幹事長挨拶
第55-56期幹事長 中村 雅一
このたび,渡部幹事長の後任として,2026年4月より第55・56期幹事長を拝命いたしました.50年以上にわたる長い歴史を有し,歴代の幹事長各位のご尽力により発展を遂げてきた本分科会は,数ある分科会の中でも特に会員数および予算規模の大きい組織です.その幹事長を務めるにあたり,改めてその責務の重さに身の引き締まる思いです.
私は学生時代,アモルファス半導体の研究室に所属し,薄膜成長および半導体界面物性の分野において研究者としての第一歩を踏み出しました.その後,およそ10年間にわたり民間企業において表面分析の専門家として半導体産業を支える業務に従事しました.その過程で,アトムテクノロジー研究体という大規模プロジェクトに出向する機会を得,そこで走査型プローブ顕微鏡の技術を習得しました.企業時代の後期には,同顕微鏡を用いた先端的分析技術を通じて産業界に貢献する役割を担うに至りました.本分科会との関わりも,この経験に端を発するものと記憶しております.
その後,2000年より大学に籍を移し,有機エレクトロニクスと走査型プローブ顕微鏡を両軸として研究を進めてきました.近年は,有機エレクトロニクスの観点から,フレキシブル熱電材料・デバイスの研究に注力しております.一見すると研究対象を次々と変遷させてきたようにも見えますが,半導体,薄膜,表面,界面というキーワードに一貫して立脚してきたとも言えます.その意味において,薄膜・表面物理分科会から受けた学びは極めて大きいものがあったと実感しております.
このような経緯から,応用物理学会においては,有機分子・バイオエレクトロニクス分科会および薄膜・表面物理分科会の双方において常任幹事として運営に携わる機会を頂戴しました.いずれも規模が大きく活発な分科会ではありますが,前者は応用物理学会講演会の大分類12「有機分子・バイオエレクトロニクス」と密接に対応し,講演会との連携が特に強い特徴を有しております.一方,後者は大分類6「薄膜・表面」と対応関係にありつつも,より広範な分野で活動する研究者が参画しており,分科会主催の特別研究会や国際会議といった独自活動の比重が相対的に大きい点に特色があると認識しています.さらに,学会運営の面では,2017年に応用物理学会理事を拝命し,2年間にわたり大きな学会の運営に微力ながら携わる貴重な経験を得ました.
応用物理学会という大きな枠組みは,スポーツに例えれば多様な競技が一堂に会するオリンピックのような存在であり,これに対して分科会は,サッカーやバレーボールといった個別競技の世界選手権に相当するものと捉えることができます.いずれも不可欠な役割を担っていますが,分科会は特定分野の発展に対してとりわけ大きな責任を負っています.薄膜・表面物理分科会の歴史と伝統を継承しつつ,その多様な活動を通じて当該分野の一層の活性化と次世代を担う若手研究者の育成に,常任幹事,幹事の皆様と力を合わせて取り組んでいく所存です.



