超伝導分科会について

幹事長からの挨拶

2025/4/1〜2027/3/31 幹事長 齊藤 志郎(NTT)

 2025年4月より超伝導分科会幹事長を拝命いたしました。超伝導分科会は、その前身である高温超伝導研究会が高温超伝導フィーバーの最中に設立され、約2年半後の1989年に応用物理学会の一分科会として認められ、今年で36年目を迎えます。この間にMgB2、鉄系超伝導体、LaH10などの水素化物(超高圧下ではあるものの常温近くの温度で超伝導が発現)をはじめとする画期的な新材料が多数発見されました。加えて、薄膜・界面超伝導、トポロジカル超伝導、非従来型超伝導といった新たな概念や物性理解も大きく進展し、超伝導研究の裾野は一段と広がっております。また、応用面でも、ケーブル、電動機、発電機、超伝導磁石、NMR/MRI、加速器、核融合などのパワー応用から高感度磁気センサー(SQUID)、デジタル集積回路、THzやマイクロ波応用、単一光子検出器、量子コンピューターなどのデバイス応用まで、基礎研究から社会実装へと着実に歩みを進めております。近年では、脱炭素社会の実現に向けたグリーンイノベーションの推進が世界的に加速する中で、超伝導はエネルギーの高効率利用や大容量化を可能にする基盤技術として、その中核を担う存在として期待されております。さらに、量子コンピューターや核融合エネルギーといった次世代の革新分野においても、超伝導は不可欠なコア技術であり、社会に大きな変革をもたらす潜在力を有しております。

 超伝導は物質面・応用面の双方において、他の材料分野と比較して極めて広がりの大きい学術分野です。一方で、新材料の創製や高性能化が継続的に進む分野でもあり、多くの物理的・材料学的課題が残されております。これらの課題に取り組むためには、分野を横断した研究者・技術者の連携と、活発な情報交換および建設的な議論を通じた知識の共有が不可欠であり、学会・分科会の果たす役割はますます重要となっております。

 そのような情報交換・議論の場として、本分科会では、研究会やスクールの開催、超伝導ニュースの発行、春秋の学会におけるシンポジウムやチュートリアルセッションの開催などを行ってまいりました。特に研究会は、その時々のホットな話題や研究の新たな広がりにつながる幅広いテーマを取り上げ、会員間の情報交換のみならず、分野を超えた交流の場として重要な役割を果たしてまいりました。今後も、対面での活発な議論を大切にしつつ、コロナ禍で培われたオンライン開催の利点も活かしたハイブリッド形式を効果的に活用し、より多くの会員が参加しやすい研究会運営を進めてまいります。また、分科会の活動の一つとして、スクールテキストの出版も行っております。これまで「高温超伝導体(上)-物質と物理-」、「高温超伝導(下)-材料と応用-」、「高温超伝導データブック」を発行してまいりました。「高温超伝導体(上)-物質と物理-」については2013年に第二版を発行し、2021年より安価な電子版も提供しております。また「高温超伝導(下)-材料と応用-」については、新たに『超伝導技術の最前線(応用編)』として、2021年12月に発行いたしました。さらに、応用物理学会企画の特別Webコラム「GX:グリーントランスフォーメーションに挑む応用物理」(2021年11月1日公開)ではGXに資する様々な超伝導技術を紹介しております。

 超伝導分科会の活動が皆様にとってより魅力のあるものとなるよう、皆様のご意見をいただきながら尽力してまいります。会員の皆様におかれましては、引き続きご指導・ご協力を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。ご意見等がございましたら、お近くの分科会幹事か齊藤までご連絡いただけますと幸甚に存じます。