超伝導分科会について
幹事長からの挨拶
2023/4/1〜2025/3/31 幹事長 土井 俊哉(京都大学)
2023年4月より超伝導分科会幹事長を拝命致しました。超伝導分科会は、その前身である高温超伝導研究会が高温超伝導フィーバーの最中に設立され、約2年半後の1989年に応用物理学会の一分科会として認められ、今年で35年目となります。この間にMgB2、鉄系超伝導体、LaH10等の水素化物(超高圧下ではあるものの常温近くの温度で超伝導発現)など画期的な新材料が多数発見されました。また、応用面でもケーブル、電動機、発電機、超伝導磁石、NMR/MRI、加速器、核融合などのパワー応用から高感度磁気センサー(SQUID)、デジタル集積回路、THzやマイクロ波応用、光子受検出器、量子コンピューター等のデバイス応用が実用化のフェーズとなっております。最近では量子コンピューター、核融合発電が大きな注目を集めており、社会に大きな変革をもたらす革新技術としてその重要性は高まっております。
超伝導は物質面、応用面で他の材料系と比較して非常に広がりのある分野であり、新しい材料でもあるため様々な物理的・材料学的課題が多く、様々な分野の研究者・技術者を横につなぎ情報交換やディスカッションの場を提供し、知識を共有する、学会・分科会の役割が重要となっています。
そのような情報交換・ディスカッションの場として、これまで分科会では、研究会やスクールの開催、超伝導ニュースの発行、春秋の学会におけるシンポジウムやチュートリアルセッションの開催などを行ってきました。特に研究会では、その時々のホットな話題や、研究の広がりのきっかけになりそうな幅広いテーマを取り上げて、会員の情報交換のみならず、交流の場にもなってきました。2020年に始まった新型コロナ禍も漸く終息し、様々な社会活動が正常化しつつあることを受け、本年度から再び対面を中心とした活動に戻して参ります。その他の活動としては、超伝導分科会のスクールテキストの出版があります。これまで「高温超伝導体(上)-物質と物理-」、「高温超伝導(下)-材料と応用-」、「高温超伝導データブック」を発刊してきており、「高温超伝導体(上)-物質と物理-」については2014年に第二版を発行、2021年より安価な電子版も発行し、よりお求めやすい形となりました。また「高温超伝導(下)-材料と応用-」については、新たに『超伝導技術の最前線(応用編)』として、2021年12月に発行しております。また、応用物理学会企画の特別webコラム「GX:グリーントランスフォーメーションに挑む応用物理」(2021年11月1日公開)ではGXに資する様々な超伝導技術を紹介させていただいております。
超伝導分科会の活動が皆様にとってより魅力のある内容になるように、皆様のアイディアをいただきながら尽力する所存ですので、会員の皆様には引き続きご指導・ご協力を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。ご意見等ありましたらお近くの分科会幹事か土井まで御連絡いただけますと幸甚でございます。