Category Archives: 基礎講座

基礎講座:走査プローブ顕微鏡による表面・界面研究:基礎と応用 ※学生参加費が無料

第53回 薄膜・表面物理 基礎講座(2024)

協力応用物理学会分科会・研究会

有機分子・バイオエレクトロニクス分科会

協賛学会

日本表面真空学会,日本物理学会,日本磁気学会,日本化学会,日本顕微鏡学会,ナノ学会,触媒学会

後援

早稲田大学アンビエントロニクス研究所

開催趣旨

 走査型プローブ顕微鏡が普及し始めてからおよそ30年が経過しており,すでに定番の形状/物性評価法として広く使われています.それに伴って二つの問題が生じているように思われます.一つは,ユーザーフレンドリーな市販装置が普及するに従って,しくみを理解しないまま使う学生が増えてきているという点,もう一つは,新しい測定法の開発やこれまで出来なかったことができる新装置の開発が止まったわけではないのに,最新事情が幅広い分野の研究者/技術者に届きにくくなっているという点です.そこで,応用物理学会における走査型プローブ顕微鏡の総本山である薄膜・表面物理分科会として,今一度走査型プローブ顕微鏡という装置の根本についてしっかり学べるとともに,走査型プローブ顕微鏡の最新事情もまとめて聞くことができる機会として,本基礎講座を企画しました.

日時:

2024年11月13日(水) 9:50 – 17:20

場所:

早稲田大学西早稲田キャンパス 森村市左衛門記念会議室(63号館 2階 03会議室)(ハイブリッド開催)

1.プログラム:

(敬称略)

時間講演テーマ(仮)講師
09:50-10:00開会  
  
10:00-10:55原子間力顕微鏡の基礎とその応用展開
−装置構成から最新の測定手法まで−
山田 啓文
(京都大学名誉教授)
10:55-11:40超高真空中FM-AFMの基礎とその応用展開杉本 宜昭
(東京大学)
11:40-13:00休憩
13:00-13:45高速AFMの基礎からバイオ応用まで安藤 敏夫
(金沢大学)
13:45-14:30光誘起力顕微鏡と静電気力顕微鏡の最近の展開
菅原 康弘
(大阪大学)
14:30-15:00休憩
15:00-15:45時間分解SPM技術の開拓-基礎から展望まで重川 秀実
(筑波大学)
15:45-16:30スピン偏極STMと走査トンネルポテンショメトリの最近の展開
長谷川 幸雄
(東京大学)
16:30-17:15低温強磁場STMによる物性研究の最近の展開
花栗 哲郎
(理化学研究所)
17:15-17:20閉会
  
  

2.参加費:

テキスト代, 消費税を含む

薄膜・表面物理分科会会員 *応用物理学会会員 **
協賛学会会員 協賛分科会会員
学生その他
10,000円15,000円無料25,000円

* 薄膜・表面物理分科会賛助会社の方は分科会会員扱いといたします.
** 応用物理学会賛助会社の方は応用物理学会会員扱いといたします.

現在非会員の方でも,参加登録時に薄膜・表面物理分科会(年会費正会員:2,200円,準会員:3,000円)にご入会いただければ,本基礎講座より会員扱いとさせていただきます.

https://www.jsap.or.jp/より入会登録を行い,会費支払及び仮会員番号を取得後,本基礎講座にお申込み下さい.(年会費を基礎講座参加費と同時にお振込なさらないで下さい.)

3.参加申込期間:

2024年10月1日(火) ~ 11月8日(金)

4.参加申込方法:

下記URLあるいはQRコードからイベントペイのサイトにアクセスし,参加登録してください.

https://eventpay.jp/event_info/?shop_code=1804158131583761&EventCode=6340142826

コンビニ支払い,ペイジー決済可.原則として,参加費の払い戻し,請求書の発行はできません.領収書は申し込みサイトからダウンロード可能です.

5.参加費支払期限:

2024年11月8日(金)

6.企画に関する問合せ先:

千葉大学 山田 豊和

E-Mail: toyoyamada@faculty.chiba-u.jp

奈良先端科学技術大学 中村 雅一

E-Mail: nakamura.masakazu@naist.ac.jp

7.参加登録問合せ先:

応用物理学会事務局 分科会担当 岡本 普一
TEL: 03-3828-7723
E-Mail: divisions@jsap.or.jp

更新:2024/5/30

基礎講座:電極界面の最新科学 ※学生参加費が無料

第52回 薄膜・表面物理 基礎講座(2023)

協力応用物理学会分科会・研究会

応用電子物性分科会,結晶工学分科会,有機分子・バイオエレクトロニクス分科会,先進パワー半導体分科会,固体量子センサ研究会

協賛学会

日本物理学会,日本化学会,日本表面真空学会,電子情報通信学会,電気化学会,日本結晶学会,日本結晶成長学会,日本分光学会,触媒学会,表面技術協会,日本材料学会,表面分析研究会,精密工学会,日本セラミックス協会,日本放射光学会,ナノ学会、日本MRS

開催趣旨

 電極界面の理解が現在急速に進んでいます.そして,最近の研究トレンドである二次電池,燃料電池,水素貯蔵,などの研究開発において,電極界面の制御は極めて重要です.更に,電極界面に関係する物質合成,材料プロセス,及び計測評価の各技術も進展しています.このように近年進展している電極界面の科学に関して,その現状や課題を理解しておくことは,既にこの分野で活動している研究者にとっても,また新たに参入する研究者にとっても極めて有用です.そこで電極界面の最新科学について概観する機会として,本基礎講座を企画しました.

日時:

2023年11月24日(金) 9:50 – 17:30

場所:

東京理科大学森戸記念館第2フォーラム(ハイブリッド開催)

1.プログラム:

(敬称略)

時間講演テーマ(仮)講師
9:50-10:00開会高見知秀
(工学院大)
10:00-10:55燃料電池の電極触媒和田山智正
(東北大)
10:55-11:40酸化物抵抗変化素子島 久
(産総研)
11:40-13:00休憩
13:00-13:45電池(電気化学)界面総論安部武志
(京大)
13:45-14:30顕微鏡での直接観察(SEM/TEM,EELS)
山本和夫
(JFCC)
14:30-15:00休憩
15:00-15:45蓄電固体材料の界面高田和典
(NIMS)
15:45-16:30全固体電池電極における接触界面解析
折笠有基
(立命館大)
16:30-17:15硫化物全固体電池
林晃敏
(大阪公立大)
17:15-17:20閉会
住友弘二 幹事長

2.参加費:

テキスト代, 消費税を含む

薄膜・表面物理分科会会員 *応用物理学会会員 **
協賛学会会員 協賛分科会会員
学生その他
10,000円15,000円無料25,000円

* 薄膜・表面物理分科会賛助会社の方は分科会会員扱いといたします.
** 応用物理学会賛助会社の方は応用物理学会会員扱いといたします.

現在非会員の方でも,参加登録時に薄膜・表面物理分科会(年会費正会員:2,200円,準会員:3,000円)にご入会いただければ,本基礎講座より会員扱いとさせていただきます.

https://www.jsap.or.jp/より入会登録を行い,会費支払及び仮会員番号を取得後,本基礎講座にお申込み下さい.(年会費を基礎講座参加費と同時にお振込なさらないで下さい.)

3.参加申込期間:

2023年10月1日(日) ~ 11月15日(水) 22日(水)(延長しました)

4.参加申込方法:

下記URLあるいはQRコードからイベントペイのサイトにアクセスし,参加登録してください.

https://eventpay.jp/event_info/?shop_code=1804158131583761&EventCode=6331634989

コンビニ支払い,ペイジー決済可.原則として,参加費の払い戻し,請求書の発行はできません.領収書は申し込みサイトからダウンロード可能です.

