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2025年度 「応用物理学会 薄膜 ・ 表面物理分科会論文賞」および「応用物理学会 薄膜 ・ 表面物理分科会奨励賞」の選考結果

2025 年度「 応用物理学会 薄膜 ・ 表面物理分科会 論文賞」および「 応用物理学会 薄膜 ・ 表面物理分科会 奨励賞」について,以下の選考結果を得ましたので ご報告致します.

1.「応用物理学会 薄膜 ・ 表面物理分科会 論文賞」受賞論文

受賞者:鮑 ⼀帆(京都⼤学),⻄脇 悠⼈(京都⼤学),河野 冬⾺(京都⼤学),宇都宮 徹(京都⼤学),杉村 博之(京都⼤学),⼀井 崇(京都⼤学)

受賞論文: Molecular-Resolution Imaging of Ionic Liquid/Alkali Halide Interfaces with Varied Surface Charge Densities via Atomic Force Microscopy, ACS Nano, 18 (50), 25302−25315 (2024).
2024年8月26日出版, DOI: 10.1021/acsnano.4c08838

受賞理由: 周波数変調型原子間力顕微鏡を用いて,イオン液体とアルカリハライド界面における溶媒和構造を系統的に整理し,統一的な理解を得ようと試みた研究である.装置改良やセンサーの自作といった技術開発にとどまらず,表面電荷密度の異なるRbI(100)面と(111)面での溶媒和構造を比較するために,それら表面の作製にも独自に取り組み,特に不安定とされる原子レベルで平坦な(111)面の作製に成功した点はオリジナリティが高い.このような独自のアプローチを通して,“Crowded Ion layer”構造が形成されることを初めて実験的に明確化した点は特筆される.本成果は,装置開発,試料作製,高度な測定,緻密な解析まで一貫し取り組んだ模範的な研究であり,複雑な固液界面現象に対する理解を深めることに寄与するものであると期待される.これより,本論文は薄膜・表面物理の基礎的観点から優れた論文であると認められ,薄膜・表面物理分科会論文賞に値すると考える.

2.「応用物理学会 薄膜・表面物理分科会 奨励賞」受賞論文

受賞者:小林 和樹(金沢大学)

受賞論文:“Fabrication of inversion channel diamond MOSFET with atomically step-free Al2O3/diamond interface”, Carbon, 235, 120024 (2025).
2025年1月28日出版, DOI: 10.1016/j.carbon.2025.120024

受賞理由:本論文は,究極のパワー半導体材料として期待されているダイヤモンドを用いて,原子レベルで平坦なAl2O3/ダイヤモンド界面を用いた反転層チャネルMOS構造を実現し,界面準位密度の大幅低減と,電界効果移動度の向上に成功した結果を報告している.候補者の研究グループで培われてきたダイヤモンド成長技術をベースに酸化膜界面の構造制御を高度化させた優れた研究成果である.今後,移動度の理論値との差を埋める方法の開発につながれば,自然酸化膜を持たないダイヤモンドの本格的なエレクトロニクス応用につながるマイルストーン的論文となると期待される.これより,本論文は薄膜・表面物理関連分野の進歩向上に寄与するものであり,薄膜・表面物理分科会奨励賞に値すると考える.

3.審査の経過について

分科会ウェブページおよびニュースレターなどを通じて,2025年度「応用物理学会薄膜・表面物理分科会 論文賞」および「応用物理学会 薄膜・表面物理分科会 奨励賞」の公募を行ったところ,2025年9月26日の締め切りまでに論文賞9件,奨励賞2件(論文賞との重複申請を含む)の推薦があった.それらの論文に対して応募資格の確認を行うとともに,以下の8名の表彰選考委員が,専門分野を勘案して各論文3名以上となるよう担当を分担し,書類審査を行った.その後に,書類審査結果に基づき表彰選考委員会にて議論を行った結果,上記2件がそれぞれ論文賞および奨励賞に相応しいとの合意を得た.

2025 応用物理学会 薄膜・表面物理分科会 表彰選考委員

中村 雅一(奈良先端科学技術大学院大学,委員長),小川 修一(日本大学),酒井 忠司(東京科学大学),清水 智子(慶應義塾大学),武田 さくら(奈良先端科学技術大学院大学),田畑 仁(東京大学),松本 祐司(東北大学),渡邉 孝信(早稲田大学)

更新:2026/3/5