制御するという発想をベースに、新しい電磁波制御材料として期待されているフォトニック結晶の開発について紹介する。フォトニック結晶は誘電体の周期的なパターンを有し、ブラッグ回折により電磁波を完全反射する機能材料である。意図的な構造欠陥の導入により、特定の波長を強く共振させることが可能であることが、これまでの研究で明らかになった。光や高周波の電磁波を効率よく制御できると考えられており、国内外において活発な研究が進められてきた。著者らは光造形法を活用した最近の研究において、マイクロメーターオーダーの誘電体周期構造を有するセラミック製フォトニック結晶の作製に成功し、次世代の電磁波として高い関心を集めるテラヘルツ波の制御に取り組んでいる。本講演では、光造形法の基本原理や材料作製の過程について解説するとともに、フォトニック結晶によるテラヘルツ波の制御についても詳細を述べる。さらに、本講演では光造形法を用いた、セラミックスや金属構造体の精密成型に関する一連の研究成果の中から、固体酸化物燃料電池の電極構造や、医療用人工骨の多孔構造を開発した事例についても紹介したい。

講演題目

電子ビーム描画によるナノ金型の作製と極微細形状転写技術

講師

海野 徳幸(東京理科大)

三次元形状(深さ階調)を有する金属ナノ構造体を用いた次世代デバイスに注目が集まっている。半導体デバイスはもちろん、プラズモンカラーフィルタなどの光学素子、あるいは生化学向けの表面増強ラマン散乱(SERS)センサーなど分野を問わず様々な場面での応用が期待されている。一方で、プラスチック基板上に電子デバイスを形成するプリンティッドエレクトロニクス(PE)と呼ばれる分野も低コスト・低環境負荷という点から、フレキシブルディスプレイや薄膜有機太陽電池などの需要の高まりと共に盛んに研究が進んでいる。従来、金属ナノ構造体を作製する手法は半導体プロセス(特にリソグラフィ及びリフトオフ技術)の応用が主であった。しかし、三次元形状を有する金属ナノ構造体の作製には幾度も同プロセスを繰り返す必要がある。これは、リフトオフ技術が1回で1レイヤー分(1段の高さ)の形成しかできないからである。そのため、パターンの重ね合わせ機構が必要になり、さらにスループットの低下を招いていた。また、従来の半導体プロセスはシリコンウェハを基板として用いることを想定しているため、プラスチック基板の熱的・化学的制約のためPE向けパターニング手法として適用が難しかった。これらの課題を解決しうる技術として本講演では、ナノインプリントリソグラフィ及びナノトランスファープリンティングを応用した極微細形状転写技術を紹介する。講演は次の3つの主題より構成される。
(1) 電子ビームリソグラフィによる三次元ナノ形状金型作製技術
(2) 酸化金属離型膜を用いたプラスチック基板上への新規金属パターニング技術
(3) 高スループット化のためのシームレスなロールナノ金型の作製技術とその応用。

更新:2014/1/1