5.参加費支払期限:

2023年11月15日(水) 22日(水)(延長しました)

6.企画に関する問合せ先:

工学院大学 高見知秀

E-Mail: takami@cc.kogakuin.ac.jp

物質・材料研究機構 鈴木 拓

E-Mail: SUZUKI.Taku@nims.go.jp

7.参加登録問合せ先:

応用物理学会事務局 分科会担当 岡本 普一
TEL: 03-3828-7723
E-Mail: divisions@jsap.or.jp

更新:2023/4/14

基礎講座:Beyond 5Gと薄膜・表面物理の接点 ※学生参加費が無料

第51回 薄膜・表面物理 基礎講座(2022)

協賛学会

日本表面真空学会、日本機械学会、日本化学会、日本金属学会、フラーレン・ナノチューブ・グラフェン学会、高分子学会、精密工学会、表面技術協会、日本放射光学会、電気化学会、日本材料学会、日本物理学会、日本分析化学会、日本分光学会

協力分科会

応物・有機バイオ分科会

協賛

国立研究開発法人情報通信研究機構

開催趣旨

 次世代移動体通信システム(Beyond 5G)は、「高速・大容量」「低遅延」「多数同時接続」といった現世代の5Gの機能の更なる高度化に加え、「超低消費電力」「超安全・信頼性」「自律性」「拡張性」といった新しい機能を備えた次世代の移動通信システムです。Beyond 5Gは、陸上・海上・宇宙においてモノ・ヒト・コトをシームレスにつなぎ、Society 5.0の基幹技術となるものです。2030年代の社会実装に向けて、Beyond 5Gの研究開発が世界中で熾烈に行われています。
 Beyond 5Gでは、ミリ波帯およびテラヘルツ帯などの超高周波帯が用いられ、トランジスタやレーザーなどの固体素子が重要な役割を果たします。超高周波数帯では、固体中での電子の走行速度は極限に達するため、従来の固体素子を凌駕する革新的なデバイスの創出が不可欠です。高電子移動度トランジスタ(HEMT)開発過程においてみられるように、薄膜・表面物理は、Beyond 5Gに資するデバイスを支える不可欠な学理・技術となるものです。
 本基礎講座では、Beyond 5Gの技術戦略を理解した上で、Beyond 5Gを支える各要素技術を具体的に学ぶことで、新たな薄膜・表面物理の萌芽を見つけ出すことを目指します。第一線の先生方にご講演にいただき、Beyond 5Gにご興味のある材料・デバイス開発企業・研究機関の皆様のお役に立てるよう講座をご用意いたしました。
・キーワード:Beyond 5G、Society 5.0、ミリ波帯、テラヘルツ帯、超高周波デバイス、集積回路

日時

2022年10月31日(月) 9:50 – 17:25

場所

慶應義塾大学日吉キャンパス 来往舎大会議室(ハイブリッド開催)
アクセスマップ

プログラム

時間講演テーマ講師(敬称略)
9:50-10:00趣旨説明吹留 博一
(東北大学)
10:00-11:00Beyond 5G/6G研究開発のビジョンと戦略
-NICTのホワイトペーパーから-
寳迫 巌
(情報通信研究機構)
11:00-12:00Beyond 5Gにおける酸化ガリウム
デバイスの役割と可能性
東脇 正高
(大阪公立大学)
12:00-13:00お昼休み
13:00-14:00半導体プラズモニック機能デバイスの創出と
その次世代Beyond 5G テラヘルツ無線通信への応用
尾辻 泰一
(東北大学)
14:00-15:00量子情報通信技術の概要と
Beyond 5G/6Gにおける役割
武岡 正裕
(慶應 大学)
15:00-15:15休憩
15:15-16:15Beyond 5G等に向けたシリコン
CMOSによるsub-THz帯無線通信用集積回路技術
原 紳介
(情報通信研究機構)
16:15-17:15二次元半導体を活用した
次世代集積回路技術
若林 整
(東京工業大学)
17:15-17:25クロージング
清水 智子
(慶應大学)

参加費:テキスト代, 消費税を含む

薄膜・表面物理分科会会員 *応用物理学会会員 **
協賛学会会員 協賛分科会会員
学生その他
10,000円15,000円無料25,000円

*薄膜・表面物理分科会賛助会社の方は分科会会員扱いです.
**応用物理学会賛助会社の方は、応用物理学会会員扱いです.

現在非会員の方でも,参加登録時に薄膜・表面物理分科会 (年会費正会員:2,200 円(学生・院生:500 円),準会員:3,000 円(学生・院生:500 円))にご入会いただければ,本セミナーより会員扱いとさせていただきます.
http://www.jsap.or.jp/より入会登録を行い,会費支払及び仮会員番号を取得後,本セミナーにお申込み下さい.
(年会費を基礎講座参加費と同時にお振込なさらないで下さい.)

参加申込期間

2022年9月1日(木) ~ 10月31日(月)

参加申込方法

下記URL、或いはQRコードを読み取り参加登録して下さい。

https://eventpay.jp/event_info/?shop_code=1804158131583761&EventCode=P903595616

コンビニ支払い、ペイジー決済可. 原則として、参加費の払い戻し、 請求書の発行はできません. 領収書は申込サイトからダウン ロード可能です.

参加費支払期限

2022年10月31日(月)

企画に関する問合せ先

慶應大学・清水 智子
E-mail: tshimizu@appi.keio.ac.jp
東北大学・吹留 博一
E-mail: hirokazu.fukidome.e7@tohoku.ac.jp

参加登録に関する問合せ先

応用物理学会事務局 分科会担当 白石 陽子
TEL: 03-3828-7723
E-Mail: divisions@jsap.or.jp

更新:2022/9/21

基礎講座:表面・界面科学を基にした多彩なバイオセンシング技術の最前線

第50回 薄膜・表面物理 基礎講座(2021)

協賛学会

日本表面真空学会、日本機械学会、日本化学会、日本金属学会、フラーレン・ナノチューブ・グラフェン学会、高分子学会、精密工学会、表面技術協会、日本放射光学会、電気化学会、日本材料学会、日本物理学会、日本分析化学会、日本分光学会

協賛分科会

応物・有機バイオ分科会

開催趣旨

 バイオセンシング技術の発展は目覚ましく、1962 年の電気化学によるグルコースセンサから始まり、今や多様な検出技術が開発さ れています。例えば、電界効果トランジスタを用いた電流による検出や表面プラズモンでの検出、弾性表面波を用いた検出に加え、 ナノポア中にDNAを流しイオン電流で読み取る短時間での検出も可能になってきました。
 バイオセンシングは数百ナノメートルサイズのウイルスからナノメートルサイズの酵素やたんぱく質、DNA など様々な生体分子 を認識し、年々、高感度になってきています。このような展開の早いバイオセンシング分野で適切な検出手段の知識を知っておく ことは、バイオセンシングを主体としている研究者だけではなく、物質の表面・界面を専門にしている研究者にも今後の研究展開 を切り開くチャンスとなるはずです。今回の基礎講座では、様々な手法でバイオセンシング技術のフロンティアを開拓してきた第 一線級の先生方にご講演いただき、バイオセンシング分野の多様性と裾野の広さの一端を垣間見ていただく機会としてバイオセン シングにご興味のある材料・デバイス開発企業・研究機関の皆様に役立っていただけるよう講座をご用意いたしました。
・キーワード:バイオセンサ、電界効果トランジス、表面弾性波、磁気センサ、ナノポア

日時

2021年11月24日(水) 9:30 – 17:00

場所

オンライン開催

プログラム

時間講演テーマ講師(敬称略)
9:30-
9:40
オープニング 神吉 輝夫 (大阪大学)
9:40-10:30医療とバイオ計測武田 健一 (日立製作所中 央研究所)
10:30-11:20磁性ナノ粒子のセンシングと医用イメージング 竹村 泰司 (横浜国立大学)
11:20-12:10弾性表面波バイオセンサ近藤 淳 (静岡大学)
12:10-13:10休憩
13:10-14:00液体電解質ゲートFET型センサーの 検出機構、多点・広領域観測、周波数応答、情報伝達
川原田 洋 (早稲田大学)
14:00-14:50グラフェンFET による高感度ウィルスセンシング
松本 和彦 (大阪大学)
14:50-15:10休憩
15:10-16:00ソリッドステートナノポアによる単分子識別技術
柳 至 (日立製作所中央研究所)
16:00-16:50近接場光学を用いた高機能バイオセンシング技術
藤巻 真 (産業技術総合研究所)
16:50-17:00クロージング 田畑 仁 (東京大学)

参加費:テキスト代、消費税を含みます。

薄膜・表面物理分科会会員 *応用物理学会会員 **
・協賛学協会会員・協力分科会会員
学生その他
10,000円15,000円3,000円25,000円

*薄膜・表面物理分科会賛助会社の方は分科会会員扱いと致します。
**応用物理学会賛助会社の方は、応用物理学会会員扱いと致します。

現在非会員の方でも、参加登録時に薄膜・表面物理分科会(年会費 正会員:2,200円(学生・院生:500円), 準会員:3,000円(学生・院生:500円))にご入会いただければ、本セミナーより会員扱いとさせていただきます。
http://www.jsap.or.jp/ より入会登録を行い、会費支払及び仮会員番号を取得後、本セミナーにお申込み下さい。
(年会費を基礎講座参加費と同時にお振込なさらないで下さい。)

参加申込期間

2021年9月27日(月) ~ 11月21日(日)

