第46回 研究集会
可視発光性などの確認を端緒として,量子サイズのシリコン系材料はバルクとは大きく異なる特性を示すことが明らかになってきました。その物性変化は,光学的・電気的・化学的・熱的性質などのすべてにわたって現れ,学術的にも技術的にも大きな可能性を秘めています。また物性探索と並行して,ナノ結晶シリコンやシリコン系ナノ構造素子などの形成は,プロセス技術の観点からも重要な課題となっており,種々の試みが活発になされています。
当分科会では,量子サイズシリコンの光機能に焦点を当てた研究会「光るシリコン-プロセス・素子技術の新展開-」を1999年4月に開催しました。その後,プロセス技術にも着実な進展が見られ,同時にこの材料の可能性は,可視発光をはじめとするフォトニック機能に加えて,弾道的な電気伝導と冷電子放出,不揮発メモリ,熱音響効果による超音波放出,さらには表面化学効果によるセンシングやバイオ活性の利用にまで,広範囲に及んでいます。
プロセス・材料・素子化技術において新展開が拓かれつつあるこのような状況をとらえ,今回の研究会では,量子サイズシリコン系素子の機能と応用に重点をおき,研究の意義,今後の課題などについて議論を深めるべく,シリコン新機能デバイス・シリコンナノテクノロジー研究委員会の合同研究会として企画しました。新規材料・プロセス,発光や新機能,素子化技術などについて,幅広い研究のさらなる活性化につなげるため,多方面の方々のご参加をお待ちします。
開催場所
東京農工大工学部 11号館 5階 多目的会議室
テーマ | 量子サイズシリコン系素子-新機能と応用- |
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オーガナイザー | 越田信義(東京農工大学) |
プログラム
(1) 9:30~9:35「量子サイズナノシリコンの機能と技術的可能性」
越田信義(農工大)
(2) 9:35~10:00「ナノ結晶シリコン超音波素子」
木原 隆(山武)、右田達夫・広田 潤・越田信義(農工大)
(3) 10:00~10:25「光増感剤としてのSiナノ結晶」
藤井 稔(神戸大),D. Kovalev・E. Gross・N. Kunzner・J. Diener・F. Koch(ミュンヘン工科大),V.Yu. Timoshenko(モスクワ大),林 真至(神戸大)
(4) 10:25~10:50「光近接場を用いたナノフォトニックデバイスの開発とその集積化」
八井 崇・川添 忠(科技団),大津元一(東工大)
休憩(15分)
(5) 11:05~11:30 「多孔質シリコンにおけるミクロ孔-マクロ孔遷移」
D.Hamm・F.Harraz・作花哲夫・尾形幸生(京大)
(6) 11:30~11:55「直線偏光照射下で作製したポーラスシリコンの光学異方性」
小山英樹(兵庫教育大)
昼食休憩(1時間05分)
(7) 13:00~13:25「レーザプロセスによるSiナノ粒子の作製と発光素子への応用」
鈴木信靖・*牧野俊晴・山田由佳・吉田岳人(松下電器)(*現、甲南大)
(8) 13:25~13:50「Enhancing the performance of electroluminescence from nanocrystalline porous silicon diodes」
B. Gelloz・新井一之・佐野 創・越田信義(農工大)
(9) 13:50~14:15「表面酸化シリコン量子ドットからの疑似直接遷移発光」
新井健太・小田俊理(東工大)
(10)14:15~14:40「超音速ジェットノズルによるシリコン超微粒子浮遊ゲートMOSキャパシターの作製」
野村政人、野崎真次、小野 洋、内田和男、森崎 弘(電通大)
(11)14:40~15:05「原子層レベル急峻SiGeへテロ界面形成と高移動度素子」
山口伸也、杉井信之、朴 成基(日立中研)、中川清和(山梨大)、宮尾正信(九州大)
休憩(20分)
(12)15:25~15:50「量子サイズ効果と酸化誘起歪みに起因するSiSETの動作機構」
堀口誠二・藤原 聡・永瀬雅夫・高橋庸夫(NTT物性基礎研)、白石賢二(筑波大)
(13)15:50~16:15「Si単電子トランジスタのしきい値電圧」
藤原 聡・堀口誠二・永瀬雅夫・高橋庸夫(NTT物性基礎研)
(14)16:15~16:40「SOI基板を用いたシリコン量子トンネルデバイス」
池田浩也・石川靖彦・田部道晴(静岡大)
(15)16:40~17:05「弾道電子面放出型電子源のフラットパネルディスプレイへの応用」
櫟原 勉・本多由明・馬場 徹・菰田卓哉(松下電工)、越田信義(農工大)
(16)17:05~17:30「シリコンナノ結晶膜の作製と光導電特性~高感度・高機能光導電膜を目指して~」
平野喜之・佐藤史郎・相原聡・斎藤信雄(NHK技研),宮崎誠一,廣瀬全孝(広島大)