1998年11月9日(月) 13:00-17:30

第5回 研究集会

 超LSIがシリコンウェーハに要求する項目は、ウェーハ表面近傍の結晶欠陥フリー、超平坦度、パーテクルフリー、高いゲッタリング能力、低金属不純物濃度、原子レベルのマイクロラフネスなどである。これらの多くはウェーハ表面の完全性に係わる項目であり、集積度の増大とともにますます厳しくなってくる。

 デバイス微細化の進展により、従来問題にならなかったgrown-in欠陥の影響が顕在化し、その実体と生成機構の解明、さらには低減化へ向けた試みが盛んである。一方ではエピウェーハ時代の本格的な幕明けが間近であることを実感する。また300mm大口径化への動きは、デバイスの量産が当初の計画より後退し、21世紀にはいる見通しになったが、その日に備えて依然研究開発は活発である。SOIへの関心も高まっている。そのようにシリコン結晶は大きな変革期を迎えているが、いずれにしても表面およびその近傍の完全性を確保することが、デバイスの高性能化や歩留り向上のための至上命令になっている。

 これらの完全性の創成技術に加えて、評価技術の開発、活用は不可欠であり、多彩な方式が研究され、試みられている。さらなる極限へむけたいっそうの高度化を進めなければならない。

 微細化の進展は当然のことながら、プロセスの低温化につながっていく。重金属不純物のさらなる低減は必須であるから、ゲッタリング技術がますます重要になる。エピウェーハ時代の低温プロセスは酸素析出が抑制される傾向にあるので、新たな視点で検討する必要があろう。

 完全性の実現は極めて難しいテーマである。現状の技術を正しく認識し、比較し、何が工業的に本流の技術になりうるのか、深い洞察力が求められる。どのようなコンセプトを選択するかは、コストパフォーマンスの観点からも考慮しなければならない。

 今回の研究会では、シリコンウェーハ表面の完全性に焦点をあて、本年春秋の応用物理学会講演会や国際会議で発表された内容をより深く掘り下げて議論したい。結晶成長時のgrown-in欠陥、最近のトピックスである熱処理によるgrown-in欠陥の挙動た低減、重金属不純物の振る舞い、さらにそれらに関係する新しい評価技術やゲッタリングを取り上げてみたい。

開催場所

早稲田大学 小野講堂

https://annex.jsap.or.jp/silicon/shousai/map5.htm
テーマ Si結晶、物性及び評価
オーガナイザー 津屋 英樹(住友スチックス株式会社)

プログラム

「結晶成長」
13:00~13:25 CZ結晶のgrown-in欠陥形成プロセスとその制御
コマツ電子金属  中村浩三

13:25~13:50 Grown-in欠陥低減化結晶成長技術
三菱マテリアルシリコン  古川 純、小野直樹、島貫 康

「熱処理」
13:50~14:15 CZ結晶ボイド欠陥の熱処理による消滅モデル
大阪府立大学  井上直久、棚橋克人

14:15~14:40 Grown-in欠陥の熱処理挙動
住友金属工業  定光信介、足立尚志、梅野 繁、柳瀬好生、佐野正和

14:40~15:05 高温アニールによるgrown-in欠陥の消滅挙動
東芝  土屋憲彦、松下 宏、菅元淳二

「ウェーハ表面近傍の評価」
15:25~15:50 Grown-in欠陥の挙動とGOI特性
NTT、NTTエレクトロニクス  逸見 学、植木武美

15:50~16:15 p/p+及びp/p-エピウェーハでの這いあがり酸素によるエピ層内増殖酸素析出
富士通  金田 寛、佐久間裕子、山田直樹

16:15~16:40 水溶液中Cu汚染によるウエーハ表面への影響
信越半導体  水野亨彦、高梨一仁、北川原 豊

「ゲッタリング」
16:40~17:05 ゲッタリングシミュレーション技術の開発-低温プロセスへの応用 信越半導体  戸部敏視、平野禎典、速水善範

17:05~17:30 カーボンイオン注入エピウェーハのゲッタリング
日立製作所  糸賀敏彦、朴澤一幸、武田一男、磯前誠一、大蔵 理

17:30~19:30 懇親会

このページの上部へ