参加申込方法

下記URL、あるいはQRコードを読み取り参加ご登録およびお支払い願います。

https://eventpay.jp/event_info/?shop_cod e=1804158131583761&EventCode=P288845328

・クレジットカード支払い可
・コンビニ支払い可
原則として、参加費の払い戻し、 請求書の発行はできません。
領収書は、後日電子メールにてお送りする予定です。

参加費振込〆切

2021年11月21日(日)

世話人(問合せ先)

大阪大学・神吉 輝夫
E-mail : kanki@sanken.osaka-u.ac.jp / TEL : 06-6879-4282
東京大学・田畑 仁
E-mail : tabata@bioeng.t.u-tokyo.ac.jp / TEL : 03-5841-8853

参加登録に関する問合せ先

応用物理学会事務局分科会担当 福井 正幸
TEL: 03-3828-7724  FAX: 03-3823-1810
E-Mail: fukui@jsap.or.jp

更新:2021/10/7

基礎講座:情報データ科学に基づく結晶材料・界面・プロセス工学の新展開 ~実験との連携運用術~

第49回 薄膜・表面物理 基礎講座(2020)

詳細PDF:第49回 薄膜・表面物理 基礎講座 ポスター

参加登録:登録フォームにて参加登録してください。

概要

協賛

日本表面真空学会、日本機械学会、日本化学会、日本金属学会、フラーレン・ナノチューブ・グラフェン学会、高分子学会、精密工学会、表面技術協会、日本放射光学会、電気化学会、日本材料学会、日本物理学会

開催趣旨

データ科学の進歩に基づくマテリアルズ・インフォマティクスの発展は、物質科学や応用物理学の分野における研究環境にも大きな影響をもたらしつつあります。多くの科学者、技術者が注目する本技術ですが、一方で新規で馴染みの薄い計算科学的手法には未だ参入障壁が存在し、実際の物質創成実験や分析評価と連携したより具体的な応用、活用事例を詳しく聴く機会はまだ乏しいのではないでしょうか。
今回、マテリアルズ・インフォマティクス、プロセス・インフォマティクスの概観からはじまり、結晶成長、ヘテロ界面の科学やプロセス工学、分析評価における計算科学の実際的活用に焦点を絞り、その材料探索、物性・プロセス設計、構造分析などに本技術を先駆的に研究に取り込んだ事例や課題に触れられる基礎講座を企画しました。これから、計算科学を材料研究に取り込みたいと考えている企業・研究機関の皆様に役立つ講座を目指して、先端企業や大学からの関連講演を用意しました。
・キーワード:結晶成長、薄膜、材料、マテリアルズ・インフォマティクス、プロセス・インフォマティクス、データ科学、機械学習

日時

2020年11月13日(金) 10:00-17:00

場所

オンライン

プログラム

時間 講演テーマ 講師(敬称略)
10:00-10:10 オープニング  
10:10-11:00 マテリアルインフォマテックスによる材料設計と今後の展望 知京豊裕(物質材料研究機構)
11:00-11:50 機械学習援用分子線エピタキシーによる磁性酸化物の高品質薄膜成長 若林勇希(NTT物性科学基礎研究所)
11:50-13:00 昼食休憩
13:00-13:50 窒化物半導体プロセス・インフォマティクス:不純物混入の抑制 寒川義裕(九州大学)
13:50-14:40 酸化物表面・界面機能とインフォマティクス Mikk Lippmaa(東京大学)
14:40-15:00 休憩
15:00-15:50 収束電子回折に依る静電ポテンシャル分析解析への機械学習の応用 津田健治(東北大学)
15:50-16:40 レシピ最適化機能・学習機能による半導体成膜装置の運用支援、及び安定稼働におけるAI テクノロジーの可能性 竹永裕一/松井英章 (東京エレクトロンテクノロジーソリューションズ株式会社)
16:40-17:00 クロージング  

定員

200名(予定)

参加費

薄膜・表面物理分科会会員 * 応用物理学会会員 **
・協賛学協会会員
学生 その他
10,000円 15,000円 3,000円 25,000円

*薄膜・表面物理分科会賛助会社の方は分科会会員扱いと致します。

**応用物理学会賛助会社の方は、応用物理学会会員扱いと致します。

現在非会員の方でも、参加登録時に薄膜・表面物理分科会(年会費 正会員:2,200円(学生・院生:500円), 準会員:3,000円(学生・院生:500円))にご入会いただければ、本セミナーより会員扱いとさせていただきます。
http://www.jsap.or.jp/ より入会登録を行い、会費支払及び仮会員番号を取得後、本セミナーにお申込み下さい。
(年会費を基礎講座参加費と同時にお振込なさらないで下さい。)

参加申込期間

2020年9月11日(金)〜11月2日(月) 延長されました

参加申込方法

登録フォームにて参加登録してください。参加登録完了後、ご連絡頂いた期日までに、下記、銀行口座に参加費をお振込み下さい。振込確認後、参加方法詳細をお送りいたします。原則として、参加費の払い戻し、請求書の発行はできません。領収書は後日電子メールにてお送りする予定です。

参加費振込期限

2020年11月6日(金)

参加費振込先

三井住友銀行 本店営業部(本店でも可)
普通預金  口座番号: 9474715
(社) 応用物理学会薄膜・表面物理分科会
(シャ) オウヨウブツリガッカイハクマク・ヒョウメンブツリブンカカイ

世話人(問合せ先)

名古屋大学・中塚 理
E-mail : nakatsuka@nagoya-u.jp / TEL : 052-789-5963
東北大学・組頭 広志
E-mail : kumigashira@tohoku.ac.jp / TEL : 022-217-5802

参加登録に関する問合せ先

応用物理学会事務局分科会担当 五十嵐 周
TEL: 03-3828-7723  FAX: 03-3823-1810
E-Mail: igarashi@jsap.or.jp

更新:2020/10/1

基礎講座:界面物理と摩擦の科学 ~ナノトライボロジー入門~

第48回 薄膜・表面物理 基礎講座(2019)

※参加申込期間・参加費振込期限を延長いたしました。

詳細PDF:第48回 薄膜・表面物理 基礎講座 ポスター

参加登録:登録フォームにて参加登録してください。

概要

協賛

東京理科大学マテリアルズインフォマティクス懇談会、日本表面真空学会、日本機械学会、日本物理学会、日本化学会、日本金属学会、日本トライボロジー学会、フラーレン・ナノチューブ・グラフェン学会、高分子学会、精密工学会、表面技術協会、日本学術振興会第131委員会、日本放射光学会、電気化学会、日本材料学会

概要

人類の活動において摩擦による損失は無視できないほど大きく、省エネルギー社会実現に向けて摩擦の理解と制御技術の革新は今後ますます重要になってくると考えられます。従来現象論の範疇で取り扱われてきた摩擦現象は、近年の評価技術の進歩に伴い様々な表面科学的な研究手法が取り入れられるようになり、原子・分子レベルでその機構解明が進んでいます。摩擦あるいはトライボロジーはミクロからマクロまでマルチスケールな現象であり、その研究分野は、本質的に機械工学や材料科学(化学)、そして表面・界面物理との境界領域に存在していることから、今後ますます学際性が求められます。
基礎講座では、異分野の研究者にトライボロジー研究の課題と魅力をお伝えすることを目的として、その基礎から応用例まで網羅しています。これからナノトライボロジーに取り組もうという方に、理解しやすく役立つ講座となっていますので、多くの皆様のご参加をお待ちしております。

日時

2019年11月15日(金) 10:00-16:40 (9:30 受付開始)

場所

東京理科大学 13号館(森戸記念館) 第2フォーラム
(新宿区神楽坂 4-2-2 ℡03-5225-1033 )
https://www.tus.ac.jp/info/access/pdf/mapkagu.pdf(アクセスマップ)
(最寄り駅:JR「飯田橋」 / 東京メトロ「飯田橋」 / 都営大江戸線「牛込神楽坂」)

プログラム

時間 講演テーマ 講師(敬称略)
10:00-10:05 オープニング
10:05-11:00 摩擦の科学~原子・分子から地震まで~ 松川 宏(青山学院大学)
11:00-11:50 トライボロジープロセスのマルチフィジックス・マルチスケール計算科学シミュレーション 久保 百司(東北大学)
11:50-13:00 休憩
13:00-13:50 潤滑油添加剤による反応被膜の形成メカニズム 大沼田 靖之(JXTGエネルギー株式会社)
13:50-14:40 摩擦界面その場観察技術の開発 三宅 晃司(産総研)
14:40-15:00 休憩
15:00-15:50 ナノインデンテーション法による機械特性評価の基礎 大川 登志郎(シエンタオミクロン株式会社)
15:50-16:40 DLCコーティングを用いたエンジン摺動部品の摩擦低減技術 加納 眞(KANO CONSULTING OFFICE)

参加費

テキスト代、消費税10%を含む.

薄膜・表面物理分科会会員 * 応用物理学会会員 **
・協賛学協会会員
学生 その他
10,000円 15,000円 3,000円 25,000円

*薄膜・表面物理分科会賛助会社の方は分科会会員扱いと致します。

**応用物理学会賛助会社の方は、応用物理学会会員扱いと致します。

現在非会員の方でも、参加登録時に薄膜・表面物理分科会(年会費 正会員:2,200円(学生・院生:500円), 準会員:3,000円(学生・院生:500円))にご入会いただければ、本セミナーより会員扱いとさせていただきます。
http://www.jsap.or.jp/ より入会登録を行い、会費支払及び仮会員番号を取得後、本セミナーにお申込み下さい。
(年会費を基礎講座参加費と同時にお振込なさらないで下さい。)

定員

100名
(満員になり次第締め切ります。)

参加申込期間

2019年9月3日(火)〜10月25日(金)2019年9月3日(火)〜11月8日(金)

参加申込方法

登録フォームにて参加登録してください。参加登録完了後、下記銀行口座に参加費をご連絡いただいた期日までにお振込ください。原則として参加費の払い戻し、請求書の発行は致しません。領収書は当日会場にてお渡しいたします。

参加費振込期限

2019年11月8日(金)2019年11月15日(金)

参加費振込先

三井住友銀行 本店営業部(本店でも可)
普通預金  口座番号: 9474715
(社) 応用物理学会薄膜・表面物理分科会
(シャ) オウヨウブツリガッカイハクマク・ヒョウメンブツリブンカカイ

企画に関する問合せ先

筑波大学 柳原英人
E-Mail: yanagiha@bk.tsukuba.ac.jp
大阪大学 中村芳明
E-Mail: nakamura@ee.es.osaka-u.ac.jp

参加登録に関する問合せ先

応用物理学会事務局分科会担当 五十嵐 周
TEL: 03-3828-7723  FAX: 03-3823-1810
E-Mail: igarashi@jsap.or.jp

講演詳細

講演題目

講演題目 摩擦の科学 ~原子・分子から地震まで~

講師

松川 宏(青山学院大)

 摩擦は我々に最も身近な物理現象の一つである。我々の周りでは常に摩擦が働いているため、摩擦が無い世界というものは想像しにくい。事実、アリストテレスは、物体は力が働き続けなければ静止してしまう、と考えていた。摩擦の振る舞いも古代から調べられてきた。しかし、それが我々が今日、知るような形でまとめられたのはダヴィンチの研究を経て産業革命の時代のアモントンやクーロンによってである。これが高校の物理の教科書にも登場する摩擦の法則、あるいはアモントンークーロンの法則と呼ばれるものである。この時代、摩擦の法則はあくまで現象論であり、その微視的機構が明らかになるのは固体の原子論が確立した20世紀も半ばになる。
その後、真空技術や摩擦力顕微鏡、表面力測定装置などの新たな実験技術の進歩により、摩擦研究は新たな時代を迎えた。そこでは、十分に制御された原子的なスケールで清浄な表面間の摩擦が測定可能になり、狭い領域に閉じ込められた”液体”潤滑剤の特異な振る舞いや、実験精度の範囲内で摩擦力が消えてしまう”超潤滑”と呼ばれる現象が見つかり、現在まで引き続き精力的な研究が行われている。そのようなミクロなスケールの摩擦現象からマクロスケールの摩擦を説明しようという研究も盛んに行われている。地球上で最も大きなスケールの摩擦現象は地震である。地震においては岩石間の摩擦やガウジと呼ばれる断層間の岩屑の摩擦が問題となり、その分野においてはやはり活発に調べられ近年の進歩は著しい。しかし、ミクロとマクロの摩擦を繋ぐ研究は未だ、十分な成功を収めているとはいえない。一方、省エネ、環境問題、ナノテクノロジーの進展によりあらたな摩擦の問題も次々と現れ、解決されることを待っている。
本講演では、ナノスケールからマクロスケールに至る摩擦現象とその背後にある物理を、多様な応用も含めて紹介したい。
[参考文献] 松川宏 摩擦の物理 岩波書店

講演題目

トライボロジープロセスのマルチフィジックス・マルチスケール計算科学シミュレーション

講師

久保 百司(東北大学)

 トライボロジーにおける計算科学シミュレーションは、有限要素法や流体力学などのマクロな計算手法に加えて、最近では分子動力学法や量子分子動力学法などを活用した原子・分子スケールでの解析が広く行われるようになってきた。特に最近では、摩擦界面における摺動材料や潤滑剤の挙動などに加え、「化学反応と摩擦」が複雑に絡み合ったマルチフィジックス現象であるトライボケミカル反応の解明に対する期待が高まっている。トライボケミカル反応の解明を可能とすることで、添加剤からの潤滑膜の形成過程やその機能の解明、さらには添加剤の理論的設計が可能になるものと期待されている。そこで本講演では、講演者らが開発してきた化学反応を考慮可能なTight-Binding量子分子動力学法に基づくトライボケミカル反応シミュレータの応用、さらにはトライボケミカル反応の理解に基づき低摩擦材料や低摩擦プロセスを設計した研究例を紹介する。さらに、近年の分子動力学法における力場の発展により、量子論に基づかない分子動力学法によっても,化学反応を扱うことが可能になりつつあり、化学反応を考慮した大規模な計算科学シミュレーションが実現できるようになってきた。そこで講演者らは、化学反応を考慮可能な分子動力学法に基づき大規模系で摩擦シミュレーションが可能なトライボ化学反応シミュレータを開発した。特に、大規模計算が実現できたことで、「摩擦現象」のみならず、「化学反応を伴う摩耗現象」の計算科学シミュレーションが可能になったことが大きなブレイクスルーを生んだ。さらに本講演では、1億原子系といった超大規模シミュレーションにより、トライボロジーの計算科学が、今後どのように発展し、実験研究に対してどのような大きなインパクトを与えることができるのかについても展望する。

講演題目

潤滑油添加剤による反応被膜の形成メカニズム

講師

大沼田 靖之(JXTGエネルギー株式会社)

 潤滑油には用途に応じて様々な添加剤が配合されており、油中で効果を発揮するもの、摺動表面で作用するものに大別することができる。前者としては粘度調整剤や酸化防止剤が例として挙げられ、潤滑油のレオロジー特性や熱・酸化安定性の向上を目的として添加されている。一方、後者には摩耗防止剤や摩擦調整剤などが該当し、摺動する部材の表面に吸着・反応して被膜を形成することにより、摩耗・焼付きの抑制や摩擦低減といった作用を示す。この摺動条件下における被膜形成プロセスはトライボケミカル反応と呼ばれており、高面圧かつ摩擦熱による温度上昇が生じることに加え、部材表面の摩耗により触媒作用を示す金属新生面や摩耗粉が介在することが特徴である。これらの要因により、トライボケミカル反応による添加剤被膜形成プロセスは、一般的な熱分解反応とは異なる傾向を有することが知られており、詳細なメカニズムの解明のために様々な研究が進められている。
本講義では、①ZnDTP(ジチオリン酸亜鉛)、②無灰摩擦調整剤、③リン系摩耗防止剤を例として、添加剤被膜の形成機構について紹介する。①ZnDTPは優れた酸化防止性、摩耗防止性を有することから、エンジン油をはじめとした幅広い潤滑油で使用される添加剤である。その反応機構をはじめ、生成した被膜の化学的組成や機械物性、摩擦特性など、非常に多くの報告がされている。また、他の添加剤と相互作用を生じることも知られており、無灰分散剤やMoDTCとの共存下では異なる特性の反応被膜が形成される。②無灰摩擦調整剤は部材表面に吸着することで摩擦低減作用を示す添加剤である。摺動環境においては、部材表面と強い相互作用を示して強固な吸着被膜を形成すること、他添加剤による反応被膜形成にも影響を及ぼすことが判明している。③リン系摩耗防止剤はカルシウム系清浄剤とのトライボケミカル反応によりリン酸カルシウム被膜を形成するが、ホウ素系添加剤の共存下では反応被膜が特異な形状となることが報告されている。この挙動は実験的に合成されたリン酸カルシウム粉末の焼成物の形状がホウ素の有無により変化することと類似している。

講演題目

摩擦界面その場観察技術の開発

講師

三宅 晃司(産総研)

 トライボロジーは、相対運動をしながら互いに影響を及ぼし合う2つの表面の間で起こる現象を対象とする科学と技術であり、摩擦や摩耗、潤滑など物体が動くときに起こる現象を解明しようという領域である。トライボロジーの発展には、表面や界面で起こる現象をきちんと理解するという基礎(学理)的な側面と、省エネルギー、低環境負荷への寄与など実用(工学)的な側面の両面からのアプローチが重要である。その中で、ナノトライボロジーは、真実接触部で起こる現象を微視的にとらえ、そこでの摩擦特性を実験的に解析し、理解することで、巨視的な規模のトライボロジー的な振る舞いをナノレベルでの現象の統計的な結合として理解するものであり、先に述べた基礎(学理)的な側面と実用(工学)的な側面の両面に寄与し得る。そこで重要となるのが、摺動中の表面、界面の変化をその場観察し、表面、界面のダイナミクスを理解することである。その意味で、近年の表面制御技術の進展と測定技術の進歩により、ナノスケールの摩擦研究は新たな展開を迎えているといえる。
これまでのトライボロジー研究における表面分析は摺動試験後に行われる場合が多く、摺動の結果得られた表面状態から摺動中のダイナミクスを推測することがほとんどであった。それでも多くの有益な情報が得られるが、トライボロジー現象の解明に真に必要なのは、摺動中の表面、特に真実接触面がどのような状態であるのかということと、結果として得られる摩擦、摩耗特性がどのように結びついているのかを理解することである。したがって、トライボロジー現象を詳細に理解するためには、摺動状態における界面のその場観察技術が必要となる。
本講演では、近年の摩擦界面のその場観察技術の進展について先行研究や講演者のこれまでの研究事例を元に解説する。

講演題目

ナノインデンテーション法による機械特性評価の基礎

講師

大川 登志郎(シエンタオミクロン株式会社)

 製品の不具合の原因や耐久性の評価を行う際に「機械特性」は重要な要素である。中でも、機械特性を評価する「硬い」「柔らかい」という単語は、我々が物を想像する際に直感的でわかりやすい言葉である。これを数字で表すことが出来る“硬さ”の値は、具体的な強度の議論を行う際に重要な指標となる。そのため、工業界では製品の機械特性を評価する手法として硬さが広く用いられている。JIS規格にもなっているビッカース硬さやヌープ硬さに代表される準静的押し込み試験方式は、硬さ(H)測定としてダイヤモンド製の圧子を使用して特定の荷重(P)で試料に押し込み、ついた圧痕の大きさ(A)を光学顕微鏡で観察してH=P/Aで算出される。しかし、ナノメートルからマイクロメートルで制御されている局所の硬さを評価したい場合は、圧痕の大きさも十分に小さくなるため、光学顕微鏡での観察は難しい。そこで、1992年にW.C. OliverとG.M. Pharr[1][2]は光学顕微鏡を用いずに,あらかじめ圧子の押し込み深さを圧痕の面積に換算する面積関数(Ac)を求めておき,荷重とその時の押し込み深さを同時計測し,硬さと弾性率を算出するDepth Sensing Indentation法を提案した。この方法は2002年にISO14577で規格化され、ナノインデンテーション法として現在広く用いられている。
本提案で導かれたナノインデンテーション硬さ(HIT)と、圧子と試料の系全体の弾性率を表す複合弾性率(Er)は次式で表される。
HIT = Pmax /Ac(hc) , Er = S√π/2√Ac(hc)
Pmax は最大押し込み荷重、Ac(hc)は圧子と試料が接触している深さ(hc)での圧子の投影面積、SはS≡ dP/dh|hmaxで定義される最大押し込み時(hmax)の剛性である。
今回の基礎講座では、Oliverらが提案した上記式の導出を行い、原理について理解を深めていただく。また、本手法を用いた事例や注意点に関しても講義にて紹介する。
[参考文献]
[1] W. C. OLIVER & G. M. PHARR:An Improved Technique for Determining Hardness and Elastic Modulus Using Load and Displacement Sensing Indentation Experiments, J. Mater. Res., 7, 6 (1992) 1564.
[2] 大川登志郎:ナノインデンテーション法に関する基礎知識, トライボロジスト, 61, 6, (2016) 381.

講演題目

DLCコーティングを用いたエンジン摺動部品の摩擦低減技術

講師

加納 眞(KANO CONSULTING OFFICE)

 DLCコーティングは、黒鉛とダイヤモンドの優れた特性を併せ持つ硬質炭素系薄膜として、腕時計等の日常製品から自動車エンジン摺動部品まで、広く汎用されている。特に、エンジン摺動部品への適用においては、水素を実質的に含まないta-Cコーティングが、エンジン油潤滑下で顕著な摩擦低減効果を発揮するために、バルブリフタやピストンリングへの適用事例が急速に拡大している。このta-Cコーティングの低摩擦特性は、環境にやさしい植物油等でさらに大きな効果が得られる研究や開発事例が欧州を中心に報告されている。また、ドイツの研究機関からEHL潤滑下でのDLCによる顕著な摩擦低減効果についての最新の研究が報告されている。筆者らは、植物油に含まれている脂肪酸の一種であるオレイン酸を潤滑に用いて、ta-C同士の混合~EHL条件下の摩擦で、摩擦係数が0.01以下となる超低摩擦特性が発現することを見出している。これらの流体潤滑下で観察された顕著な低摩擦現象は、従来の潤滑油の剪断力に基づき計算される摩擦力の解釈からだけでは説明できない興味深い優れた特性である。一方、最近市販されている燃費に優れたHEV車では、エンジンで発電機を回し、得られた電力でモータを駆動させるシステムが採用され始めている。このエンジンの主な稼働回転数は2500 rpmであり、境界潤滑になりやすい低回転のアイドリングや負荷が大きい高回転域は使われていない。この稼働域のエンジン摺動部品の多くは、上記のEHL潤滑下での摺動となる。また、エンジン負荷や油温の上昇も小さいために、エンジン油の劣化耐久性の要求も小さくなることが推定される。従って、上記の環境にやさしい潤滑油とDLCを組み合わせた超低摩擦特性を、将来のパワートレーン摺動部品に適用することにより、環境にやさしい材料だけを用いた究極の省エネルギー技術が早急に実用化されることが期待される。

更新:2019/10/24

基礎講座:データサイエンスを活用した固体材料・表面研究の最前線(締切を延長しました)

第47回 薄膜・表面物理 基礎講座(2018)

詳細PDF:第47回 薄膜・表面物理 基礎講座 ポスター

参加登録:登録フォームにて参加登録してください.(締切を11月9日(金) まで延長しました)

概要

協賛

日本表面真空学会データ駆動表面科学研究部会、日本物理学会、日本化学会、日本金属学会、日本表面真空学会、電子情報通信学会、電気学会、日本顕微鏡学会、フラーレン・ナノチューブ・グラフェン学会、日本結晶成長学会、日本分光学会、触媒学会、表面技術協会、電気化学会、日本材料学会、応用物理学会東海支部、日本磁気学会、日本計算工学会、日本学術振興会第131,154委員会、日本放射光学会、情報処理学会

概要

近年の情報科学と物質科学の融合による材料設計は、リチウムイオン電池、触媒設計などにおける成果が報告され、マテリアルズインフォマティクスは世界的な潮流として、企業・学術機関を問わず、多くの研究者が着目する材料設計技術として発展しつつあります. しかしながら、その背景、応用される情報科学的手法は、従来の材料研究者にとって馴染みが薄いことが多く、情報科学初学者の参入が難しい場面も多々あります.

本講座ではその様な状況を打開するために、特に固体材料・その表面に焦点を当て、情報科学的手法を用いた研究の歴史・現状・将来展望を俯瞰すると共に、マテリアルズインフォマティクスにおいて用いられる情報科学的手法の基礎、それらの実際の応用例までを網羅する基礎講座を企画致しました. 特に、これから情報科学的手法を材料設計に取り入れようとしている企業・学術機関の研究者に役立つことを目的として内容を設定致しました.

日時

2018年11月16日(金) 10:00-16:40

場所

東京理科大学 森戸記念館 第一フォーラム
(新宿区神楽坂 4-2-2 ℡03-5225-1033 )
https://www.tus.ac.jp/tlo/new/pdf/event_20121030_map.pdf(アクセスマップ)
(JR「飯田橋」西口 / 東京メトロ「飯田橋」B3出口下車 徒歩6分
 都営大江戸線「牛込神楽坂」A3出口下車 徒歩3分 )

プログラム

時間 講演テーマ 講師(敬称略)
10:00-10:50 データ科学を活用した表面表層計測の高度化
〜発展の歴史と将来展望〜
藤田 大介(NIMS)
10:50-11:40 具体例から学ぶ機械学習と物質科学の接点
安藤 康伸(産総研)
11:40-13:00 休憩
13:00-13:50 原子移動やフォノン挙動の解析への機械学習ポテンシャルの応用 渡邉 聡(東大)
13:50-14:40 機械学習による磁性材料開発 岩崎 悠真(NEC)
14:40-15:00 休憩
15:00-15:50 畳み込みニューラルネットワークを使った量子相転移の研究
大槻 東巳(上智大)
15:50-16:40 パーシステントホモロジーの基礎から応用まで 大林 一平(東北大)

参加費

テキスト代、消費税を含む.

薄膜・表面物理分科会会員 * 応用物理学会会員 **
・協賛学協会会員
学生 その他
10,000円 15,000円 3,000円 20,000円

*薄膜・表面物理分科会賛助会社の方は分科会会員扱いと致します.

**応用物理学会賛助会社の方は,応用物理学会会員扱いと致します.

 現在非会員の方でも,参加登録時に薄膜・表面物理分科会(年会費 正会員:2,200円(学生・院生:500円), 準会員:3,000円(学生・院生:500円))にご入会いただければ,本セミナーより会員扱いとさせていただきます.
http://www.jsap.or.jp/ より入会登録を行い,会費支払及び仮会員番号を取得後,本セミナーにお申込み下さい.
(年会費を基礎講座参加費と同時にお振込なさらないで下さい.)

定員

100名
(満員になり次第締め切ります.)

参加申込期間

2018年8月31日(金)〜10月26日(金) 11月9日(金) 締切を延長しました.

参加申込方法

登録フォームにて参加登録してください.参加登録完了後,下記銀行口座に参加費をご連絡いただいた期日までにお振込ください.原則として参加費の払い戻し,請求書の発行は致しません.領収書は当日会場にてお渡しいたします.

参加費振込期限

2018年11月9日(金)

参加費振込先

三井住友銀行 本店営業部(本店でも可)
普通預金  口座番号: 9474715
(社) 応用物理学会薄膜・表面物理分科会
(シャ) オウヨウブツリガッカイハクマク・ヒョウメンブツリブンカカイ

企画に関する問合せ先

東京工業大学 林 智広
 TEL: 045-924-5400 
 E-Mail: hayashi.t.al@m.titech.ac.jp

東京理科大学 小嗣 真人
 TEL: 03-5876-1412
 E-Mail: kotsugi@rs.tus.ac.jp

参加登録に関する問合せ先

応用物理学会事務局分科会担当 五十嵐 周
 TEL: 03-3828-7723  FAX: 03-3823-1810
 E-Mail: igarashi@jsap.or.jp

講演詳細

講演題目

データ科学を活用した表面表層計測の高度化 ~発展の歴史と将来展望~

講師

藤田大介 (物質・材料研究機構 先端材料解析研究拠点)

 データ科学を駆使した新しい型の材料研究、マテリアルズ・インフォマティクスが脚光を浴びている。新材料の発見から産業への応用展開、実用化にいたるまで凡そ20年以上かかっていた(と言われている)。インフォマティクスを応用することにより、材料の発見、開発、選択、使用について加速することを目的とする。
計測分析分野におけるインフォマティクスの嚆矢はケモメトリクスに遡る。データ駆動型手法により、化学システムから得られる大量データから有用情報を抽出する分野を指す。計測機器の計算機制御とデータストレージの進歩により発展したが、その解析手法の多くはデータマイニングの機能と重なるものがある。機械学習とデータマイニングで用いられる手法には重畳する部分が多いが、目的により区別される。機械学習は文字通り、機械による学習を実現する。その目的は、訓練データから学んだ「既知」の特徴に基づく予測である。一方、データマイニングの目的は、「未知」だったデータの特徴を発見することである。データの中で埋もれていた情報を抽出することができる。データマイニングは多段階のプロセスで構成されており、回帰分析、クラスタリング、次元削減、特徴変換などがある。
表面表層計測の高度化への応用展開としていくつかの事例を紹介する。表面電子分光において基礎的物理パラメータとなる非弾性散乱平均自由行程(IMFP)導出に必須の誘電関数やエネルギー損失関数を反射電子エネルギー損失分光(REELS)データから抽出する。また、表面物性を原子分解能で計測可能な走査型プローブ顕微鏡(SPM)はスペクトラムイメージングに適した手法であり、機械的特性や物理的化学的特性と表面形状を多次元同時測定する分光イメージングはギガからテラへ向けてビッグデータ化している。表面電子状態を原子レベルで解明可能な走査型トンネル分光(STS)においては、複数電子状態が重畳したデータから状態数と対応する位置情報を抽出する手法開発がデータ科学の導入によって加速されている。
データ科学やインフォマティクスの手法を材料表面分析などの先端的な計測分析手法へ導入し、データ科学と融合した計測の新たなパラダイムを構築することが期待されている。その観点から表面分析などの先端計測とインフォマティクスの融合、“先端計測インフォマティクス”が新たな計測パラダイムにおける重要な役割を担うだろう。

講演題目

具体例から学ぶ機械学習と物質科学の接点

講師

安藤康伸(産業技術総合研究所)

 機械学習に代表される情報科学的手法について多くの研究者が興味を抱いている。一方で実際に固体材料・表面科学研究へ応用しようとする際に悩みとなるのが「具体的にどういった課題に適用可能なのか?」という点である。何故ならば情報科学的手法自体の難解さに加えて、多くの情報科学の教科書に記載された例題は我々が日々相手にしている計算・計測データに対するそれとは異なっており、実際に利用するイメージがつきにくいからである。
 本講演では、マテリアルズ・インフォマティクスでしばしば用いられる「記述子」「予測」「モデル推定」というキーワードに対応する基本的な技術について、そしてそれらがどのように材料研究に応用できるかの具体例を、先行研究や講演者のこれまでの研究事例を元に解説する。
 まず材料の構造的特徴に注目をした「記述子」について解説する。構造の記述方法は大枠としてふたつのタイプが知られている。ひとつは分子のグラフ表現やクーロン行列表現、多体テンソル表現に代表される系全体の構造を数値化するタイプ、もうひとつは対称性関数やSOAP(Smooth Overlap of Atomic Positions)に代表される、注目をする原子周辺の局所構造を記述するタイプである。これらの特徴とその使い分けについて解説する。続いて材料の「記述子」を説明変数として材料の物性を「予測」する技術とその具体例について、触媒分子とその収率予測に関する研究事例と原子間ポテンシャルの機械学習による設計方法および利用方法について解説する。最後に「モデル推定」をキーワードとして、基礎的な技術であるEMアルゴリズムの概要と実験によって得られたスペクトルイメージングデータのハイスループットピーク解析への適用事例について述べる。

講演題目

原子移動やフォノン挙動の解析への機械学習ポテンシャルの応用

講師

渡邉聡 (東京大学大学院工学系研究科マテリアル工学専攻)

 原子拡散や熱伝導等、固体中における原子の動的挙動やそれが鍵となる諸物性の研究は古くから行われているが、近年の情報・エネルギーデバイスの進歩に伴い、原子レベルでのより深い理解が求められている。この問題に対する計算機シミュレーションによる取り組みも長い歴史を有するが、比較的単純な関数形のパラメータを実験等に合わせて決めた経験的原子間ポテンシャルによる分子動力学計算では信頼性が乏しく、他方、信頼性高く物性やミクロな諸過程を予測できるようになってきた第一原理計算は、近年の情報・エネルギーデバイスの研究開発の対象に対しては多くの場合に計算負荷が高すぎる。
このような中で、最近、機械学習を用いて第一原理計算結果をよく再現できる原子間ポテンシャルを作成する試みが活発になされており、成果を上げてきている。本講演では、このような試みと、その原子移動やフォノン挙動の解析への応用について概観する。具体例としては、我々のグループで行っている、アモルファス酸化タンタルやアモルファスリン酸リチウム中の原子拡散の研究、および窒化ガリウムやシリコン-ゲルマニウム合金中のフォノン挙動と熱伝導の研究を主に紹介する。前者については、電場印加時の原子移動挙動を解析するための拡張についても議論する。また、機械学習を用いた原子間ポテンシャル作成の際に留意すべき諸問題についても、我々の経験を踏まえて議論したい。

講演題目

機械学習による磁性材料開発

講師

岩崎 悠真1,2
(1. 日本電気株式会社(NEC)システムプラットフォーム研究所
2. 国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)さきがけ)

 AI囲碁(AlphaGo)やAI将棋(Ponanza)等によるAIブームの影響から、材料開発の分野でもAI技術を用いた取り組みが盛んに行われている。囲碁や将棋などでは、AIが人類を超越した存在になっているが、材料開発の分野では解くべき問題が複雑であるため、AI技術さえあればよいという状況には至っていない。そのため、材料開発では『AIと科学者の協創』が非常に重要となる。本講演では、材料開発を行う人間を強力にアシストすることができるAI技術(機械学習技術)を2つ紹介し、その実際の磁性材料開発への応用事例を交えて講演する.
【① 異種混合学習による磁性熱電材料開発】
材料開発の分野では、機械学習で作成したData-Drivenモデルを人間が解釈することで材料創成のヒントを得ることがしばしばある。そのためには、Deep Learningのようなブラックボックス型の機械学習ではなく、人間が解釈できるホワイトボックス型でData-Drivenモデルを作成する必要がある。本講演の前半は、ホワイトボックスでかつ高精度に予測を行うことができる異種混合学習(FAB/HMEs※1)を用いて、磁性熱電材料(異常ネルンスト材料)を開発した事例を紹介する。
【② ベイズ最適化と第一原理計算を用いた材料自動探索システムによる磁性材料開発】
講演の後半は、ベイズ最適化と第一原理計算を組み合わせた自動材料探索システムを紹介する。ベイズ最適化は、材料開発における次の一手(次に何をすればよいか)を数学的に導出することができる。この手法と第一原理計算(仮想的な材料作成と特性評価)を組み合わせることで、①仮想材料作成 ⇒ ②仮想材料の特性評価 ⇒ ③次の仮想材料決定 ⇒ ①仮想材料作成・・のループをPC内で自動的に実行し続けることによって、有望な材料を選別することができる。人間はこのシステムが提案する候補材料を中心に作成することで、無駄な実験を大幅に減らすことができる。本講演では、本システムを用いて金属磁性材料(ホイスラー合金)を探索した事例を紹介する。

※1 FAB/HMEs : Factorized Asymptotic Bayesian Inference Hierarchical Mixture of Experts
R. Eto et al. Fully-Automatic Bayesian Piecewise Sparse Linear Models. In AISTATS, 2014.
R. Fujimaki et al. Factorized Asymptotic Bayesian Inference for Latent Feature Models. In NIPS, 2013.

講演題目

畳み込みニューラルネットワークを使った量子相転移の研究

講師

大槻 東巳 (上智大学 理工学部 機能創造理工学科)

 人工知能という言葉を聞く機会が増えている。囲碁などのボードゲームで最強のプレーヤーに人工知能が勝利したことは衝撃的であった。この場合,ゲームの盤面を見せ,それによりどのように動いたら点が高くなるかをニューラルネットワークに学ばせる。この際に盤面の画像処理,および点が高くなるようにニューラルネットワークを訓練する強化学習が不可欠となるが,最近のコンピュータの進歩,特にGPUの向上により,こうした手法が小規模な研究をしている物性物理学者でも簡単に使えるようになった。そのため,物性物理の研究に機械学習,特にニューラルネットワークを利用する動きが最近注目されている。
 この講演では物性物理学者にも身近になった多層畳み込みニューラルネットワーク,いわゆる深層学習による画像処理を利用して,ランダム電子系の相図を導出するという試みを紹介する。特にバンド絶縁体,トポロジカル絶縁体,アンダーソン絶縁体など様々な絶縁体相の示す波動関数を画像としてニューラルネットワークに学ばせると,ニューラルネットワークは汎化能力を示し,今まで学習していなかったパラメータ領域がどの相なのかを判定できることを示す。
この講演では特に,並進対称性がランダムポテンシャルによって壊されたトポロジカル系の相図を議論する。トポロジカル系は,たとえ乱れていても特異な表面状態を示すことを利用し,トポロジカル絶縁体,トポロジカル超伝導体,ワイル半金属の相図を導出する(ニューラルネットワークに導出してもらう)。また,実空間の波動関数を使った解析と,k-空間の波動関数を使った解析を比較し,双方の長所,短所について述べる。

[1] T. Ohtsuki, T. Ohtsuki: J. Phys. Soc. Jpn., 85, 123706 (2016), 86, 044708 (2017).
[2] T. Mano and T. Ohtsuki: J. Phys. Soc. Jpn., 86, 113704 (2017).
[3] 大槻東巳:パリティ 32, 52-56 (2017), 33, 6 (2018).
[4] 大槻東巳,真野智裕:固体物理 53, 447 (2018).

講演題目

パーシステントホモロジーの基礎から応用まで

講師

大林一平 (理研AIP・東北大AIMR)

 パーシステントホモロジーは数学のホモロジーのアイデアを利用したデータ解析手法のためのツールで、近年理論やソフトウェア、応用まで急速にしつつある。ホモロジーは図形の穴や空隙、連結性、といった情報を取り扱うための数学的概念であり、トポロジーという数学分野において特に重要な概念である。
パーシステントホモロジーを使うことによってデータの形を穴や空隙といった視点から定量的かつ効果的に特徴付けることができる。空間上の点集合データ(典型的には3次元空間上の原子配置データなど)や任意次元の画像データなどに適用可能な手法である。こういった特徴を利用し、材料科学、生命科学、ネットワーク科学、といった分野への応用が進められている。

数学的にはパーシステントホモロジーは「増大列」を用いる。点集合データであれば、各点に円/球を置き、その半径を徐々に大きくすることで体積が増大する状況を作る。
原子配置データを考えるときは、原子半径が0から徐々に大きくなっていくような状況を考えればよい。半径が大きくなる過程で球が繋がり穴ができ、さらに大きくなるとその穴が消える。そのような穴の生成、消滅の半径のペアをデータ全体に対して計算することでデータの形の特徴付けとするのである。この(穴生成の半径, 穴消失の半径)のペアをbirth-death pairと呼び、このペアの集まりをパーシステント図と呼ぶ。このパーシステント図がすなわちデータの形の情報を縮約したものであり、パーシステント図を調べることでデータの形の特徴を調べるのである。白黒画像データでも、白い領域が徐々に膨らんでいく状況を考えることで同様の解析が可能となる。

パーシステント図のさらなる応用として、機械学習との組み合わせも有用である。
パーシステント図を学習データとする機械学習を行うことで図に隠された特徴的パターンを抽出し、さらにパーシステント図と入力データの関連を調べることでその学習されたパターンに対応する形を具体的に同定することも可能である。

本講演ではパーシステントホモロジーの基本的な部分からこれを利用した材料データ解析まで解説する。また、講演者が開発しているパーシステントホモロジーに基づくデータ解析ソフトウェア HomCloud を用いた実践的なデータ解析についても紹介したい。

更新:2018/5/10

基礎講座:ビッグデータを活用した新材料研究~マテリアルズインフォマティクスは、研究者の経験と勘とをいかに支援するのか!~

第46回 薄膜・表面物理 基礎講座(2017)

詳細PDF:第46回 薄膜・表面物理 基礎講座 ポスター

参加登録:登録フォームにて参加登録してください.

概要

協賛

日本物理学会、日本化学会、日本金属学会、日本表面科学会、電子情報通信学会、電気学会、日本真空学会、日本顕微鏡学会、フラーレン・ナノチューブ・グラフェン学会、日本結晶成長学会、日本分光学会、触媒学会、表面技術協会、電気化学会、日本材料学会、応用物理学会東海支部(依頼中)

概要

「材料を制するものは技術を制す」といわれ約70年,世界中で,マテリアルズインフォマティクス戦略が, 新規材料設計手法として,立ち上がっている. 2011年,米国は Materials Genome Initiative を発表し,翌年、リチウムイオン電池での固体電解質開発を成功事例として発表した. 従来の実験及び計算科学に,ビッグデータと機械学習法とが,材料研究者を支援する当該材料設計手法は, 高効率でかつ有効な材料開発の決め手として期待されている.

本講座は,更なる具現化を目指すべく,マテリアルズインフォマティクスを強力に推進されている第一線の講師を招き,データ駆動型の材料創製手法の基礎を多角的に学ぶと共に,最新動向を提供するためのものです.マテリアルズインフォマティクスを専門とする研究者だけでなく,電子材料・電子デバイス・電池関連などの研究開発を行っている研究者や企業の方,当該手法を活用することで材料開発の今後の飛躍への参画を志す初学者にも役立つ講座です.

日時

2017年11月17日(金) 10:00-16:40

場所

名古屋大学 ベンチャー・ビジネス・ラボラトリー ベンチャーホール(3F)
(名古屋市千種区不老町, VBL事務室 ℡052-789-5447
http://www.vbl.nagoya-u.ac.jp/access.html(アクセスマップ)
(JR 名古屋駅から名古屋市営地下鉄名城線 「名古屋大学」 下車、徒歩 6 分

プログラム

時間 講演題目 講師
10:00-10:50 我が国でのマテリアルズインフォマティクス 寺倉 清之(NIMS)
10:50-11:40 マテリアルズインフォマティクスを支える第一原理電子計算法 田中 功(京大)
11:40-13:00 昼休憩
13:00-13:50 界面・粒界へのマテリアルズインフォマティクス 溝口 照康(東大)
13:50-14:40 マテリアルズインフォマティクスを支えるアルゴリズム 津田 宏治(東大)
14:40-15:00 休憩
15:00-15:50 ナノ電子顕微分光への情報処理技法の応用 武藤 俊介(名古屋大)
15:50-16:40 自動車用材料開発における先端計測とマテリアルズインフォマティクスへの期待 菅 義訓(トヨタ自動車)

参加費

テキスト代、消費税含む

薄膜・表面物理分科会会員 * 応用物理学会会員 **
協賛学協会会員
学生*** その他
10,000円 15,000円 3,000円 20,000円

*薄膜・表面物理分科会賛助会社の方は,分科会会員扱いと致します.

**応用物理学会賛助会社の方は,応用物理学会会員扱いと致します.

***現在非会員の方でも,参加登録時に薄膜・表面物理分科会(年会費 正会員:2,200円(学生・院生:500円), 準会員:3,000円(学生・院生:500円))にご入会いただければ,本セミナーより会員扱いとさせていただきます.
http://www.jsap.or.jp/ より入会登録を行い,会費支払及び仮会員番号を取得後,本セミナーにお申込み下さい.
(年会費を基礎講座参加費と同時にお振込なさらないで下さい)

定員

100名
満員になり次第締め切ります

参加申込期間

2017年9月1日(金)〜10月27日(金)

参加申込方法

登録フォームにて参加登録してください.参加登録完了後,下記銀行口座に参加費をご連絡いただいた期日までにお振込ください.原則として参加費の払い戻し,請求書の発行は致しません.領収書は当日会場にてお渡しいたします.

参加費振込期限

2017年11月8日(水)

参加費振込先

三井住友銀行 本店営業部(本店でも可)
普通預金  口座番号: 9474715
(社) 応用物理学会薄膜・表面物理分科会
(シャ) オウヨウブツリガッカイハクマク・ヒョウメンブツリブンカカイ

企画に関する問合せ先

高知工科大学総合研究所 山本 哲也
TEL: 0887-57-2180  FAX: 0887-57-2181
E-Mail: yamamoto.tetsuya@kochi-tech.ac.jp

奈良先端科学技術大学院大学 武田 さくら
TEL: 0743-72-6022 FAX: 0743-72-6029
E-Mail: sakura@ms.naist.jp

参加登録に関する問い合わせ先

応用物理学会事務局分科会担当 小田 康代
TEL: 03-3828-7723  FAX: 03-3823-1810
E-Mail: oda@jsap.or.jp

更新:2017/7/3

基礎講座:オペランド分光解析 ~動作環境下での解析技術の新展開~

第45回 薄膜・表面物理 基礎講座(2016)

 

概要

協賛

日本物理学会、日本化学会、日本金属学会、日本表面科学会、電子情報通信学会、電気学会、日本真空学会、日本顕微鏡学会、フラーレン・ナノチューブ・グラフェン学会、日本結晶成長学会、日本分光学会、触媒学会、表面技術協会、電気化学会、日本材料学会、(依頼中)

概要

既存のデバイスを大きく上回る特性を持つ次世代デバイスの実現には新たな材料・動作原理に基づいたデバイスの研究開発が急務となっています。これらの新しい電池や次世代電子デバイスなどの新規デバイスでは、従来の動作機構では説明出来ない現象を理解し、制御することが不可欠です。ゆえに、特性の鍵を握る活性層の状態を、実際のデバイス動作環境下のままで観察する解析技術のニーズが高まっています。

本講座は、このようなニーズに応え得る動作環境下での(オペランド)分光や埋もれた界面の分光を用いた分析手法に関する研究開発を行っている第一線の講師を招き、これらの分光の基礎を多角的に学ぶと共に最新動向を知るためのものです。分光を専門とする研究者だけでなく、電子デバイス・電池関連の研究開発を行っている研究者や企業の方や、これらの分光を活用することを考えている初学者にも役立つ講座です

日時

2016年11月16日(水) 10:00-16:40

場所

東京大学 本郷キャンパス 山上会館 (東京都文京区本郷7-3-1 ℡:03-3818-3008 

http://www.u-tokyo.ac.jp/campusmap/map01_02_j.html (キャンパスアクセスマップ)

(地下鉄丸ノ内線・大江戸線本郷三丁目駅駅下車徒歩10分程度)

http://www.u-tokyo.ac.jp/campusmap/cam01_00_02_j.html(キャンパスマップ)

プログラム

時間 講演題目 講師
10:00-10:50 オペランド分光の現状と展望~放射光解析を中心に~ 尾嶋 正治(東大)
10:50-11:40 燃料電池系での電気化学オペランド計測 犬飼 潤治(山梨大)
11:40-13:00 昼休憩
13:00-13:50 オペランド軟X線吸収・発光分光による埋もれた界面の化学状態分析 原田 慈久(東大)
13:50-14:40 プラズモンセンサを用いたラマン分光法による固液界面のin situ解析 本間 敬之(早稲田大)
14:40-15:00 休憩
15:00-15:50 電子デバイスの透過電子顕微鏡オペランド解析と応用 高橋 庸夫、有田 正志(北海道大)
15:50-16:40 走査型プローブ顕微鏡(非線形誘電率顕微鏡)を用いたデバイス観察 長 康雄(東北大)

参加費

テキスト代、消費税含む

薄膜・表面物理分科会会員 * 応用物理学会会員 **
協賛学協会会員
学生*** その他
10,000円 15,000円 3,000円 20,000円

*薄膜・表面物理分科会賛助会社の方は,分科会会員扱いと致します.

**応用物理学会賛助会社の方は,応用物理学会会員扱いと致します.

***

現在非会員の方でも,参加登録時に薄膜・表面物理分科会(年会費 正会

員:2,200円(学生・院生:500円), 準会員:3,000円(学生・院生:500円))

にご入会いただければ,本セミナーより会員扱いとさせていただきます.

http://www.jsap.or.jp/ より入会登録を行い,会費支払及び仮会員番号を取得後,本セミナーにお申込み下さい.

(年会費を基礎講座参加費と同時にお振込なさらないで下さい)

定員

100名
受講費支払い順に受付け,満員になり次第締め切ります

参加申込締切

2016年11月3日(金) (期限延長しました)

※ 当日受付も可能としますが,なるべく事前申込のご利用をお願い致します。

参加申込方法

登録フォームにて参加登録してください.参加登録完了後,下記銀行口座に参加費をご連絡いただいた期日までにお振込ください.原則として参加費の払い戻し,請求書の発行は致しません.領収書は当日会場にてお渡しいたします.

参加費振込期限

2016年11月7日(月)

参加費振込先

三井住友銀行 本店営業部(本店でも可)
普通預金  口座番号: 9474715
(社) 応用物理学会薄膜・表面物理分科会
(シャ) オウヨウブツリガッカイハクマク・ヒョウメンブツリブンカカイ

広告等の配布のご希望に関して

広告等の配布をご希望の場合は、参加申し込みをしていただければ相談に応じます

企画に関する問合せ先

東北大学 吹留 博一
TEL: 022‐217‐5484  FAX: 022‐217‐584
E-Mail: fukidome@riec.tohoku.ac.jp

東京大学 喜多 浩之
TEL: 03-5841-71641  FAX: 03-5841-7164
E-Mail: kita@scio.t.u-tokyo.ac.jp

参加登録に関する問い合わせ先

応用物理学会事務局分科会担当 小田 康代
TEL: 03‐5802‐0863  FAX: 03‐5802‐6250
E-Mail: oda@jsap.or.jp

更新:2016/6/22

基礎講座:二次元層状物質の基礎物性と応用

第44回 薄膜・表面物理 基礎講座(2015)

詳細(PDF:214KB)

講演概要PDF

日時

平成27年11月26日(木) 10:00-17:30

場所

筑波大学 東京キャンパス文京校舎

更新:2015/9/1